5年生でいきなり入試問題を扱うことは難しいと思うので、まず大手塾の授業で使用する教材の中で、長文もしくは哲学的な文章や発展問題として扱われる文章を積極的に読んでいこう。
大手塾に通塾していない生徒や個別指導塾に通っている生徒は、担当の先生と相談して、難易度を調整してもらい、麻布の傾向にあった文章を選んでもらうとよい。むしろ、そのほうが効率的で好ましいだろう。
麻布中は物語文を中心に出題するからか、志望者は漢字や知識力が乏しい生徒が開成中などの他の難関校と比べて多い。
しかし、漢字問題は必ず出題されるし、入学後のことも考えると語彙力はしっかり身につけておくべきである。それに大人びた生徒ほど、語彙力が豊富である。
麻布中は大人びた題材が多いので、そういう意味でも、5年生のうちから語彙力を強化していこう。
大手塾に通塾している生徒は、塾の教材をしっかり学習する一方で、辞書(中学生以上を対象としたものが望ましい。)をおおいに活用しよう。電子辞書はやめよう。
個人塾や個別指導塾、家庭教師などの場合は、担当講師と相談したうえで、学習していこう。お薦めの参考書、問題集は「合格戦略の提案」を参考にしていただきたい。
まず通塾している生徒は、テキストの記述問題に積極的にチャレンジしよう。
その際に、以下のことに注意して解いていこう。
★文の一要素は20字程度、それ以上の記述は2つ以上の要素がある。
★解答のキーセンテンス(文)を決めてから、字数を気にせず、下書きをすること。
削る作業は、そのあとでよい。☟因果関係を意識する。
★傍線部の言い換え記述は、指示語、比喩など分かりにくい部分を傍線部の前後から言い換え、傍線部の意味を押さえることが大切。そのうえで、キーワードと同じ表現を探し、具体的な内容を見つけ、その部分を言い換えて記述を書く。
例 「そんな他人の夏の一つ」とはどういうことか。
↓
そんな=直前の出来事を指す。
さらに、それは「他人」が関係した「夏」の出来事だと分かる。
↓
後は、直前の「他人」が起こした「夏」の「出来事」を
①誰が、どうした=事実
②①の理由 という形でまとめる。
★説明的文章(随筆も)の記述は、基本的に、文中の言葉をつなぎ合わせる。
★心情記述は、心情語や心情を表わす文を決めてから、理由を考える。
例
「亮介は心の中で、兄をなじった。」とあるが、この時の亮介の気持ち。
↓
心情表現を見つける。「なじる」=①責める、批判する、反発するなどの心情
↓
理由を考える。・・・
直前の出来事→②兄が、亮介の友達が持ってきたメンコを取ってしまった。
↓
なぜこの行為が、批判されるのか。・・・
③メンコ=友達の宝物だった。(今までの事情)
以上を踏まえ、「③→②ので、①という気持ち。」という形でまとめる。
★文末、型(記述のまとめ方)に注意しながらまとめること。
①~ではなく、~である。(対比させて一方を説明する場合・・論説文に多い。)
②~に対して、~であるという違い。(違いを説明する場合)
③~という一面がある一方(反面)、~という一面もある。
(二つ以上のことを説明する場合・・この場合、後半に強調したい部分を持っていく。このタイプの型は、性格を説明する場合に用いることが多い。)
④~のに、~ので、~気持ち。(心情説明)
文章全体から心情の変化を読み取らせる問題
このタイプの問題は、心情の変化を通して「生き方」や「人間性」=哲学的なテーマ、道徳的なテーマに結びつけて考えさせる問題が多い。
基本的には設問の最後のほうに位置していることからもわかるように、これまでに解いてきた設問がヒントになる。
これを踏まえたうえで、
① 章の結末(傍線部がある場合は傍線部付近)の主人公のセリフを押さえる。
→変化後の心情の読み取り
② のきっかけとなった出来事(転)を押さえる。
→さらに、そこで何を感じたのかを確認する。(つまり、学んだこと。ここで、「生き方」や「人間性」=哲学的なテーマ、大人の価値観(道徳的なテーマ)がかかわってくる。)
③②より以前の心情をセリフや今まで解いてきた設問の解答などを手掛かりに読み取る。
以上の手順で考え、③→②→①の順でまとめていくことがポイントになる。
通塾している塾のテキストで、記述問題が少ない、もしくは難易度がやや低い場合には、市販のテキストで補強しておく。
お薦めは、四進ジュニアの「記述完成」Ⅰ、Ⅱである。
記述があまり書けない場合は、模範解答を書き写し、解答パターンを学ぼう。
その際に、上記の注意事項を思い出して模範解答を分析するとよい。
あと心情記述が苦手な場合は、心情語や心情パターンを覚えていこう。
(通塾している塾の先生に入試によく出題される心情語や、心情パターンの覚え方を教えてもらうとよい。私も心情語一覧を作成している。)