細部の心情や行動や様子の理由を説明する問題
解き方
このタイプの記述問題対策として、様子の理由説明の考え方を挙げる。
このタイプの問題を考えるとき、以下の4つのことを意識すること。
1、理由=心情だと心得ること。
2、問われている「様子」の部分から、心情の手がかりをつかむこと。
3、傍線部の近くのセリフや心の中のセリフ=心情を説明している部分を読み取ること。
4、出来事や今までの様子を1の理由としておさえること。(理由の理由)
5、1~4を踏まえ、「~ので(心情語)+から。」という形でまとめること。
平成23年の問題で、問5を例として挙げる。
この問題は、孤児院にいた主人公の「ぼく」が孤児院とは全く違う生活環境に「落ち着かなくなっていった」理由を問う問題である。
「落ち着かなくなった」=心情なので、この場合は心情理由を心情で答える問題ともいえる。
解き方としては、傍線部の前に孤児院の生活の様子が描かれているので、そこから手がかりをつかむ。
傍線部の前では、孤児院の生活が分単位で決められている様子が描かれている。
そのような生活をしてきた「ぼく」が、傍線部の後に書かれているように、自由な生活を送っているので、「戸惑っている」→その結果、落ち着かない状態になり、「いらいら」しているという流れである。
このような心情の流れを読み取り、
1、分単位で決められている孤児院の不自由な生活を送っていた「ぼく」
2、今祖母のもとで、自由な生活を送っている
3、戸惑っている
という要素を
(1→2)ので、3+から。という形でまとめる。
文章全体を通しての心情記述の問題
このタイプの記述問題対策の一つとして、文章全体から心情の変化を読み取らせる方法を例として説明していく。
解き方
麻布中の最後の大型記述の問題は、心情の変化を「精神的な成長」、「生き方」や「自立」、「自由」など哲学的なテーマ、大人の価値観(道徳的なテーマ)に結びつけて考えさせる問題が多い。
基本的には設問の最後のほうに位置していることからもわかるように、これまでに解いてきた設問がヒントになる。
これを踏まえたうえで、
① 文章の結末(傍線部がある場合は傍線部付近)の主人公のセリフを押さえる。→変化後の心情の読み取り
② ①のきっかけとなった出来事(転)を押さえる。→さらに、そこで何を感じたのかを確認する。(つまり、学んだこと。ここで、「精神的な成長」、「生き方」や「自立」、「自由」など哲学的なテーマ、大人の価値観(道徳的なテーマ)がかかわってくる場合がある。)
③ ②より以前の心情をセリフや今まで解いてきた設問の解答などを手掛かりに読み取る。
以上の手順で考え、③→②→①の順でまとめていくことがポイントになる。
例えば、平成20年度の麻布中の入試問題、問十一(2)。
これは「りんさん」の間の抜けた姿を、このときはじめて主人公の「灯子」が見て、知ることができたのはなぜかという内容で、灯子の「りんさん」への気持ちの変化を読み取らせる問題である。
これは、このときの二人の仲直りした様子から、「親しみを感じ始めた」→「ありのままの姿を見せられる関係」へとなっていることを読み取ったうえで、そんな気持ちのきっかけとなった出来事=雷で鏡に照らされた「りんさん」の姿を見たこと、そしてその出来事で知ったこと=「りんさん」の本当の気持ちをとらえ、その出来事の前までの「りんさん」に対してのイメージ=大人びた、気持ちの強い人間ということを読み取っていくという形で解いていく。あとは、この読みとった順を逆にして文章をまとめていく。
このように上記の方式で解けば、麻布中の入試問題も意外と簡単に解けてしまう。
麻布志望者は、このことをしっかり意識して、塾などで出題される心情の変化の記述問題に取り組んでいこう。
(ちなみに麻布中は、この問題をヒントにして、この後の設問で「鏡」の果たす役割を考えさせながら、他者の本当の気持ちや自分の醜さを自覚した主人公「灯子」の精神的な成長という主題を読み取らせようとしている。)