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社会の合否を分けた一題

麻布中入試対策・社会の合否を分けた一題(2012年度)(2ページ目)

2012年麻布社会の合否を分けた一題

サ 医療や福祉、教育、政治などは、貧富によって差をつけてはならないといわれてきました。しかし、実際にはこれらの分野にもお金の力に左右されるようなことが広がっています。

下線部サについて。本文にある健康保険の例のように、貧富によって差をつけてはならないにもかかわらず、現実にはお金の力に左右されてしまっていることがらがあります。そのようなことがらの具体例をあげて、どのような問題を引き起こしているかを説明しなさい。なお、字数は160字以上200字以内とし、句読点も1字分とします。
(問12)

解説

2012年度の麻布中の社会は、上の難易度表から分かるように、前半の問1~9はレベルAかBの問題で麻布合格を目指す受験生なら落とせない問題です。麻布合格者はこのレベルの問題はほとんど正解だと思われますのでここでは差はほとんどつきません。勝負は、後半の問9~12です。ここはレベルCの本格的な記述問題が続きます。「記述の麻布」の本領発揮です。麻布の社会はここで大きな差がつきます。2012年度の合否を分けた一題は、問12の160字~200字の記述問題を選びました。

「貧富によって差をつけてはならないにもかかわらず、現実にはお金の力に左右されてしまっていることがら」にはどんなものが考えられるでしょうか?

実は、下線部にヒントがあります。「医療や福祉、教育、政治など」とありますからここから具体例を考えていきます。ここでは「教育」を取り上げてみましょう。日本国憲法では、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(26条第1項)とあります。

これは、「教育の機会均等」と呼ばれています。ところが、現実には裕福な家庭とそうでない家庭では格差、つまり「貧富の差」が生まれています。経済的に豊かな家庭では多くの教育費をかけられます。子どもにいろんな習い事をさせられますし、家庭教師をつけることも、進学塾に通わせることもできます。そして、設備の行き届いた私立中学校に入れることもできます。このように、裕福な家庭に生まれた子どもは親の経済力によって質の高い教育を受けられます。他方、貧しい家庭に生まれた子どもは受けられる教育の質は裕福な家庭の子どもより低くなってしまいます。

では、上で見たような格差はどのような問題を引き起こしているのでしょうか?裕福な家庭に生まれた子どもは質の高い教育を受けられ、高い学歴を身につけられます。その結果、高い収入が得られる職業につく機会が多くなります。しかし、貧しい家庭に生まれた子どもは質の高い教育を受けられず、高い学歴を身につけることが難しくなり、高い収入の仕事につく機会にも恵まれません。

こうして、「貧富の差」が次の世代の「貧富の差」も生み出してゆくという問題を引き起こしているのです。

『社会の合否を分けた一題(2012年度)』 >> 1 2
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