1 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A |
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2 | 問1 A 問2 A 問3 B 問4 B 問5 A 問6 B 問7 B |
3 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 B 問5 A 問6 A問7 A 問8 B 問9 A |
4 | 問1 A 問2 A 問3 A 問4 A 問5 A 問6 B 問7 B 問8 B 問9 B 問10 B |
A…麻布中学合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題
例年通り、問題文のボリュームが多く、高度な理解力が必要な問題でした。
普遍的で深いテーマを扱い、知的好奇心が刺激される内容でありながら、入り口は、小学生でも入っていけることができるように工夫されていて、とても丁寧な言葉使い・構成になっています。
どこかで時事的題材にふれる問題が出される傾向もあり、ふだんから好奇心をもって、ニュースや日々触れる現象に目を向けているかが問われます。今年は例年よりも少なかったのですが、太陽光発電(ソーラーパネル)が取り上げられました。
問題構成は、4分野から大問4題、小問31問。
理科の配点は40点ですから、ほぼ1問1点の計算です。
解答形式は、言語が2問、作図が2問、数字が2問、記述が2問で、記号選択が23問でした。
昨年同様、記号で答える問題の割合が多いのですが、問題文を正確にくみ取ることができれば解答できるものでした。例年、10問前後は出されている記述が特に少なくなっていて、記述が得意な受験生は物足りなかったかもしれません。
(生物)植物の種に関する問題です。
植物も生物である以上、自らの種族をいかにして存続させるか、ということが本能的に備わっています。それが種子の形などにも現れています。いくつかの植物の種子を例にして、生き抜くための知恵と工夫を学ばせる内容です。
タンポポとセンダングサの種子の特徴について答える問題です。どちらも図が示されており、またセンダングサが「動物の毛にたくさんついている」といった特徴も記されていますので、難しくはなかったと思われます。
人にふまれやすい所に生えているオオバコについての問題です。これも種子や葉の特徴が問題文に示されており、正解を選ぶのは難しくなかったと思われます。
シシトウの種の数と辛さについての観察結果についての問題です。数値が示されているものは正誤の判断がしやすかったと思いますが、選択肢カやキで「傾向がある」という表現が使われていたため、判断に迷った受験生がいたかもしれません。
リード文を読んでトウガラシの実がどちらの動物に食べられやすいのかを理由とともに答える問題です。「鳥の仲間はカプサイシンによる辛さをほとんど感じません」の部分に気づければ簡単だったでしょう。
トウガラシの種子が鳥に食べられたほうが良い理由を答える問題です。鳥の利点は考えやすいのですが、ネズミやタヌキに食べられると不利である選択肢も答えなければいけません。
(地学)氷の性質と氷期についての問題と遺伝についての問題です。
前半は、氷期についての問題でしたが、記号選択だけでなく、計算・作図、そして社会の知識を問う問題など多種多様でした。後半は、日本人のルーツを考えさせる問いで、ダイバーシティの考え方にもつながってくる内容でした。
氷期が始まると長期間継続する理由についての問題です。選択肢bで氷が光を反射することがわかっていたかがポイントでした。
氷期の終わりから気温が急に上がる理由についての問題です。気体Xの「効果」によって、気温が変化する、という設問の形から、気温上昇→温室効果→二酸化炭素、とつなげられたかがポイントです。
氷の厚さを求める計算問題です。面積比をそのまま数値として使い求めていきます。水から氷になると体積が1.1倍になることにも注意して計算しましょう。
昔の海水面を作図する問題です。現在より海水面が120m低かった、とありますので、水深120mの
等高線を結べばよいことになります。-100mと―200mの表記から等高線の間隔を読み取りましょう。
約12000年前に日本に渡ってきた人々に関する問題です。内容は日本史の問題でした。麻布中では、過去にも伊能忠敬を理科の問題で答えさせる出題もありましたので、このような問題があっても落ち着いて対処しましょう。
日本人のルーツについての問題です。説明文をよく読み、図をよく見れば正解にたどりつけたと思われます。確実に取りたい問題です。
問6に続き、日本人のルーツについての問題です。「アイヌの祖先は本州にも定住していた」「アイヌは沖縄の人々と共通の祖先をもっている」「いま本州に住む人々は、最近になって、海をわたって大陸からやってきた人々の子孫でもある」などから適切な図を選ぶことができます。図を確認しながら正解を求めましょう。
(化学)物の溶け方と浸透圧に関する問題です。
拡散という現象から問題文が始まり、後半は浸透圧の説明を、モデルケースを用いて解説しています。これはまさに、中学・高校で習う内容を具体的な実験例から学ばせるという、麻布の理科ならではの出題だったと言えるでしょう。説明の通り作業をし、そこから原理を理解できたかが合否のポイントだったとも言えます。
濃度10%の食塩水を正しく作る方法を選ぶ問題です。水1Lは、温度によって体積が変化するため
ぴったり1000gではありません。
