A…暁星中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題
問一 | A |
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問二 | A |
問三 | A |
問四 | B |
問五 | B |
問六 | B |
問七 | A |
問八 | B |
問九 | A |
問十 | B |
問十一 | B |
暁星中の国語の形式は、ここ数年は同じ形式が続いています。本文は物語文一題形式で、設問は記述問題主体ですが、数問は記号選択問題が出題されます。記号選択問題は平易なものが多いので、まずはここでしっかりと得点することが大切です。また、記述はどの問題も、部分点以上を確保しましょう。最後に自由記述が出題されるのも、暁星中の国語の特徴といえます。
本年度も物語文で、出典は岩城けいの「Masato」でした。主人公のマット(日本人である真人の呼び名)は海外(オーストラリア)の学校で疎外感を感じていましたが、オキーフ先生の薦めにより、劇で海賊役を演じることになります。そのことを通じて、マットが様々なことを感じ、精神的に成長していく場面です。
通常、物語文は前書きの部分で、設定が説明されることが多いのですが、今回は前書きがありません。本文を読み進めながら、登場人物の設定や背景をつかんでいく必要があります。
「経(つ)」「同士」「相変(わらず)」など、すべて小学校で習う漢字からの出題です。ここでは確実に点数をとりたいところです。
傍線部の前の「去年は劇で木の役をやらされた」という記述に着目しましょう。「顔を茶色にぬられて立たされて」とあり、マット自身は人前で恥を書かされたと思っています。
空欄に合う副詞を選ぶ問題です。空欄前後の確認をしっかりと行えば、難しくないでしょう。Aには、初めから劇をやりたいとは思わなかったという内容になる言葉を、また、Bには、コンテストにはよく出ているけれども、1位にはなれないという内容になる言葉を選びましょう。
オキーフ先生の人柄を表すものとして「ふさわしくない」ものを選択する問題です。傍線部③の後の段落から、オキーフ先生は生徒思いの良い先生だけれども、自分の身の回りのことに関しては無頓着であることが分かります。
心情変化を問う記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。
まずは設問文をしっかりと読みましょう。ピアノの先生がケルヴィンに言ったことはどのようなことかをつかみ、オキーフ先生の言った言葉との類似点を考えましょう。ピアノの先生はケルヴィンに「まずは楽譜をよく読み、それから楽譜に書いていないところを考えて弾くように」言ったのです。ケルヴィンのピアノを、マットがピービ―の役を演じることに置き換えてみましょう。
傍線部後に、マットがどのようにピービ―の最後を演じようとしているのかが、くわしく説明されています。そこをまとめれば良いでしょう。
傍線部後に「教室にはぼくの居場所がないって感じがしていたけれど、劇の稽古にはちゃんとぼくの出番がある」と書かれている箇所を根拠に、選択肢を選びましょう。
本文の内容をまとめる要約型記述です。ピービ―の役について書かれているのは、傍線部③の後の段落のオキーフ先生が説明している箇所と、傍線部⑦の段落でマット自身が説明している箇所です。これらを80字以内でまとめましょう。
設問文に「本文全体をふまえて」とあることや、傍線部③にもかかわらず、最後のほうに設問が割り振られていることに注意しましょう(問十一は自由記述なので、文章読解問題としては本問が最終問題です)。オキーフ先生は普段のマットの様子を見ていて、クラスの仲間から孤立していると感じていました。そういった苦しみを抱えているマットだからこそ、ピービ―の役を演じられると思い、また、その役を通じて「何か」を感じ取ってほしかったのだと考えられます。
自由記述の問題です。今回は「信頼する人に言われて、それに従い行動する」というテーマで書きましょう。「尊敬する先生や親、仲の良い友人」などから言われて、実際に行動した例を挙げると書きやすいと思います。
「合否を分けた一題」として、問五を解説しましょう。問題形式は字数制限なしの記述です。設問文では「『ぼく』の『ピービ―』に対する気持ちはどのように変化したか」と問うていますので、心情変化型の記述問題ということが分かります。心情変化型の記述は暁星中に限らず、中学入試では頻出です。
心情変化型は「変化」という言葉通り、前と後の気持ちを対比させて考えるのがポイントです。ここでは、傍線部⑤のときと傍線部⑦のときの解答要素を2つに分けて、以下のように整理します。
[傍線部⑤のとき]…傍線部を含む段落から、以下の内容が導けます。
ピービーの役はセリフがなく、ただその場にいるだけのような役である。
ピービーの役は面白みがなく退屈だと思っている。
ピービ―の役を引き受けたことを少し後悔している。
[傍線部⑦のとき] …傍線部を含む段落とその前の段落から、以下の内容が導けます。
仲間を助けたくて一生懸命ラッパを吹いているのに、誰からも相手にされないピービ―のつらい気持ちを、これまでの自分の境遇と重ね合わせる。
どうしたらその気持ちを表現できるかをいろいろと考えた。
ピービ―を演じるのがやりがいのあるものに感じられるようになった。
前述したように、この問いは字数制限がないので、本文中から拾える解答要素はできるだけ拾い集めたほうが無難です。少し小さめの字で書いて、それでも解答欄からはみ出るようでしたら、削っていけばよいでしょう。
(解答例)
傍線部⑤のときは、ピービーの役はセリフがなく、ただその場にいるだけで面白みもなく、退屈に思えて、役を引き受けたことを少し後悔していた。しかし、傍線部⑦のときは、仲間を助けたくて一生懸命ラッパを吹いているのに、誰からも相手にされないピービ―つらい気持ちを、これまでの自分の境遇と重ね合わせ、どうしたらその気持ちをうまく表現できるかをいろいろと考えたら、ピービ―を演じるのがやりがいのあるものに感じられるようになった。