麻布中の問題は、その順番が良く考えられており、実は解き易く、
よく考えられた構成になっています。例えば、問題に(1)、(2)があったとしましょう。
(1)は比較的簡単に解けます。しかし、(2)は飛躍的に難しくなっています、
いや、そう見えます(笑)。お手上げの生徒も多いでしょう。しかし、よく見て下さい。
(1)は(2)を解くための大きなヒントになっていることが多いのです。
実際に問題を解きながら実例を見てみましょう。
円の1/4の部分の図形OABがあります。次の問いに答えなさい。
(1)右の図において、斜線部分の面積と図形O
ABの面積の比を求めなさい。ただし、直線OA、CD、EFは平行です。
(2)右の図のように図形OABの弧AB(曲線の部分)を5等分した各点からOAに
平行な直線を引きました。OAを5cmとしたとき、2つの斜線部分の面積の和を求めなさい。
(1)は△EFOと△CODが合同であることに気づくことが重要です。
これが2番で書いた“基礎力”です。
○扇形や円の面積を求める問題は、同じ面積である図形を探しておきかえる
○斜線部分の図形を一部でも含む図形に注目し、合同や等積変形による同じ
面積の図形を探す。
○直角三角形の合同条件が当てはまる図形を探す
○CDとOAは平行、よって角AODの錯角である角CDOは25°
これらは問題集やテキストでよく出てきますが、実践で使いこなすことは中々難しいです。
「この図形とこの図形が合同になる」と覚えるとか、「この2つが合同そうだ」と
言った勘で解いていると麻布中学の問題は解けません。
どことどこの辺の長さ、角度が同じ、それを合同条件と照合し、
どの図形とどの図形が合同であるかを見つけ出すこと
これが“基礎力”なのです。
△EFOと△CODが合同ですから、OFとCDの交点をGとすると、□CGFEと△DGOの面積は同じです。よって求める面積は扇形ODFになるわけです。
よって、斜線部分の面積と図形OABの面積の比は中心角の比に等しく、4:9 になります。
答 4:9
(2)は(1)を使います。弧を5等分ですから、分けられた扇形の中心角も5等分となり、18°になります(右の図)。
では、例えば、図1の斜線の部分の面積を求める場合、どのようにしたらいいでしょうか。
このとき(1)を使います。図2の赤と青の直角三角形は
(1)同様合同ですので、斜線部分の面積は中心角18×3=54°の扇形になります。
もうお分かりかと思いますが、求める図形の面積は、
図1の斜線部分-図3の斜線部分になります。
図3の斜線部分も図1の斜線部分の面積同様、
中心角18°の扇形です。
よって、求める面積は
5×5×3.14×(54-18)/360=7.85
答 7.85 c㎡
麻布中の問題は、このような問題構成になってることが多いのです。
「(2)は(1)を使って解くことが多い」と教えている講師は多いと思いますが、
生徒さんはあまり、これを実行していないようです。
どうしても(2)を解くことに意識が集中してしまって、(1)が見えなくなってしまいます。
(1)と(2)を見比べてみましょう。(1)が当てはまるところがきっと見つかるはずです。
このように何か情報を与えられて、それを使って解く、これが、何度も申し上げてる通り、
“基礎力”です。麻布中学が大好きな出題パターンです。
どんな入試問題でも同様ですが、麻布中の場合は(1)と(2)の問題に
関連がないように見える場合が多く、この法則を忘れてしまいがちです。
是非、この方法を身につけてください。