水溶液について誤りを含む文を選ぶ問題です。水溶液の体積は、とけている物の体積と水の体積の合計よりもわずかに小さくなります。また、とけ残りのある水溶液をろ過すると、とけ残った物と飽和水溶液とに分離できます。
理科の現象と関係が深いことわざを選ぶ問題です。社会の知識を問う問題が出題されたかと思えば、今度は国語の知識問題でした。ただ難しくはありませんので、確実に正解しましょう。
拡散モデルの計算問題です。説明が長くわかりにくかったかもしれません。
こちらは合否を分けた一題で解説いたします。
浸透圧の性質についての問題です。浸透圧という用語は知らなくても、問題文にある「膜を通して野菜の内部にある水分が食塩のある外部に移動します」という部分から答えは選べたものと思われます。
食塩が溶けたことで状態の数がどうなるのかを答える問題です。空間が広がると拡散しやすくなる=状態の数が増える、と捉えましょう。
千切りキャベツを水にひたすと、シャキシャキした触感になる理由を答える問題です。食塩の場合の浸透圧をもとにすると、濃度が高い野菜の内部に水が入ると考えられます。
道路の凍結を防ぐためにまかれる粉についての問題です。最後の選択肢h「粉をまいたときは雪がとけて液体になり始める温度が(高く・低く)なります」の部分が少し難しかったかもしれません。溶けやすい=温度が高い、ではなく、融点が低いほうが氷の温度に近いため、早く溶け始めるということになります。落ち着いて選択肢を吟味できたかがポイントです・
融点が下がる現象についての問題です。融点は固体が液体になる温度のことですが、同じ温度で液体が固体になります。これを凝固点といいます。選択肢の中から「凝固点降下」に関する現象を選びます。
(物理)電気回路と手回し発電機に関する問題です。
電流と明るさについての問題から、後半は手回し発電機をいろいろつないで、明るさや回転がどのようになるのかを考えさせる問題でした。手回し発電機を用いた問題は近年いろいろな学校での出題が増えてきています。回し方と明るさだけではなく、回転の速度など様々な現象を考えさせる問題でした。
電子レンジが電池ではなくコンセントを電気の供給源にしている理由を考える記述問題です。乾電池よりも強い電圧(電力)が必要となるのは気づけたと思います。この他にも乾電池は持ち運ぶものに使われるという特徴から考え、電子レンジは持ち運ばないからという回答も正解になります。
発電所以外の供給源を考える問題です。家庭用の太陽光発電も一般的になっており、ソーラーパネルという正解を導き出すのは難しくなかったと思われます。
乾電池のつなぎ方と回路に流れる電流の大きさを考える問題です。つなぎ方は基本的なものばかりでしたので、確実に正解しましょう。
手回し発電機の回転速度と明るさ・電流の関係を考える問題です。段々明るくなるので電流が大きくなることはわかったと思います。ポイントは、豆電球は光らなくても発電機を回転させているのであれば、電流はわずかながら流れている、ということです。
発電機を電池に置き換えた回路図を考える問題です。豆電球が消えたということから、電流が流れていない=反対向きに同じ大きさの電流が流れて打ち消し合っている、と考えましょう。
電池としての発電機について考える問題です。豆電球が暗い状態→消えた状態と変化したことから、電流は減ったと考えられます。それは電池としてのはたらきが弱くなったのではなく、Aのはたらきを打ち消すほど強くなったからと考えられます。
発電機の動きを手で止めた場合の豆電球の変化を考える問題です。Bの動きを止めると、Aの電流を打ち消す動きがなくなり、Aの電流がそのまま流れることになります。これは動きを止める前よりも多くの電流が流れることになります。ここまでの実験結果から論理的に考えていく必要があります。
豆電球を最も明るくするための発電機の動きを考える問題です。ここまでの問題から、回転は速いほうが電流は大きくなることと、2つの発電機を同じ向きに回すと打ち消し合うことがわかっています。以上から、逆の方向に速く回転させるということが考えられます。
モーターとしての発電機のはたらきについての問題です。回転の速さと電流の大きさを考えるところが難しかったと思われます。
洗濯機を効率的に使用するための方法についての問題です。ここまでの実験からわかることを考え、それに基づいて選択肢を選べば解きやすかったものと思われます。
3の問4のような計算問題は、麻布中ではあまり多く出題されません。また、出題された場合、どちらかというと馴染みの少ない問題であることが多いです。そのため、問題文に書かれた計算の説明を正しく読み、その通り作業出来たかどうかが合否に影響します。今年度は、計算問題から3問4を「合否を分けた1題」として解説いたします。
拡散するときの状態の数を答える問題です。
上から2層目、3層目までの例が示されています。ここから規則を読み取れたかがポイントです。
2層の場合、左上に●があるとき、残りの正方形に●が1つ入るので3通り
右上に●があるとき、左上以外の正方形に●が1つ入るので2通り(左上に入ると入れ方が既に
答えたものと重複するため)
左下に●があるとき、右下に入れる1通り
3+2+1=6通りとなっています。
3層の場合の同様に考えると、5+4+3+2+1=15通りとなります。
したがって、4層の場合は7+6+5+4+3+2+1=28通りとなります。
あるいは算数の問題として考え、「8マスの中から2マス選ぶ選び方」と考えても良いでしょう。
8×7÷2=28通りとなります。
答え 28通り