A…慶應普通部合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題
一 | 問一 A 問二 ① A ② B 問三 A |
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二 | 問一 A 問二 B 問三 B 問四 A 問五 A 問六 B 問七 B 問八 B 問九 A 問十 B 問十一 A 問十二 B 問十三 B |
三 | 問一 B 問二 A 問三 A 問四 B 問五 B |
四 | A |
韻文(詩)で出典は工藤直子の「なんとなく・青空」でした。せみが脱皮をする場面に自らの気持ちを重ね合わせるという内容のもので、「生まれ変わる勇気」がテーマとなっています。
「殻」「生まれ変わるためのもの」がヒントになります。「いつか帰る」や「楽しく過ごす」、「家族と生活する」などは、この場面ではふさわしくありません。消去法で考えていきましょう。
①脱皮後のせみの命は短く、また、地上での生活はこれまでのものとは全く異なります。ただ、成長するためにそれを拒むわけにはいかないのです。
②なかなか一歩を踏み出せないで躊躇している「私」に対して、重要なヒントを投げかけていると考えられます。
飛び立ったせみをしっかりと抱きよせられるものは「空」しかありません。ここでは擬人法が用いられています。
物語文で出典はバーバラ・オコーナー作・こだまともこ訳の「スモーキー山脈からの手紙」です。主人公のカービーは学校で問題を起こし、スモーキーマウンテン少年学院に転校することになり、カービーの母親が車で学校まで連れていく場面です。周囲の人から理解されないカービーの苦しい心情と、現状に対する母親のいらだちを中心に読み進めましょう。
カービーは立ち寄ったガソリンスタンドでキャンディを盗みますが、そのあとで舐めもせずに、車外に捨ててしまいます。このことから、キャンディが欲しくて盗んだのではないことが分かります。
傍線部の時点では、カービーは新しい学校に転校することを快く思っていません。唯一の理解者ともいえるバーラさんとお別れをするのが辛かったのだと考えられます。
傍線部の後に続くカービーの「心の声」に着目しましょう。「頭に来ているので、たちが悪そうに見える」と書かれています。
「これ」が指す具体的な内容を答えます。「新しい学校に転校してやり直す」という内容でまとめましょう。
設問文に「本文中の言葉を用いて」とありますので、傍線部の直後の母親のセリフ(「二度とあたしの家の敷居はまたがせないから」)を参考にすると良いでしょう。「カービーを見捨てる」という内容でまとめましょう。
傍線部の後に「ヴァ―ジルみたいな、病気でしょっちゅう寝こんでいる年よりと結婚したのは、母ちゃん自身がやらかした大失敗だ」とあります。これを根拠に解答を選びましょう。
後ほど「合否を分けた一題」で解説します。
傍線部中の「そういう言葉」とは「下品な悪態をついた」ときに発した言葉です。カービーの発言に対して、普通の大人なら激怒するところを、バーラさんは寛大に受け止めてくれたのです。
傍線部の後に書かれているように、カービーは自分の声で発するまで、自分が転校することを気にしているとは認識していなかったのです。
傍線部の前の場面で、カービーが母親と川を渡ってみたいと思っていたことが書かれています。そのことと繋げて考えましょう。
傍線部中の「そんなこと」とは、後の「こういう山の中ってなんだかいいな」を指しています。転校することに対して乗り気でなかった自分を、ここで否定するわけにはいかなかったのです。
カービーは学校のことも母親との関係もうまくやっていきたいと思っていますが、すべてが空回りしています。その状況に対して、苛立ちがつのっていて、動作に現れていると考えましょう。
カービーの母親像を選択する問題です。本文から読み取れるカービーの母親像は、「現在の暮らしに不満を持っているものの、カービーを完全に見捨てるほど冷徹な人間でもない」というものです。まずは、事実として明らかに間違っている(本文に書いていない)選択肢を消去していくとよいでしょう。
随筆文で出典は「毎日新聞 平成十八年 十月十七日 夕刊(梅田望夫)」です。アメリカのシリコンバレーで働く筆者が、「約束時間を守ろうとすることによって生じる精神的疲労」について述べたものです。
設問文の「どのようなことのあらわれか」という箇所をしっかりと確認しましょう。傍線部に続く文章で具体例が述べられていて、その後、一般化されている箇所に着目しましょう。
若い世代は携帯電話を持っているのが前提なので、待ち合わせをする際に、かつてのように正確な場所と時間を設定する必要がないのです。
「同世代の友人たち」は「若者たち」をシニカル(皮肉交じりに)にながめるわけですから、「同世代の友人たち」は、筆者と同年代ということになります。
「その場その場で事に処する」ことができるのは、若者世代です。そして、このことを筆者は「意識的に指向し」「うらやましい」と感じています。
この文章では、若者のしなやかな生き方を批判するのではなく、むしろ肯定的に見ているということがつかめれば、正解を選ぶのは難しくないでしょう。
慶應普通部の国語というと「記号選択問題や抜き出し問題が中心」という印象があります。今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、慶應普通部の国語攻略のカギは、まず記号選択問題や抜き出し問題のパターンを熟知し、いかにスピーディに問題を処理していくかが、合否の鍵を握っていると言っても過言ではありません。特に、抜き出し問題はできるだけ時間をかけずに、答えまでたどり着くことが大切です。
それでは「合否を分けた一題」として、二の問七を解説しましょう。
ここでは、この時点でカービーがスモーキーマウンテン少年学院に対して、どのような印象を持っているかを問うています。まず、傍線部の前の「家から、遠く、遠くはなれて」という文章に着目しましょう。また、傍線部の後に「〈悪い子たちの学校〉と、エースは呼んでいた」「〈刑務所の一歩手前〉と、ヴァージルはいっていた」と説明されています。さらに、そのあと続く「学校の説明書」には、スモーキーマウンテン少年学院が良いところであるように書かれていますが、もちろん、カービー自身はそう思ってはいません。
以上のことから、カービーは「みんなに嫌われて、どうしようもない学校に追いやられる」と感じていることが分かります。抜き出し箇所が傍線部より離れているため、やみくもに探すのではなく、解答のイメージを持ってから探すことが大切です。
(解答)
みんなに、も ~ くへやられる