ここで(1)の解答が正答であると仮定して話を進めます。((1)は易しいのでここで点を落とすことは想定しません)。
(1) の解答
(ブランダ⇒)善いこと、正しいことを好み、正義を愛してそれらを行おうとすること
(セララバアド⇒)本当の善とは何か、真理をもとめて考えること
(2)の設問文は次の通りです
(2) アラムハラドは二人の答えをそれぞれどのように受け止めましたか。アラムハラドの反応に注意しながら説明しなさい。
さて、設問文に印をつけました。
二人の答えは(1)の解答を指します。
波線部分は解答条件の部分です。そして、この条件部分こそが、正答を導く最大のヒントとなります。
まずブランダの答えを聞いた時のアラムハラドの反応がわかるところを本文中にみつけ、印をつけましょう。
「そうだ。私がそう言おうと思っていた。」これがアラムハラドの反応です。「人の正義を愛すること」とブランダの考えを言い換えてもいますね。
これら具体的情報を〈意味づけ〉します。つまり抽象化してしまうのです。
「そうだ。私がそう言おうと思っていた。」⇒ 同意している。自分の言いたいことを言ってくれた、ということ。
(ここから心情語を引き出します)⇒ よくやったとほめる気持ち・認める気持ち・好ましく思う気持ち
人は「いいこと」をしないではいられないというブランダの言ったことはまさしく自分が子供らに伝えたかった、人の正義を愛することの側面であり、自分の教えをしっかりと理解しているブランダを認め、好ましく受け止めている。
では、アラムハラドが「すきでした」と語り手に紹介されるセララバアドの考えに対してはどんな受け止め方をしているのでしょうか。
ブランダのときと同じく、アラムハラドの反応を本文中から探します。
アラムハラドはちょっと眼をつぶりました。目をつぶったくらやみの中ではそこら中ぼおっと燐の火のように青く見え、ずっと遠くが大へん青くて明るくて、そこに黄金の葉をもった立派な樹がぞろっとならんでさんさんさんと梢を鳴らしているように思ったのです。アラムハラドは眼をひらきました。
「うん、そうだ。人はまことを求める、真理を求める。ほんとうの道を求めるのだ。(略)」
アラムハラドはなぜセララバアドの考えを聞いた直後に眼をつぶったのでしょうか?
眼をつぶって脳裏に描いた風景は、かれの心象風景ですね。
それは「青」「明」「黄金」に彩られ、「立派な樹」「ぞろっとならんで」「さんさんさんと梢を鳴ら」す光景でした。
ここからセララバアドの言ったことがアラムハラドにとって素晴らしいものであったこと、彼の感動が読みとれます。
「うん、そうだ」とありますので、セララバアドの考え自体はアラムハラドのものでした。しかし、思いがけず小さなセララバアドが、難しい真理をついたので、驚きと感動をもったのです。