国語の試験時間は40分。満点は100点です。配点は、4教科各100点ですが、理科・社会の試験時間は30分ですから、理科・社会の方が1点の重みが大きいともいえます。
理科・社会は単に知識を問うのではなく、何らかの形で頭を使う問題が多く出題されますが、算数・国語も何らかの気づきを求めるような問題が多く出題されていますので、問題に取り組む際にも、どこに着眼するか、を重視するようにしましょう。
まず、物語文問題の対策ですが、普通部の物語文では、設定理解に苦労しないよう、様々な設定の文章を、情報を拾いだしながら手際よく読み、状況を整理してつかめるようにする対策が有効です。
平成24年度の一では、「釣り」「入漁料」「漁業協同組合」といった背景から、状況を理解する必要があります。平成23年度の一では、「寺の施餓鬼の法要」の理解は不要なのですが、「屋台」「型抜き」のしくみは理解する必要があります。平成22年の一では、「合唱大会」「コーラス部」「タクト」など中学校の部活の練習という設定を理解する必要があります。
平成21年度の一は、引っ越しに伴う友情の微妙なゆらぎをとらえることが求められています。実際に設問で問われるのは、設定の中での登場人物の心情であったり、表現の内容理解であったり、語句知識ですが、どういう話なのかを大づかみに理解したうえでないと、的確に 解答できない恐れがあります。
はじめは、何の話なのか、いつごろ、どこで、何がどうしてどうなる話なのかがよくわからないまま読み始めることになり、かなり読み進んでいかないと、話のポイントがつかめない、最後まで読まないと話のポイントがつかめない、という点で、ある程度の分量の文章を集中力を保って読みとおす練習が必要と思われます。
過去問の文章を素材にして、それがどういう話なのか、話の重要なところはどこなのか、をうまく整理できるように、話の内容を簡潔にまとめあげる練習をすることで、普通部で出される物語文の雰囲気が理解できることでしょう。ことばを追うだけでなく、意味内容を的確に推測したり、補ったりしながら読み進むことが、問題を手際よく解くために必要です。
解読・精読するつもりで、どこまで深く理解できるかに挑戦してみたうえで、設問に正解するために、何をどこまで読み取る必要があるか確認してみてください。かなり「本質的」なところまで読み取ることが要求されていることに気付くはずです。
文章中の情報を整理するトレーニングも必要です。時間、場所、人物の動きなどを関係付けながら整理する問題は頻出です。文章の中から、事実情報をメモ的に拾い出して整理する練習、たとえば、できごとを時系列にそって簡潔に整理する、場所の移動をたどってみるなどの練習が考えられます。
次に、随筆文問題の対策ですが、普通部でとりあげられる随筆系の文章は、比較的短いという特色があります。試験時間との関連もあるようで、ポイントがしぼられた切り出し方になっています。随筆文の読み取りにあたっては、筆者の体験・できごとといった具体的な部分を通じて、筆者がどのようなことを訴えているのか、伝えようとしているのかをつかむことが重要です。
結局、筆者は何が言いたいのか、何を伝えようとしているのか、に関わる部分を見つけ出して、筆者の主張・考えとしてまとめてみる練習を、随筆文問題に取り組む際に、オプションとして加えていくことで、効果的な対策になると考えられます。内容の正確な読み取りを要求する出題も多いので、問題を解く際に、必ず、文章中の確実な根拠に照らして判断する習慣づけをすることが大切です。
語句知識については、過去問で実際に問われた言葉を調べ、どの程度の言葉の知識が求められているかを確認しましょう。「ひざがわらう」、「使い勝手のよい」、「とりこにする」、「おもむろに」、「寛容」、「血相を変える」などの理解が求められています。お子さんにとっては、自然に身についていく種類の語彙ではありませんので、意識的に語彙を強化する必要があります。語彙や慣用句などをまとめてドリル化した教材を活用する方法もありますが、日々、接する文章を通じて、ことばに対する感覚を磨き、意味を確認していくようにしましょう。
ことわざ・慣用句・四字熟語、文法については、まず、塾教材の知識部分(たとえば、予習シリーズであれば5年の上・下)をコピーして覚えきるなど、塾授業と並行して行うには分量が重すぎるような課題を小分けにして1か月くらいかけてこなす方法が考えられます。また、市販の持ち運びも可能なまとめ教材(ポケでる、ズバピタ、要点ランク順など)をこなしておくことでも基本を固めることはできるでしょう。ただ、それだけでは足りません。語彙に関しては、貪欲に強化し続けることが大切です。