1 | 問1 A 問2 A 問3(1) B (2) A 問4 A 問5 A 問6 A 問7 (1)A (2) B |
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2 | 問1 あ A い A う A え A お B 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 B 問7(1)B (2)A 問8 A 問9 A 問10 A 問11 A 問12 A |
3 | 問1 B 問2 B 問3 B 問4(1)A (2)A 問5 B 問6 イ A ロ A ハ A |
A…雙葉中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2021年度の雙葉中は、全体を通じて例年通りの難度であったと言えます。ここ何年かの傾向として見られる、時事問題に関連させた問いも特に公民分野で出題されました。
大問1は地理分野からの出題です。日本地図をもとに、地理分野の気候、地形、産業、貿易からまんべんなく問われました。
大問2では、日本と諸外国との関わりについて、主に外交史に関連して出題されました。
大問3は、公民分野の中から時事問題に関連して日本国憲法や政治のしくみについて問われました。
Cランクの難問はなく、基礎を盤石に固めること、時事問題について周辺知識を踏まえ学習することが求められる学校です。
記述問題は短いものも含めて4題出題されていますが、いずれも模試や塾のテキストで見覚えのある知識記述であったと思われます。問題文で指定されている条件の読み落とさないよう留意して、確実に得点しましょう。
問題構成は3分野から大問三題、小問36問。問題数も例年と変更はありません。
種類別に見ると、語句補充問題が14問、記号問題が18問、記述問題が4問です。
(地理分野)日本地図をもとに、地名や地形、断面図、エネルギー、産業、人口問題、貿易と幅広く出題されています。地理分野からは地名、気候(雨温図の判別)、貿易港に関する問題は毎年のように出題されますので、取り落としのないようくりかえし学習しておきましょう。
都道府県庁所在地の中で、「日本の湖の中で面積の大きさが10位以内である2つの湖に面している都市」とありますので、中海(全国5位)・宍道湖(全国7位)に面する島根県の松江市が正解となります。
断面図を見てあてはまる場所を選ぶ問題です。
飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈の日本アルプスを通るC-Dが解答となりますが、飛騨山脈と日本海の間に黒部川が通っているので、合計4カ所隆起している地形となります。
平均気温・降水量を見て都市を判断する問題です。断面図中●印で示された都市は富山市です。
冬の降水量が夏と比較して多い「ハ」が富山県を示した表です。
ここで注意しておきたいのが、日本海側の都市は初夏に梅雨、夏の台風両方の影響を受けるため、夏の降水量も決して少なくないということです。
イ 冬と夏の降水量の差が大きく、平均気温の開きも大きいことから太平洋側の気候だと考えられます。
ロ 1月・7月とも温暖であることから南西諸島の気候です(沖縄県那覇市)
ニ 1月・7月とも気温が低いことから北海道の気候、そのうち冬の降水量が比較的多いため日本海側に位置する気候です(北海道札幌市)。
地図中A~Fの地域の産業について述べた文を読み、正しくないものを選びます。
ロ Bは京浜工業地帯に位置します。京浜工業地帯は機械・金属・石油化学などの重化学工業の比率が高いことが特徴です。国内向けの製品の輸送には主に鉄道、自動車が用いられますので、Bは誤りとなります。
ホ Eに位置する漁港は境港です。境港はあじやさばの水揚げ地となっています。八戸港はさば・いかの水揚げ、焼津港は遠洋漁業の基地(かつお・まぐろの水揚げ)というように漁港ごとに多く水揚げされる魚が異なりますので、漁法・漁港の学習とともに整理しておくとよいでしょう。
イ 小さくて軽く、高価な通信機や科学光学機器、医薬品が運ばれていることから成田国際空港です。同じ空港である関西国際空港との判別ポイントは、成田空港の輸出品の上位に「金(非貨幣用)」が含まれていることです。
ロ 京葉工業地域に位置し、石油化学コンビナートがあり、鉄鋼の生産がともに行われる千葉港です。
ハ 衣類や魚介類の輸入が多いことから、大消費地の近くにある東京港です。
ニ ロ と似ていますが、金属・機械・石油化学工業がバランスよく発達している阪神工業地帯に位置する神戸港です。
理由記述の問題です。「食品が食卓に届くまでに消費される燃料や二酸化炭素の排出量がアメリカやイギリスに比べてはるかに多い」とは何を意味しているのかを考えます。
「燃料や二酸化炭素の排出量が多い」ということは、食品が長い距離を運ばれてきていることを示します。
食品の輸送にあたり排出される二酸化炭素が環境に与える負荷を考えたもので、「フードマイレージ(食品の輸送距離)」といいます。食品の重さ(t)と輸送距離(km)を掛け合わせたもので、トン・キロメートルという単位で表し、フードマイレージが高い国ほど環境に与える負荷が大きいということになります。
日本はカロリーベースで約40%と食料自給率が低いこと、「世界の食糧庫」と呼ばれるアメリカ、1970年代以降食料自給率が向上し、約80%に達しているイギリスと比較していることに着目して解答を導きます。
(歴史分野)歴史分野より、日本と諸外国との関わりを年代順に並べた問題です。
