まず麻布中は5,000字から8,000字程度の長文を出題するので、早いうちから長文に慣れておくことが必要である。
例えば、入試問題から物語文の長文を選んで読ませるといった方法も効果的であろう。その際には、哲学的な文章、少年の心情や少年の成長を描いた文章を中心に選ぶ。
もし時間的な余裕や入試問題を解けるレベルであれば解いても構わないが、そうでなければ、文章を読む→文章のパターンを認識するために設問を読む→解答を読んで理解するという手順でも構わない。麻布中の文章と傾向が似ている中学は、駒場東邦中、武蔵中、海城中、筑波大学附属駒場中、渋谷教育学園渋谷、攻玉社中などがあげられるので、参考にしていただきたい。
あと、大人の常識である道徳的価値観も学ばなければならない。
なぜなら、精神的成長=教育であり、その教育は大人が行うものであるからである。
したがって、大人の価値判断の基準となる道徳的価値観を学んでおけば、主題も読み取りやすくなる。
ではどのような方法があるかというと、大人が教えること以外には、
①中学受験 必ず出てくる国語のテーマ 著者 小泉 浩明 (ダイヤモンド社)
②朝日小学生新聞 などを活用するという方法がある。
麻布中は、私小説風の物語文を好んで出題するほかに、人物関係や家庭環境などが複雑なものを好んで出題する。
従って、設定をしっかり押さえることがポイントになる。
設定は、文章の前半に書かれていることが多く、だいたい中心人物のセリフなどから読み取れることが多いので、その点を意識して読むことが大切である。
さらに、麻布中は私小説風の文章を好む関係で、非会話=心情説明、会話文に分けることができる。この点を意識し、心情説明のところをしっかりチェックする癖をつけておくとよい。
また、麻布中はよく暗示の意味を問う問題が出題されるので、過去問等でその問題が出てきた年度の問題を解くときは、暗示しているものとそれが出てきたときの主人公の状況や心情の共通点を考えながら読むと、このような問題にも対応できるだろう。
麻布中の国語は漢字問題が必ず出題されるので、大手塾の漢字問題や知識問題、市販の問題集などで対応しよう。語彙力強化は、安定した読解力と記述力をもたらす。しっかり学習しておこう。特に、麻布志望者はなぜか漢字力がない生徒が多いので、「漢字などいつでもできる」などと油断せず取り組んでほしい。
また心情に関する語句の知識を増やしておけば、心情記述にも役に立つので、心情を表す語句の知識を豊かにしていこう。
お奨めの市販テキストは、
旺文社から出版されている「でる順漢字3500」や、サピックスの「漢字の要」
文英堂から出版されているズバピタシリーズや学研の要点ランク順シリーズ。
また心情語の語彙力を強化するために、学研から出版されている「言葉力1200」、「言葉力ドリル」、「カードで合格・読解記述キーワード」などをやっていくとよいだろう。
麻布中は、ほとんどが記述問題だが、この記述問題を大別すると
1、細部の心情や行動や様子の理由を説明する問題
2、傍線部の比喩表現の説明
3、文章全体を通しての心情の変化や主題を説明する問題
以上、3つのタイプになる。
このうち、1と3の解き方を取り上げてみる。