問1 | 1 A 2 A 3 A |
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問2 | 1 A 2 A 3 B 4 B |
問3 | 1 A 2 A 3 B 4 B 5 C 6 A |
問4 | 1 A 2 B 3 A 4 A 5 A |
問5 | 1 B 2 B 3 A 4 C 5 A 6 A 7 B 8 B |
A…慶應普通部合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2018年度の慶應普通部は、観察と実験をテーマに、各分野の幅広い知識と根本原理に根差した思考力を問う構成になっています。試験時間が30分と短いなかで、確実な知識と処理能力が求められ、非常に厳しい戦いだったと思われます。
小問集合は2題で、測定・観察・実験について、地学・化学・生物分野からの出題。
生物分野の問題は2題で、潮干狩りで採集したいろいろな貝についての問題と、動物園で見られる動物についての問題。
物理分野の問題は、ペットボトルの水面の高さと穴から流れ出る水の距離について考える問題。
慶應普通部特有の、「食材の食べ方や調理法」については、あさりの砂抜きが出されています。
対策としては、基礎知識をしっかり身につけるとともに、普段から生活全般や自然に関心をもち、取り巻く環境と関連づけて考えるようにしましょう。特に生物分野については、一般的な教材だけでなく、図鑑や資料集で調べ学習をしたり、動植物園に足を運んだりして、いろいろな生物に接することも大切です。作図対策として、生物を模写する練習もしておくとよいでしょう。
問題構成は、4分野から大問5題、小問43問。
解答形式は、記号選択が31問、記述が6問、作図が3問、言語が1問、数字が1問、グラフが1問。
選択肢は、ほとんどがすべて選ぶものであるだけでなく、選んだものを並び替えるといった形式もあり、より難易度が高くなっています。
記述は、いずれも10~18字の字数指定があり、内容に対して字数が少ないため、工夫が必要です。
作図は、見たことがあるけれども、かくとなると手掛かりにとぼしいと感じる題材ばかりでした。
グラフは、難しいものではありませんでしたが、少々手間がかかるものでした。そのグラフから数字を読み取る問題が続き、時間との闘いのなかで、どれだけ正確に処理できたかが問われます。
(小問集合)測定・観察についての問題です。
基本の知識の問題ですが、「間違っていることを」「すべて」選ぶ選択肢の形式です。注意して取り組みましょう。
気温は、決まった方法で測らなければなりません。
温度計の下の方を持つと、手の温度が球部に伝わって正しく測れません。また、ひもでつるすと、温度計自体が動いて読み取りにくく、破損のおそれもあります。
顕微鏡の使い方についてです。レンズは、倍率の低いものから順につけます。明るさを調節するのは、反射鏡です。
星座早見盤はふつう、経度は調整できますが、緯度を変えることはできません。
(小問集合)いろいろな操作に関する問題です。
操作の手順を選択肢から選び、正しく並べ替えます。
1度でもやったことがある操作であれば、正解できるのではないでしょうか。使用しない選択肢がいくつか含まれているので、惑わされないよう注意します。
ガスバーナーをつける操作は、よく出されるので完璧におぼえておきましょう。ポイントは、どこで点火するかです。
アサガオのタネのまき方です。タネは、1㎝くらいの穴に、丸いほうを上にして一つづつ置き、土をかぶせます。
食塩水の作り方です。
食塩は潮解性(空気中の水蒸気を吸収する性質)があるので、測り取ってからすぐに水に溶かします。
木炭電池の作り方です。
木炭・食塩水を含んだキッチンペーパー・アルミホイルの順に重ねます。木炭とアルミホイルを電極とします。
(生物)潮干狩りで採集したいろいろな貝に関する問題。
採集した貝を殻の形と大きさで分類したグラフの読み取り、あさりの生態、みそ汁の作り方、貝殻が見つかる地層と、普通部らしい展開です。
図2は長さと高さ、図3は長さと幅の関係の分布図です。貝A~Cの分布の特徴がはっきりしているので、分類しやすかったのではないでしょうか。
長さが同じとき、A:幅が小さくて低い。B:幅が小さくて高い。C:幅が大きくて高い。という特徴があります。これに、形をあてはめます。
採ってきたあさりは、体内に砂を含んでいるので、砂抜きをしてから調理します。
海水または3%の食塩水に入れておくと、入水管と出水管を出して水を出し入れするうちに、体内から砂が出ます。
作図の問題です。あさりが砂の中にいるときは、入水管と出水管を砂から海水中へ出しています。
図5の矢印のところが上になるように貝をかき、2本の管をつけ加えます。(図を参照)