主に外交史に関する出題ですが、政治史・文化史・産業史からの出題も見られます。基礎的な知識で解ける問題がほとんどなので、ここで失点してしまうと周囲との差が開いてしまう大問だったといえます。
あ 壇ノ浦の戦いは1185年のできごとです。
い 大仙古墳は古墳時代のもので、5世紀につくられたと見られています。
う 日本が朝鮮を植民地にしたのは、1910年(明治43年)のことです。
え 中国から鑑真が来日したのは、奈良時代の754年のことです。
お 日本の国民総生産(GNP)がアメリカに次いで初めて世界2位になったのは1968年のことです。
「本格的に米作りをしていたことがわかる遺跡」ということから、弥生時代の遺跡を選び、そのうちもっとも東にあるものを答えます。
選択肢のうち、弥生時代の遺跡はロ 板付遺跡、ニ 登呂遺跡です。そのうち東にある登呂遺跡を選びます。
「魏志」倭人伝に「以前は100余りの小国に分かれていた。…今使節を送ってくるのは30国ほどである」と記述がある通り、この時代の日本はいくつもの小国に分かれていました。邪馬台国は、当時東アジアの中で絶大な権力を持っていた中国(魏)の皇帝に倭の王であることを認めてもらい、後ろ盾を得ることで他の国に対して優位に立つために使いを送りました。
キリスト教を信仰する大名のことを「キリシタン大名」と呼びます。天正遣欧使節は宣教師バリニャーノの勧めで本能寺の変(1582年)の直前に日本を出発し、スペイン国王、カトリック教会の長であるローマ教皇に会って帰国しました。
1590年に帰国したときには既に豊臣秀吉により「バテレン追放令」が出された後で、日本国内での布教は禁止されていました。
鎖国が完成した1641年当時の将軍は、江戸幕府の3代将軍徳川家光です。
イ 参勤交代の制度は3代将軍家光のときに、武家諸法度に付け加えられました。
ロ 豊臣氏が大阪夏の陣で滅ぼされたのは1616年で、2代将軍秀忠のときのことです。
ハ 大塩平八郎の乱は1837年のできごとです。
ニ 杉田玄白、前野良沢らがオランダの医学書「解体新書(ターヘル=アナトミア)」を翻訳したのは江戸中期にあたる1774年のことです。同時代の人物として田沼意次がいます。
ホ 日光東照宮が建て直されたのは、3代将軍家光のときのことです。日光東照宮は徳川家康が亡くなった翌年、2代将軍秀忠のときに創建されたものですが、陽明門をはじめとして現在残っている社殿の多くは、3代将軍家光の時代に建てられたものです。
ヘ 伊能忠敬が測量を行ったのは、1800年~1817年のことで、化政文化の花開いた時期と重なります。同時代の人物として、喜多川歌麿、本居宣長、十返舎一九、滝沢馬琴などがいます。
中華人民共和国の建国は1949年のことです。中華民国の成立(1912年)との混同に注意しましょう。
イ 第一次世界大戦の開戦は1914年のことです。
ロ 西南戦争は1877年におこりました。
ハ 朝鮮戦争は1950年に、北朝鮮軍が韓国に進軍したことにより開戦しました。日本が植民地としていた朝鮮半島は第二次世界大戦後ソ連・アメリカによって分断占領され、1948年に「朝鮮民主主義人民共和国」「大韓民国」として独立しました。
ニ 日露戦争は1904年に開戦しました。
ホ 日中戦争は1937年に開戦しました。
(公民分野)現在の日本で起こっているさまざまな問題について、時事問題的な知識と結び付けて問う問題です。
問3、問5は単なる用語の暗記だけでなく、言葉の定義や因果関係も踏まえて理解しているかどうか試されました。
問3のように基本的人権の例について、条文の内容に照らして適切なもの/適切でないものを選ぶ問題は、2019年、2018年、平成26年、としばしば出題されています。過去問に取り組む際に解説をよく読み込んでおきましょう。
関東大震災が起こったときには、朝鮮人が暴動を起こすというデマが流れ、多くの朝鮮人・中国人が殺害されるという事件が起こりました。
基本的人権のうち自由権の一つである「生命・身体の自由」は、どのような場合でも、奴隷のように扱われ自由な行動を制限されたり、罪を犯したという理由以外で苦しい労働を強制されたりすることはない、というものです。
また、法律の定める手続きなしに逮捕されたり刑罰を科せられたりすることはなく、自分に不利益なことは証言しなくてもよいという黙秘権も認めています。
合否を分けた一題で取り上げます。
雙葉中の特徴として、記述問題では理由を問う問題が多く出題されます。各分野の学習に際し、因果関係意識してまとめていくと得点につながります。出題の仕方としては典型的なものがほとんどですから、塾や市販の記述問題集で典型題に取り組んでおくことも有効です。
少子高齢化によって税金が不足する理由を答えます。解答らんが2行分用意されていますので、8割程度埋めることができるよう意識しましょう。
「税金が不足する」ということは、納められる税の金額に比べて国が使うお金が多い状態、ということになります。
①生まれてくる子どもの数が少なくなる「少子化」
②全体に占める高齢者の割合が大きくなる「高齢化」
これらの2つの側面から、納められる税(国の収入)、税の使い道(国の支出)について考えます。
①少子化による問題は、労働の中心となる世代の人口(15~64歳の生産年齢人口)が減少することです。国の税収は多い順に所得税、法人税、消費税…と続き、所得税・法人税のみで約50%を占めています。このことから、生産年齢人口の減少は税収の減少につながると考えられます。
②高齢者の占める割合が大きくなると、年金や医療費、介護のために使われる社会保障関係費が多くかかるようになります。
つまり、国の収入が減って支出が増えるということになりますね。
以上の2点を組み合わせて解答とします。