2013年度の雙葉中の問題は、読解力/思考力/記述力を要するこの学校らしい問題でした。
リサイクルや動物の誕生といった内容は女子校らしく、さらに遺伝子操作まで発展させていくのはさすが雙葉といったところです。
他の女子校よりもさらに大人っぽい受験生に有利な問題になっており、極端に難しいことは問われませんが、落ち着いて読み理解すること、知識と結び付けて考えていくこと、そしてそれを表現出来ることの出来ること、これを兼ね備えたバランスのよい受験生を求めていることが感じられます。
中にはこれは小学生には少し思いつきにくいのではないか?と思われる問題もいくつかありました。ひらめきとは、深い理解と豊富な知識、そしてそれを結びつける思考力があって初めて生まれるものです。
少し詳しく見ていきます。
[1]音/糸電話…物理分野
ここはとても平易な内容でした。塾のテキストにあるような、「見たことのある」タイプの問題で、受験生も戸惑いはなかったことと思います。
[2]金属、気体…化学分野
リサイクルと気体発生を組み合わせて考えさせる、この学校らしいアプローチの問題です。
後半3問は記述問題になっており、出題の意図を的確に読み取り、考え、解答を組み立てなければいけない高度な内容になっています。一部難問も混じっているので、時間配分も重要になった問題でしょう。
[3]メダカ、ゼブラフィッシュの発生…生物分野
前半はごく一般的な知識問題ですが、後半は遺伝子操作の実験問題になっています。それほど難しい内容ではありませんが、思いつきにくかったり、内容は分かっても記述の仕方で悩むような問題になっていたため、かなりの差がついたことと思います。
[4]天気/日射…地学分野
写真やグラフを用いて考える問題ですが、内容は平易です。基本を深く理解していれば問題なく解けたことでしょう。そこを確認したい、という目的の出題だと思われます。
[1][4]で確実に得点し、[2][3]でどれだけ粘れたか?という入試問題でした。
合否を分けた一題は特に差がついたと思われる、[3]を取り上げます。
問1 サービス問題です。「2つ」という指定まであります。
① は直射日光が×、②は水道水を入れるのが×
③、④は正しい。
「③、④」
問2 知識問題。ヒトの発生は38週です。
「④」
問3 「胎盤」
ここまでは、サービス問題です。
問4 図1、2を見比べるとメダカの卵にはある付着毛がゼブラフィッシュにはありません。付着毛は卵を水草にからみつかせるためのものですから、これがないゼブラフィッシュの水槽には水草を入れる必要がないわけです。
「ゼブラフィッシュの卵には付着毛がないから」
「ゼブラフィッシュの卵には付着毛がなく、水草にからみつかないから」
問5 ここから少し難しくなります。ビー玉を入れたら卵が食べられなくなった→親が卵を見つけにくくなった、ということです。
どうして見つけにくくなったか考えます。卵はどこにあるのでしょうか?
ビー玉の表面についたか、すきまに入ったかのどちらかでしょう。
表面についているけれど、見えないは有りうるか?
ゼブラフィッシュの卵はおそらく透明なので、敷きつめられたビー玉の上にあれば見えにくいでしょう。
また、ゼブラフィッシュの卵はメダカと同じくらいの大きさ、とありますので、ビー玉のすきまに落ちることはあるでしょう。
悩んだ受験生もいたかも知れませんが、これは、どちらでもよいでしょう。ビー玉を入れたことと、卵が孵化したことが、論理的に結び付けられるかどうかを見ることが目的の問題だからです。
「ビー玉の上についた卵は親に見つかりにくいから」
「ビー玉のすきまに卵が入り、親に見つかりにくくなったから」
問6 図4の2つの違いを答えればよいでしょう。薬を注入したものは尾が短くなっています。「遺伝子Aのはたらきをおさえる薬」を注入すると尾が短くなったのですから、遺伝子Aには尾を長くするはたらきがあったのだと考えられます。
「尾を長くする」
問7 注射針を刺したことが原因かもしれない、という疑いを否定するためには、注射針を刺しても薬を注入しなければ、影響が出ない、という実験をすればよいだけです。
実験「注射針を刺すだけで、薬は注入しない受精卵を観察する」
結果「何もしていないものと同じになる」
問8 少しややこしい問題です。しっかり読みましょう。
「遺伝子Bがはたらかない→単眼症になる」ことを実験で確かめます。
「将来単眼症になる」受精卵ですから、この受精卵には遺伝子Bははたらいていません。ここに遺伝子Bをはたらかせて、単眼症にならないことを確かめればよいわけです。
「③」
シンプルですが、深い問題です。答えを見てしまえば簡単に感じるかもしれませんが、初見で解くと記述表現が難しいことに気づくでしょう。「的確な表現」意識して勉強することが重要だと感じさせられる一題です。
[1] 問1 A 問2 ① A ② A ③ A ④ A ⑤ A ⑥ A
問3 A 問4 A
[2] 問1 A 問2 B 問3 (1) A (2) A 問4 A 問5 B 問6 B
[3] 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 B 問6 B 問7 B 問8 B
[4] 問1 A/A B/A 問2 B 問3 A 問4 B
A:雙葉合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法により正答率・かかる時間に差がつく問題、およびやや詳しい知識問題
C:一旦とばしてもよい問題