まず、とにかく復習量が多いので、復習するテキストを絞る。
上位コースなら「本科教室」の応用、発展問題を扱うだろうから、この問題の復習と栄冠への道の「問題研究」を学習しよう。
そのほかのコースは「本科教室」の応用問題に取り組み、栄冠への道は「問題研究」の文章を読んでおくか、市販のテキストでカバーする。なぜ難しい問題にチャレンジするかというと、麻布中に出題される問題の難易度は相当高いレベルだからである。正直、「本科教室」や「栄冠への道」の基本問題の復習だけでは不十分である。
しかし、「問題研究」は解説がないので、自分で復習するしかないため、中位レベルのクラスの生徒が自力で解くのはかなりきつい。
したがって、このレベルの生徒は市販のテキストでフォローしたほうがよいだろう。
お奨めの教材は、基本レベルなら「自由自在」(学習研究社)の読解問題。
発展レベルなら、時期別学習法(6年)で挙げた類題演習や四谷大塚の演習問題集である。
さらに、日能研生は記述力の強化を図る必要がある。
なぜなら本科教室や栄冠への道の記述問題では、麻布中の記述問題対策としては不十分だからである。
できれば記述演習講座を受講して、記述問題の対応力を磨いておきたい。ただし演習形式なので、ただ自宅で解き直し⇒○つけ⇒解説で理解という復習しても、記述力は身に付かない。できれば復習で書き直したものを大人(できれば国語の講師)に添削してもらい、個別のアドバイスをもらうようにすることが望ましい。
下記に復習の例を載せておく。参考にしてもらいたい。
復習の例
記述力は、記述問題を(もちろん記述問題だけに限らないが)、むやみにたくさん解いても、あまり身に付かない。そもそも記述問題は、論理的な思考問題なのだから、一つの設問を深く考え、思考錯誤を繰り返しながら、問題と格闘することによってしかレベルアップはできない。楽して、学力は身に付かないのである。
さらに記述力を伸ばすためには、講師の質も問われる。演習形式だからといって、単純に、「考えろ」しか言わなかったり、解説を一方的にして終了したり、量をたくさんこなすことばかり求めたり、反論を認めず、自分の意図とする解答しか認めないような講師ならば、上記のような「試行錯誤」や「深く考えること」などを生徒ができるはずもなく、したがって論理的思考力を身につけることは、不可能になる。
講師がうまく問いかけて、生徒を解答へ誘導しながら、あくまでも生徒自身に答えを出せる、そんな指導ができてこそ、はじめて論理的思考力を伸ばすことが出来るのである。
だから、親が授業内容や講師の指導方法を把握しておかなければ、この講座を効果的に活用できないまま、終わってしまう可能性が高い。その点を意識してこの講座をとってほしい。
あと、ステージVでは合格力完成教室を行うが、できれば難問を扱うコースにいることが望ましい。なぜなら「難問」の内容が、まさに記述問題ばかりで、麻布中によく出題される、文章全体から読み取れる心情の変化を扱った問題や主題を考える問題を扱っているからである。
ぜひ、積極的に取り組んでほしい教材である。
しかし、この講座がとれなかったり、記述問題が苦手だった場合は、時期別学習法を参考に、個々に強化していこう。
どちらにしても、日能研で麻布中を志望する場合は通常の授業+αの部分がどうしても必要になるが、講師に相談しながら対策を進めておかないと、膨大な学習量に押しつぶされて成績不振になるばかりか、国語の学力も下がりかねない。宿題量、講座の取捨選択などしっかり管理しておく必要があるだろう。
漢字力、語彙力の強化は、この本科教室のテキスト、「栄冠の道」をしっかり学習していれば問題はないだろう。(意味調べは、しっかり行うこと。)
週末に行われる「カリキュラムテスト」、所謂「カリテ」だが、このテストは、テキストと同じ内容のものが多いので、ともすると暗記して高得点を狙うという学習習慣が身についてしまい、その結果として本当の学力(原理原則を理解し、それを使いこなす力)を伸ばすことができず、カリテでは高得点だが、センター模試では低い点数をとるという悪循環にはまる可能性がある。したがって、カリテで高得点を取ることを目的とした勉強ではなく、カリテを使って、間違っていたところ(とくに正答率30~50%の問題)を把握して、間違った理由を具体的に確認し、メモしておく。
そしてセンター模試の直前に、もう一度メモした内容を確認しながら「本科教室」、「栄冠の道」を使って復習するという習慣を身につけることが大切になる。
さらに麻布中の傾向から考えて、麻布中志望者は記述問題には積極的にチャレンジしよう。さらに添削されたカリテやセンター模試の記述問題の○×をチェックし、×印の要素が抜けた理由と、どのように考えれば解答を導き出せるのか、しっかりと講師にアドバイスしてもらおう。
入試問題をどんどん解かせ、実戦力を養うための講座であり、センター模試とセットになっている。もしカリキュラムをなんとか消化できるのであれば有益だが、そうでない場合は、受講するかどうかを考え直した方がよいかもしれない。
土曜日も通塾し、日曜日もまるまる一日つぶれてしまうので、しっかり復習する時間が取れなくなるからだ。復習がしっかりできなければ、理解を深めることができず、「消化不良」になってしまう。
日能研生は、手厚いフォローがあまり期待できない分、家庭学習の時間をどう確保するかがポイントになる。その場合、授業の取り方も含め、個々のレベルや学習状況を踏まえてしっかり戦略を立てないと、学習量が膨大になり、学力不振につながりかねないので注意しよう。
ただし8月から始まる難関校日特、9月からの難関校問題研究講座は受講すべきである。
(難関校日特の受講資格を得るためには選抜テストがあるので、その準備はしっかりしておくことが望ましい。)
日能研は日程の都合などで他塾のテストを受けづらいので、情報の偏りを改善するために、学校別サピックス・オープン(9,11月に実施)を受験したほうがよいだろう。
⑤志望校の過去問を解く。
時期としては、夏以降。やり方は、時期別学習法を参考に。
逆に、他校の入試問題をむやみに解くことはあまり奨めない。