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理科の合否を分けた一題

雙葉中入試対策・理科の合否を分けた一題(2018年度)

難易度分類

問1 B  問2 B  問3 B  問4 C  問5 C
問1 A  問2 B  問3 B  問4 A  問5 A  問6 A
問1 A  問2 A  問3 A  問4 B  問5 A
問1 B  問2 A  問3 A  問4 B

A…雙葉合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2018年度の雙葉は、例年通り、文章を読み解き、誘導に従って解いていく構成で、基本的知識と理科的な思考力を問う問題が中心でした。
物理分野の問題は、音の高さと振動数の関係についての問題。
生物分野の問題は、血液の循環についての問題。
化学分野の問題は、水溶液の液性についての問題。
地学分野の問題は、示準化石と示相化石についての問題。
題材は高校配当単元から出されることがしばしばで(本年度は1と3)、ほとんどの生徒が知らないことがらです。
先取りして学習したとしても、根本的な理解はむずかしく、逆にそれが、問題の思考の流れの邪魔になる場合も考えられます。
身につけておくべき知識は、基本的なことで十分なので、科学読み物などを通して、文章を読み解く力と、理科的な思考力を養っていくことが大切です。また、文章の読み取りとともに必要になるのは、グラフや表を読みとる力です。データの示し方には、いろいろな形式があることがあることを知っておくと、かなり有利です。ふだん読み飛ばしてしまいがちなグラフや表に注目し、何を表し、どんな意味があるのかを考えるくせをつけておきましょう。
また、雙葉特有の時事的な話題についてふれている問題が1問出されました。今年は、「チバニアン」が出されました。これは昨年11月のニュースだったので、チェックからもれていた生徒が多かったと考えられます。気を抜かずに、年末くらいまでニュースを気にしておきましょう。

問題構成は、4分野から大問4題、小問35問。
解答形式は、言語が10問、選択肢が18問、記述が3問、数字が4問で、昨年あった作図がありませんでした。
記述は、1行程度が1問、2行程度が2問。指定された言葉を使うものもありました。
数字は、式を書かせる計算問題が3問。難しものではありませんが、考え方を伝わるように書かなければいけません。
選択肢は、記号だけでなく、数字から選び取るものもありました。
本年度はありませんでしたが、作図が出されることがあります。線を引いたり、該当部分に印をつけたりといった簡単なものが多いですが、正確に記入できるかどうか、過去問などで確認しておいたほうがよいでしょう。

問題別寸評

(物理)音の高さについての問題です。
高校物理の気柱の振動(管の中の空気の振動が菅の端で反射して干渉し合い、一定の振動数の音波となる現象)の原理を利用して解きます。もちろん、ほとんどの受験生が知らない内容ですかから、問題文をしっかり読み取って、規則性を見つけます。

問1

表1から、ストローの長さと振動数が反比例の関係であることがわかります。
5㎝7040Hzのストリーを基準とすると、25÷5=5 7040÷5=1408(Hz)
振動数が少ない音ほど低いので、20㎝のストローより低い音になります。

問2

図1・表2から、振動数が2倍になると、音の高さが1オクターブ高くなることがわかります。表1のストローもすべてラの音であることから、440Hzのラは、20㎝のストローの音の2オクターブ下のラとわかります。振動数が1/4倍なので、ストローの長さは、20×4=80(㎝)

問3・4

→合否を分けた一題参照。

問5

高い音程(右側)ほど、ストローの長さは短くなります。さらに、ドの音に着目すると、の長さがドの半分、ドの長さがドの半分になっているエがあてはまるとわかります。

(生物)血液の循環に関する問題です。
魚のエラのしくみからヒトの心臓のはたらきへと展開します。基本的な理解と知識で対応できる問題です。

問1

魚の血液の循環は、「心臓→エラ→全身→心臓」の順です。エラで気体の交換を行うので、図1のイに静脈血、アに動脈血が流れています。④は門脈、⑤はじん静脈があてはまります。

問2

定番の単語を使う記述の問題です。エラだけでなく、各器官の毛細血管・肺胞・柔毛・植物の根毛など、物質のやり取りをする部分では、表面積を大きくして、効率をよくするしくみが見えられるのでおぼえておきましょう。

問3

①・②から一つ、③・④から一つ選びます。
淡水魚は塩分を取り入れ、海水魚は塩分を排出する必要があります。
また、淡水魚は、じん臓からの水の排出が多くすることで、体内の塩分濃度を保つことができます。

