1 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A 問7 B |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 C |
3 | 問1 A 問2 A 問3 B 問4 B 問5 B |
4 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 B 問5 C |
A…雙葉合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
2019年度の雙葉は、例年通り、文章を読み解き、誘導に従って解いていく構成で、基本的知識と理科的な思考力を問う問題が中心でした。
地学分野の問題は、火星のようすと水の流れのはたらきについての問題。
化学分野の問題は、気体の性質についての問題。
生物分野の問題は、昆虫のふえ方についての問題。
物理分野の問題は、虫メガネの像の見え方についての問題。
題材は高校配当単元から出されることがしばしばで(本年度は2と3)、ほとんどの生徒が知らないことがらです。先取りして学習したとしても、根本的な理解はむずかしく、逆にそれが、問題の思考の流れの邪魔になります。
身につけておくべき知識は、基本的なことで十分なので、科学読み物などを通して、文章を読み解く力と、理科的な思考力を養っていくことが大切です。また、文章の読み取りとともに必要になるのは、グラフや表を読みとる力です。データの示し方には、いろいろな形式があることがあることを知っておくと、かなり有利です。ふだん読み飛ばしてしまいがちなグラフや表に注目し、何を表し、どんな意味があるのかを考えるくせをつけておきましょう。
また、雙葉特有の時事的な話題についてふれている問題が1問出されています。今年は、「火星大接近」で、きちんと準備していれば、対応できたはずです。
問題構成は、4分野から大問4題、小問41問。
解答形式は、選択肢が28問、記述が5問、作図が4問、数字が3問、言語が1問でした。
選択肢の小問数が大幅に増え、記号だけでなく、ことばから選び取るものもありました。
記述は、1行程度が3問、6~8字程度が2問。どれも比較的書きやすい内容でした。深く考える必要はありませんが、ふだんから記述になれておき、テキパキと処理できるようにしておくと有利です。
数字は、式を書かせる計算問題が3問。難しものではありませんが、考え方が伝わるように書かなければいけません。面倒でも、ふだんから式を書くくせをつけておくと、スムースに対応できるはずです。
記述の負担が少なかった分、昨年なかった作図が4問も出され、時間不足の中、かききることができた生徒は少なかったかもしれません。
(地学)火星のようすと水の流れのはたらきについての問題です。
時事的話題にからめての問題ですが、水のはたらきと地形の関係の理解へとつなげていく構成になっています。地形を、標高などの数字から考えて判断させるなど、ひねりが効いています。
時事的話題の問題です。火星大接近は、大きな話題になっていたので、ほとんどの生徒がチェックしていたのではないでしょうか。
適切でないものを選びます。アは、生物が存在していた証拠ではありますが、水のはたらきによるものではありません。イ〜オは、火星の表面に液体の水が流れていたためにできたもので、川の運ぱん作用・たい積作用・しん食作用のあとと考えられます。
根本原理に立ち返って考えます。火星は地球より太陽から遠く、大気もうすいため、地表面の温度がかなり低くなります。(平均-53℃)したがって、ほとんどの水は冷やされて、氷の状態です。
表の観測地点①~③と、選択肢ア~ウを、それぞれ川の流れのどこにあたるかを考えます。
まず、表の①~③の「基準点からの標高差」を比べると、③が最も高く、②が最も低いことがわかります。また、選択肢は、上流から順に、ア→イ→ウとなります。
基本の知識です。
川が曲がっているところでは外側、川がまっすぐなところでは中央の流れが速くなります。
これも、何度も目にしたことがある問題ではないでしょうか。川の流れが速いところほど、川底が深くけずられ、川の流れがおそいところほど、土砂がたまってあさくなります。
問4から、観察地点①は、「角が取れて丸くなっている小石が多い。」場所です。大きな重たい石は、ふだんの流れでは運ぶことができないので、大雨で川が増水したとき、運ぱん作用が強まって運ばれたと考えられます。
(化学)気体の性質についての問題です。
環境問題にからめた、いろいろな気体についての問題で構成されています。高校の基礎化学で学ぶ「同素体」の考え方に発展させる問題となっていて、高度な思考力が求められています。
「谷間やくぼ地にたまりやすく」とあるので、硫化水素は、空気より重いことがわかります。知識がなくても、文章を読み取ることで解答できる問題です。
二酸化炭素の性質や利用は、基本の知識です。二酸化酸素の水溶液は弱い酸性です。酸性雨は強い酸性を示し、その原因物質は、硫黄酸化物や窒素酸化物です。
二酸化硫黄は水によくとけ、強い酸性を示すので、酸性雨の原因の1つとされています。石灰水はアルカリ性ですから、中和反応によって、別の物質に変化させる方法であることがわかります。
