[1] | A |
---|---|
[2] | (1)A (2)B |
[3] | (1)A (2)B |
[4] | (1)A (2)B |
[5] | (1)A (2)B (3)B |
[6] | (1)A (2)B |
A:雙葉合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき問題
今年度(2014年度)は「雙葉の算数は丁寧に粘り強く処理する」という定説通りの入試問題セットです。ミスを誘う問題が散りばめられた、受験生泣かせのセットだったともいえます。
雙葉の算数といえば記述型ですが、すべての問題に「式と計算と答え」「考え方と答え」が要求されています。今年度、上位の女子校で100%記述型だったのは、フェリスと鷗友、そして雙葉と数えるほどしかありません。部分点を少しでも稼げる答案作りを意識して対策を積んできた受験生は報われたことでしょう。
突出した難度の大問はありませんが、すべての大問が一定ラインの難度を保っていて、かつミスを誘います。合格ラインは例年より低めでしょう。6割を超えれば十分勝負できます。
以下、各問の内容について見ていきましょう。
冒頭の[1]は何の変哲もない計算問題。絶対に落としてはいけないボーナス問題です。
[2]は円周率計算が絡む平面図形の問題に割合と比を融合させたもの。
設問(1)は等積移動で半円の面積を求めるだけ。
設問(2)が今年度最初の鬼門。雙葉ではお馴染みの小数計算の概数指示ですが、いつもの「四捨五入」ではなく「切り上げ」になっています。うっかり四捨五入した受験生は誤答となる数値設定にしてあるのがちょっぴり意地悪ですね。
[3]は余りが出る、かつ、植えない位置の処理に手間取る植木算の問題。けっして難しくないのですが、ミスなく解き切るにはかなりの集中力が求められます。本問については、後ほど詳細を解説します。
[4]は長方形の平行移動の問題。ミスを誘う大問が並ぶ中、意図的な落とし穴が見当たらないまっとうな大問です。とはいえ、雙葉を目指す生徒はさほど突っ込んで対策を積んでいない移動系の問題なので、得手不得手で差がついたことでしょう。
[5]は雙葉頻出の丹念に調べ上げる条件整理の問題。これもけっして難しくないのですが、設問(2)に落とし穴があります。4回目・5回目については「Bが2回勝って8段上る⇒Bはチョキ2回またはグーとパー1回ずつ」、6回目については「Aが1回勝って3段上る⇒Aはグー⇒Bはチョキ」と判断するところまでは到達すると思いますが、ここでBの4回目~6回目の出し方を(パー・グー・チョキ)、(グー・パー・チョキ)、(チョキ・チョキ・チョキ)の3通りと考えてはいけません。リード文中に、6回目を終えたときに「初めて」2人が並ぶという条件がこっそり書かれているので、4回目に2人が並んでしまう(パー・グー・チョキ)は除外します。
[6]は9本の直方体を積み上げた立体の問題。10年以上出題がなかった立体図形が復活し、動揺した受験生も少なからずいたことでしょう。このジェンガのような立体については、今年度の市川中第1回入試でも同様の出題がありました。
設問(1)は、図3の立体の体積が、結局は図2の立体の体積と等しいことに気づけば簡単です。気づかなくても、9本の直方体の体積を求めるだけですので、ここは落とせません。
設問(2)は、どのように解くかの方針により、難しくもなり、易しくもなります。所要時間が最も少なく済む解答方針は、直方体9本の表面積の合計から接着面の面積の合計を引くというもの。接着部分が14か所あるので、接着面は2倍の28面あることにも留意が必要です。最後まで気を抜けませんね。
では、2014年度の合否を分けた一題として、[3]を取り上げます。
右図のような道があります。Aから50cmおきにパンジーを、80cmおきにチューリップを植えます。パンジーとチューリップが重なるところでは、パンジーは植えずにチューリップだけを植えます。A、B、Cには花は植えません。
(1)AからBまでは70mです。
この間に植えた花はそれぞれ何本ですか。 (式と計算と答え)
(2)AからCまで植えたら、チューリップは196本でした。
AからCまでパンジーは何本植えましたか。考えられる本数をすべて書きましょう。
必要ならば、答えの線をのばして書きましょう。(式と計算と答え)
(1)ここはミスなく確実に得点したいところです。
70m = 7000cm
まずチューリップは
7000cm ÷ 80cm = 87 あまり40cm
80cmが87個あって、あまりが40cm
Aには植えないので、 87本
パンジーは
7000cm ÷ 50cm = 140
50cmが140個
AとBには植えないので、140 - 1 = 139本
さらに、50と80の最小公倍数400cmごとにチューリップと重なるので
7000cm ÷ 400cm = 17 あまり200cm より、重なるのは17か所
139 - 17 = 122本
(2)複数解答が存在する、つまり範囲があるということです。範囲がある問題は受験生が苦手とするところ。植えない部分の処理の必要性も相まって、差がつきやすい設問です。
まず、196本というチューリップの本数から、AC間の長さを考えます。
式と計算だけで処理するのではなく、線分図や状況図を描いて可視化することで、余計なミスを引き起こさないようにしていきましょう。
197 □ (イ) |
196 □ (ア) |
…………………… | 3 □ |
2 □ |
1 □ |
A □ |
Cがちょうど(ア)の位置にあるとすると、196本目が植えられない ⇒ Cは(ア)より左側
Cがちょうど(イ)の位置にあるとすると、197本目は植えられない ⇒ Cは(イ)の位置まで
よって、AC間の長さは
80cm × 196 = 15680cmより長く
80cm × 197 = 15760cm以下
パンジーの本数を求めると
15680cm ÷ 50cm = 313 あまり30cm
15680cm ÷ 400cm = 39 あまり80cm
313 - 39 = 274本
15760cm ÷ 50cm = 315 あまり10cm
15760cm ÷ 400cm = 39 あまり160cm
315 - 39 = 276本
よって、考えられる本数は 274本・275本・276本