問4

数字を選ぶ選択問題です。どれも知っておくべき基本知識の数字です。確実に得点しましょう。

問5

動脈血は、肺から戻ってきた血液です。左心房から入り、左心室から全身に送り出されます。

問6

右心室と左心室が同時に縮んで血液を送り出し、このとき右心房と左心房に血液が流れ込みます。つぎに、右心室と左心室が同時に広がると、それぞれの心房が縮み、血液を心室に送り込みます。

(化学)水溶液の液性に関する問題。
液性の度合いをpHで表すことができることを知っていたとしても、それが濃度によって変化することまで知っている生徒は、ほとんどいなかったのではないでしょうか。むしろ、先入観なしに問題文を読み取る方が、理解しやすかったかもしれません。

問1

石けん水はアルカリ性、食塩水は中性、レモンジュースは酸性です。BTB溶液・ムラサキキャベツ液の色の変化は、基本の知識です。

問2

濃度3.85%の水溶液をつくります。水100mLは100gですから、とかす水酸化ナトリウムは、
2018_futaba_rika

問3

pHが予想できない水溶液であっても、使用する試験紙が最も少なくてすむ方法を選びます。

問4

万能試験紙は整数で調べていることから、pHが4から7までをカバーできるように選びます。

問5

塩酸(A液)と水酸化ナトリウム水溶液(B液)の中和反応の問題です。
表3から、B液10mLに対して、A液60mL以上で酸性、A液20mL以下でアルカリ性とわかります。
①・② どちらも、A液はB液の2倍以下の量なので、溶液はアルカリ性になります。
③ 水溶液をうすめても、とけている溶質の量は変わりません。A液20mLとB液50mLを混ぜたとき、やはりアルカリ性になります。

(地学)地層に関する問題。
「チバニアン」は、地質時代のうち、新生代をさらに細かく区切った年代のひとつの名まえとして選ばれました。この年代の境目となる約77万年前は、地球の磁気が南北で逆転する現象が最後に起きたことで知られています。

問1

チバニアンは、新生代第四紀(人類の時代とされる)更新世(ほとんどが氷河期)の中期にあたります。

問2

本文になるように、示準化石は、特定の時代に見つかり、広い地域で見つかるものでなければなりません。1つの地層にだけあらわれ、地層ア~エすべての見られる③を選びます。

問3

基本の知識の問題です。ホタテガイが見つかるのは、冷たい海だったところです。

問4

地層Aで見つかった5種類の貝がすべて見られるのは、現在の北緯35~41°の間で、★より北の地域です。同様に、地層Bで見つかった6種類の貝がすべて見られるのは、現在の北緯33~35°の間で、★より南の地域です。このことから、地層Aができたときは海水の温度が低く、地層Bができたときには海水の温度が高かったと考えられます。

合否を分けた一題

問題文の初めから9行目までと、表1・2からわかることをまとめまると、
①ストローの長さと出る音の振動数は、反比例の関係である。
②振動数が2倍になると、1オクターブ上の音階になる。
となります。
ここまでは、比較的把握しやすかったと思います。
さて、問題は最後の2行です。ここには、2つの重要な情報が書かれています。

③「20㎝のストローの真ん中に穴をあけて同じように息をふきこむと3520Hzの高さの音がしました。」
3520Hzというのは、10㎝のストローで出る音です。つまり、息をふきこむところから真ん中の穴までの10㎝の長さで、音の高さが決まるのではないかと予想できます。
→ストローに穴をあけると、その長さで切ったときと同じ高さの音がでる。

④「10㎝のストローの片側を手でふさいで息をふきこむと1760Hzの高さの音になります。」
1760Hzというのは、20㎝のストローで出る音です。つまり、片側をふさぐと、実際の2倍の20㎝の長さで、音の高さが決まるのではないかと予想できます。
→ストローの片側を手でふさぐと、2倍の長さのストローと同じ高さの音がでる。

③と④は、1つの例ですが、これを拡大して解釈し利用しなければ、問題をとくことができません。
問3は①~③、問4は①~④を使って解きます。
理論的な説明はされていませんが、出題者の意図をくみ取り規則性をもつと考え、解答につなげることができたかで、合否が分かれたのではないでしょうか。

1
問3

③から、10㎝のストローの真ん中に穴をあけると、5㎝のストローと同じ高さの音になると考えます。5㎝のストローの音の振動数は、7040Hzです。

1
問4

①から、880Hzは1760Hzの1/2倍なので、40㎝(20×2)のストローで出すことができます。ところが、使うストローは30㎝なので、長さが足りません。そこで、④の考え方を利用します。20㎝のストローの振動数は1760Hzなので、20㎝だけ切り取って片方の端をふさぐことで、40㎝のストローと同じ880 Hzの音を出すことができます。

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