酸素と窒素の重さをそれぞれ計算します。表で、吹き出す時間と気体の量が比例すること利用します。
酸素のスプレー缶を5秒間ふき出したときに取り出すことができる気体の重さは、107.02−103.82=3.2(g)です。これを、3秒間に換算すると、3.2×3/5=1.92(g)。計測容器の中の窒素の体積は酸素の4倍なので、12秒間ふき出した場合と同じと考えられるので、窒素の重さは、(111.35−108.55)×12/5=6.72(g)。表の数字を使って、式をかきます。
これも、基本の知識です。山頂は空気がうすく、平地よりも気圧が低ため、袋の中の空気が膨張してふくらみます。
→合否を分けた一題参照。
(生物)昆虫のふえ方についての問題です。
昆虫の基本の知識から、これも高校の生物基礎で学ぶ、「性フェロモン」や「誘導物質」に関する問題へと展開されています。
完全変態についての、基本の知識です。
昆虫についての、基本の知識です。
実験の結果からわかることを整理して考えます。
実験1で、カイコガのオスは、メスのすがたが見えても反応しませんが、メスが入ったペトリ皿のふたを開けると、反応します。実験2で、オスは、メスの口部におし当てたろ紙に反応しませんが、腹部末端におし当てたろ紙には反応します。実験3で、カイコガのオスは、左右の触角でフェロモンを感じていることがわかります。
図2では、物質Aの濃度が高い前方で、物質Bの濃度が低くなっています。また、図3から、物質Aがないときは、ハエのからだ全体で物質Bが高い濃度で一定であることがわかります。したがって、物質Aは、物質Bの合成をすすめるのではなく、おさえるはたらきがあると考えられます。
図2から、物質Aの濃度が高いと、物質Bの濃度は低く、物質Aの濃度が低いと、物質Bの濃度が高いことがわかります。これをグラフにすると、下の図のようになります。
(物理)虫メガネの像の見え方についての問題。
誘導にしたがって作図をし、それを手がかりに、表の数値を使って、像の大きさを計算します。時間のない中で、最後まで解き切るのは、きびしかったのではないでしょうか。
凸レンズの基本の知識です。虫メガネBの方が、虫メガネAよりも直径が大きいので、より多くの光を集め、はやく紙が焦げます。
表1から、(虫メガネから矢印Yまでの距離)÷(虫メガネから矢印Xまでの距離)=(矢印Yの長さ)の関係があることがわかります。これをあてはめて計算すると、4÷3=1.333…より、約1.33cmとなります。式と四捨五入の処理もしっかり書くようにします。
図3では、点Pから出た光は②と③に届き、点Qから出た光は①と②に届いていることがわかります。つまり、①ではQだけ、②ではPとQの両方、③ではPだけが見えることになります。
図3の像P’Q’を、虫メガネA2を通してみるときの像を考えます。虫メガネA2を、図2にあてはめて作図すると、下の図のようになります。
表2から、(虫メガネから矢印Yまでの距離)÷(虫メガネから矢印Xまでの距離)=(矢印Yの長さ)の関係があることがわかります。これを図4にあてはめると、矢印Yの長さは、15÷60=0.25(cm)です。つぎに、表1の結果を使うと、虫メガネA2から矢印Yまでの距離は、23−15=8(cm)なので、矢印Yの長さは、矢印Xの3倍になります。いま、図4の矢印Yの長さは0.25cmなので、望遠鏡を通して見えた矢印の長さは、3×0.25=0.75(cm)です。
本年も高校配当単元から2題出され、そのうち1題をとりあげました。
同じ原子でできていて、原子の個数や並び方がちがうものを、同素体といいます。酸素分子とオゾン分子は、酸素原子の同素体です。もちろん、同素体について知っている必要はありません。説明文に、考え方の決まりごとが示されているので、それを読み取って、あてはめていけばよいのです。
特に本年は、4に作図やデータ処理で手間のかかる問題があり、時間的にも、対応しきれなかったと考えられるので、この問題を落としたかどうかが、合否を分けたのではないでしょうか。雙葉にあっては、未知の問題はあたりまえと考え、強い気持ちで取り組むことが大切です。
オゾン分子は酸素原子3つ、酸素分子は酸素原子2つからできています。地球の上空では、酸素原子の結びつき方の組み合わせが、常に変化しています。
酸素原子はO、オゾン分子はO3、酸素分子はO2と書くことができます。
これを使って、⑴~⑷を表してみると、酸素原子の数がわかりやすくなります。
⑴ O2 → O + O
⑵ O + O2 → ( B )
⑶ O3 → O + O2
⑷ ( C ) + O3 → ( D ) + O2
このように、左右の酸素原子(O)の数は同じになります。
B:左辺の酸素原子の合計は、1+2=3(つ)なので、右辺はオゾン分子1つ(O3)です。
C・D:「O」「O2」「O3」のどれかをあてはめなければならないので、左右の酸素原子(O)の数は3より大きくなります。左右の酸素原子(O)の数が4のとき、Cは酸素原子(O)で、Dは酸素分子(O2)となります。左右の酸素原子(O)の数が5のとき、Cは酸素分子(O2)で、Dはオゾン分子(O3)となり、左辺と右辺で変化していないので、不適当です。左右の酸素原子(O)の数が6のとき、Dにあてはまるものがないため、これも不適当とわかります。