A…暁星中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 B 問6 A 問7 A 問8 B 問9 B 問10 B |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
例年同様、出題される文章は物語文一題のみでした。問1~問3までが漢字の読み書きと語句の問題、問4から問9までが読解問題、問10が作文という構成でした。物語文は4000字弱と長めですが、文章が一つしか出題されないので、読むのにかかる時間は短くて済みます。小問も10と少ないので、スピードは必要ありません。じっくりと正確に解いていきましょう。ただし、最後に長めの作文が出てきます。1行25~30字とすると、12行でおよそ250字から350字の文章を書く必要があります。問題数の少なさから言って、白紙は許されません。書くべきことを箇条書きしてから取り組みましょう。
水野瑠見『十四歳日和』より
漢字の問題です。難しい問題はないので、全問正解したいところです。
傍線部の語句の本文中の意味を選ぶ問題です。仰々しい(ぎょうぎょうしい)は「大げさである」、「ありきたり」は「よくある」「珍しくない」という意味です。
空欄に入る語句を選ぶ問題です。直前の部分がヒントになります。Ⅰの前には「あ、そっか」という言葉があります。今後会えなくなる友達への返事として、どういう意味合いになるのかを考えましょう。Ⅱの直前には「拍子抜けするぐらい」とあるので、これを同じ意味の語句を選びましょう。
傍線部の身体表現から主人公の心情を答える問題です。「ふう、とため息をついた」なので当然マイナスの気持ちが入りますが、桃井がいなくなってしまうさびしさだけを書いたのでは十分ではありません。友達である百井との別れなのに「実感がわか」ず、「永久にぴんとこないまま、俺は百井のことを、次第に忘れていくんだろう」とあるので、薄情な自分に対する自己嫌悪の気持ちがあると考えられます。
主人公の心情の理由を選ぶ問題です。「もどかしさ」とは「思うようにならず、いらいらして、じれったくなる気持ち」のことです。傍線部②の直前に、「自分がガキだったころのことを思い出し」「バカみたいな一瞬一瞬が必死で」「楽しかった」とあります。このような経験を桃井と今までしたことがないということがもどかしさの原因です。傍線部③のあとに「ガキみたく」「「全力で」遊ばないかと百井を誘っていることからも明らかです。
主人公の行動から心情を選ぶ問題です。傍線部の後に「まぎれもない本心」で「懸命に」百井に言い連ねていることから、自分の気持ちを百井に伝えることに精一杯であることが分かります。
登場人物の描写からその人物に対する主人公の心情を選ぶ問題です。「ガキみたい」に一生懸命、楽しくくだらない遊びをすることが主人公の目的なのですから、「子どもの百井の顔」はプラスの意味であることが分かります。プラスの受け取り方をしている選択肢を選びましょう。
主人公の発言の中にある指示語の内容を記述する問題です。地の文にある時と違って、発言の中の指示語の内容は直前にあるとは限りません。話題にしているのは今日2人でやった遊びについてです。傍線部③の後の主人公の発言の中にある「ガキみたく」「全力で」「くだらない」「バカみたいな遊び」などがキーワードです。これらを使ってまとめましょう。「ガキみたく」は乱暴な言い方の口語なので、「子どもっぽい」と言い換えた方が無難です。
合否を分けた一題で解説します。
作文の問題です。「あなたが何度も思い出す出来事について教えてください」という短い設問ですが、条件はこれだけではありません。この物語を読んだ後で書く作文ですから、物語のテーマに沿っていることが期待されます。この場合、お別れの前の出来事、友人との出来事、楽しかった出来事などについての思い出を書くと良いでしょう。まずは、「いつ、どこで、誰と、どのような体験をしたのか」を詳しく書きましょう。「友達と遊んだ」などと短くまとめすぎると長い文章になりませんし説得力が出ません。「幼稚園のときからずっと仲が良かった佐藤くんと家族ぐるみで夏休みのキャンプに奥多摩まで行ったとき」など、具体的に書くことが大切です。体験したことについても、「とても楽しかったので思い出に残りました」とだけ書くのではなく、「それまでの自分はこういう状況だった。だから○○という体験は自分にとってこういう意味があった。だからこういう時に何度も思い出す」と因果関係を意識して書くことが大切です。
主人公の心情の理由を答える問題です。「ありがとう」とあるので、感謝している理由を書くということは分かりやすいです。しかし、文章全体からその理由を探し出し過不足なく書くには、かなりの国語力が必要です。物語文のテーマの読み取りで差がついた問題だと考え、合否を分けた一題として取り上げることにしました。
考え方
「俺の方がありがとうだよ」とあるので、百井に感謝する理由を探します。まずは一緒に遊ぼうという自分の頼みを聞いてくれたこと、一緒になって楽しく全力で遊んだこと、というのが直接の理由です。
次に、その出来事の背景を考えます。親しい友達であった百井と会えなくなる前にやったことが大切です。
最後に、ありきたりであっさりとしたお別れはしたくないという主人公の気持ちを付け加え、「ありがとう」を心情語に言い換えて終了です。