問一 A 問二(1) A (2) A (3) A 問三 A 問四 B 問五 A 問六 B 問七 A 問八 B 問九 B 問十 B 問十一 C 問十二 B |
A…確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
漢字の書き取りについてはさほど難易度の高いものは出題されていません。確実に得点したいところです。
文章の設定は主題に深く関連します。したがって、この問題をきちんととれなかった場合、主題の読み取りにも支障をきたすことになります。範囲も指定されているので、確実に情報をおさえておきたいところです。
「嵐が過ぎ去る」ということばを、その状況に合わせて具体的に解釈する問題です。主語をしっかりと把握し、そして過不足なく説明することが求められます。
「ピンク色の自転車」という「具体的な物体」を「抽象的に言い換える」問題です。文章に深くかかわる問題ですので、確実に内容をつかみたいところです。その「ピンク色の自転車」に対して、四人がどのような心情を抱いているかに注目すれば解答できるでしょう。
主人公の考えの理由を選ぶ問題です。問二とも関連して、文章全体の前提にあたる問題と言えます。主人公がどのようなことを思っていたのかを確実におさえましょう。「無関心の方がまだまし」ということは、今はそうなっていない(お互いを嫌い合っている)ということが分かります。(「無関心」の反対が「仲が悪い」ということです。)そして、「仲が悪くなった」今、相手の粗が目立つようになった(気になるようになった)ことから、それを気にすることがなかったというのが今までの状況だとわかれば、きちんと正解が選べるでしょう。
問題自体はシンプルですが、「テリトリー」という言葉を理解しているかも問題になります。問二で確認した状態をふまえて、相手を自分のテリトリーに招き入れるということにどのような意味があるかをおさえてほしいところです。
「自転車作り」に取り掛かるまでの状況を要約する問題です。いくつかの内容が並列されているので、過不足なくまとめたいところです。
問五との対比を考えながら解答を選びたいところです。選択肢の処理をしっかりと行えたかどうかで、差がつくところでしょう。主題に関連した解答を選ぶ必要があります。
「チョークの線が消えた」ことに込められた意味を解釈する問題です。詳細は合否を分けた1題として後述します。
「作り上げた自転車」を好きな理由を、「あたし」の気持ちをふまえて書く問題です。問四で確認しましたが、もともとの自転車とは異なる自転車であるのにそれを好きだということには何かしらの原因があります。それが、この文章の主題ともいえる「調和・他者理解」につながるものだと気がつけば、解答できるでしょう。全体の変化を考えつつしっかりと記述したいところです。
解答速報の動画でご紹介した問題でもあります。情景描写は「人物の内面」を表すものであることから考えても、この描写はその風景の説明ではなく、内面に置き換えて考える必要があります。「さまざまな音」が「ばらばらだった四人」、そして「美しい音楽になった」が「四人が通じ合った、理解し合えた」という対応を考えられるかがポイントです。
四人が自転車を作り上げたあとの話です。とすれば、この部分は「登場人物の変化後」を記述する問題だと考える必要があります。「チビ」というのは「自転車作りのきっかけ」となった人物であり、またその体格のせいで唯一自転車に乗ることができない人物でもあります。そのいわゆる「弱者」に手を差し伸べるという「慈しみ」の気持ちを表現できればよいでしょう。
今回は問九を取り上げます。麻布らしく、深く読解ができるかを試す良問です。日ごろから深める読解を続けられているかどうかがこの答案の成否を分けたでしょう。
傍線部「床に引いた~続いている」とありますが、「以前のテリトリーの間を行ったり来たりする大きさの違う足跡が、数え切れないほど続いて」、「チョークの線」が「消えていた」ことはどのようなことを表していますか。説明しなさい。
解き方の手順
問題に「どのようなことを表していますか」とあることから、「言い換え関係」を追う問題だと分かります。このような問題の場合は次のどちらのことを求めているのか、を考える必要があります。
言い換え問題
具体的な内容を抽象的に言い換える
抽象的な内容を具体的に説明する(内容を補足する)
今回は①の内容になります。したがって、この様子に対する「意味」を考える必要がありますね。
ア チョークの線がある状態
…10行目付近「互いに存在を無視している。チョークの線で部屋を四つに分けそれを各自のテリトリーとしている」
⇒相手との間に距離があること、相手と関わらないという意思表示の表れ
イ チョークの線がない状態
…147行目「あたしたちは緑の家の真ん中で、獣の家族みたいに固まって眠っている」
⇒「家族」となっていること=相手との間の距離がなくなったこと。
このアとイが対比になっていることをふまえれば、ここで「チョークが消えた」ことは、物理的な壁がなくなったことではなく、心の壁がなくなったことを指すといえます。
この部分が解答の核となります。あとは、傍線部内「大きさの違う足跡」が、それぞれの「立場の違い」を表すことにまで言及して解答してほしいところです。