地層(ツ)は、「くだけていた」殻と「はずれていた」殻がほとんどをしめ、他の地層とは大きく異なります。こういった殻は、ヒトが食べて捨てたものと考えられ、貝塚のある地層とわかります。
貝Eは、「高さ」より「長さ」の値が大きくなっています。傾きの小さい(ネ)を選びます。
貝Fは、「高さ」より「長さ」の値が同じくらいです。1:1の傾きの(ヌ)を選びます。
(物理)ペットボトルの水面の高さと穴から流れ出る水の距離に関する問題。
台にのせたペットボトルに水を入れ、そこから2㎝の位置にあけた穴から流れ出る水が床に落ちるまでの距離を測ります。ペットボトル内の水の高さと、穴から流れです水の距離との関係を測定して結果のデータを処理します。
ゴム栓を外して、水が出始めてからの時間をはかっています。ゴム栓をしている間は、穴から水が出ません。
→合否を分けた一題参照。
実験Ⅰと実験Ⅱを比べると、穴の大きさが変わっても、「水面の高さ」と「水の距離」の関係は変わらないことがわかります。穴が2つになって水が出る穴の面積が2倍になっても、「水の距離」は変わりません。
実験からわかることをすべて選ぶ記号選択の問題です。
カ:水面の高さが2㎝になったときが、水が出なくなるときです。図2から、実験Ⅲ→実験Ⅱ→実験Ⅰの順に水がなくなります。→正しい
キ:水が出なくなるまでの時間が最も短いのは、実験Ⅲです。→正しくない
ク:2でかいたグラフから、水の高さがわかれば、水の距離が決まることがわかります。→正しい
ケ:穴の大きさが同じで、ペットボトルの大きさがちがう実験Ⅰと実験Ⅲを比べます。図2をみると、実験Ⅰよりも、むしろ実験Ⅲの方が、水の高さの変化が大きいことがわかります。→正しくない
コ:ペットボトルの大きさが同じで、穴の大きさがちがう実験Ⅰと実験Ⅱを比べます。図3を見ると、実験Ⅱの方が水の距離の変化が大きいことがわかります。→正しくない
(生物)動物園で見られる動物に関する問題。
大変細かい知識を問う問題です。さらに、いろいろな動物の生態系とその変化について考えます。
キリン・シマウマ・ゴリラはアフリカ。パンダは中国。ナマケモノはアメリカ。コアラはオーストラリア。タヌキは、アジアでは固有種ですがヨーロッパにも生息しています。アライグマはアメリカから、アジア・ヨーロッパにも生息域を拡げています。
キリン・シマウマは草原、パンダ・タヌキ・アライグマは森林にくらしています。
ナマケモノ・コアラは、木の上で生活します。
解答欄には、キリンは身体、パンダは正面からの顔がかかれています。
キリンは足の先を除いてほぼ全体に、タイルをならべたような模様をかきます。
パンダは、顔の目のまわりと耳を黒色でぬりつぶします。
目が顔の横についているのは、草食動物の特徴のひとつです。視野を広くして、肉食動物の襲撃にそなえています。
むかし、マダガスカル島・インド半島・南極大陸・オーストラリア大陸は、一つの大きな大陸だったと考えられています。マダガスカル島は、他の大陸から切り離されてから、生物が独自の進化をとげたため、固有種の割合が大きいのが特徴です。ここでは、オーストラリアの固有種であるコアラを選びます。コアラは有袋類で、子どもを腹にある袋の中で育てます。同じような動物に、カンガルーがいます。
アライグマは、特定外来種に認定されています。日本の固有種(カエル・サンショウウオ・二ホンザリガニなど)を食べたり、鳥(シマフクロウ・タンチョウ・アオサギ)の巣を襲ったりすることが確認されています。
動物園は、世界各地の動物を収集・飼育して、広く一般に公開する施設です。
リクリエーションとしての役割のほかに、
①生態系や環境についての教育 ②種の保存のための研究 ③希少動物の保護・繁殖
などの役割があります。どれか1つ書けていればよいでしょう。
「水の距離」は、水圧が大きいほど長くなります。水圧は、水の深さによってちがい、深いほど大きくなります。水の深さは、この実験の場合、水面から穴までの距離にあたり、(水面の高さ-2)㎝と考えます。
実験Ⅱでは穴の大きさを、実験Ⅲではペットボトルの大きさを変えていますが、どちらの場合も、「水面の高さ」によって「水の距離」が決まることを確かめることができます。
この作業を、迷いなく確実に行えることができれば、これ以降の問題にも迷うことなく解答できると考え、合否を分けた一題とします。
測定値の印を、同じ時間でひろい、「水面の高さ」と「水の距離」の値を、解答欄のグラフにポイントしていきます。実験Ⅱ・Ⅲとも、実験Ⅰの結果とほぼ重なります。
2から、「水の距離」は、「水の高さ」で決まることがわかります。
グラフから、「水面の高さ」が15㎝のとき、「水の距離」は28㎝と読み取ることができます。