A…麻布中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
漢字の書き取り問題です。
人物の様子から心情を説明する記述問題です。
傍線部の前後で「…残念ながら雨…」「勇大はすこしがっかりしたように…」とあります。何を期待していたかは冒頭の説明で確認できます。これは解答しやすいでしょう。
傍線部が示す事実を具体的に説明する記述問題です。
解答に使用できる内容は51行目「水路のぬかるみに、男の子が入って、出られなくなっている…」で確認できます。これも確実に正答できる問題でしょう。
心情理由を具体的に説明する記述問題です。
麻布の設問によく出る「○~○行目をよく読んで、説明しなさい」という指示によって、
確認するべき内容は確実に拾えるはずです。まず82行目からの「ばかなことをしてしまった。別に自分が助けなくてもよかったのだ…」、85行目からの「知らん顔…ではない。…男性に後をたのめば、それでよかったのだ…」、さらに90行目の「でも、もやもやした後ろめたさが残る…」。ただ、これらの内容を第三者にわかりやすく伝わるように編集する作業において個人差が生じるでしょう。
傍線部の指示内容を答える選択式の問題です。
傍線部直前の二文を見れば「勇大を発見したとき」であることは明らかです。易問。
人物の心情変化を具体的に説明する記述問題です。
変化前の心情は傍線部手前126行目「自信のなさそうな…」で、変化後の心情は133行目「ライギョつりに夢中…初めてつり上げたときの興奮…」でそれぞれ確認できます。
しかし、ここで設問をよく読んでおかないと「答え方を誤ってしまう」恐れがあります。
設問は「勇大の気持ちはどのように変わったか」とはきいていません。「…先生は…勇大についてどのようなことがわかったのですか」とあります。つまり「先生がそれまでわからなかったこと」をふまえた答え方にしないといけないわけです。ここで差がつくかも知れません。
心情を説明する記述問題です。問六で確認したことのつながりですぐに正答できるはず。とても易しい問題です。
人物の心情変化に関わる「過去の特別な状況」を説明する記述問題です。
問四と同様に、「○~○行目をよく読んで、説明しなさい」という指示によって、答えるべき内容が確認しやすくなっています。
傍線部の事実からうかがえる人物の心情を答える抜き出し問題です。
解答部分は「心情を明確に表現する」言葉ですから、読んでいるときに注目しやすいはずです。しかしただなんとなく読んで「注目していなかった」としたら、傍線部からは離れたところにあるため、正答しづらかったかも知れません。
傍線部に示された心情の内容を説明する選択式の問題です。
正解の決定的な根拠は傍線部直後の一文にあります。また、選択肢の書かれ方も末尾の部分がそろっています(「~という思いこみがくつがえされている」)から、吟味しやすいはずです。
セリフにこめられた心情を文章全体の主題として説明する記述問題です。
具体的には205行目の「…お母さんに今まで守ってもらったから、これからはぼくが守るんだ、絶対に」に示されています。これを心情変化的にとらえ、「心の成長」として説明できるかどうかで、答案の質は大きく変わるでしょう。
傍線部の内容を簡潔に言い換える記述問題です。易問。
「合否を分けた一題」として解説します。
設問が指定する具体的な表現から「主題となる『善い心』」を導く記述問題です。
本文中の表現に依拠せずとも「平易な言葉で抽象化する」トレーニングができている受験生であればスムーズに解答することはできるでしょう。また、単なる「優しさ」ではなく「心から相手を思いやる」という道徳的主題を学習しておくことも必須条件です。
麻布中の国語の入試問題はレベルが高い。これはながく語られ続けている謂わば“定評”です。しかし一方で「パターンが明確」であるがゆえに「対策を立てやすい」ということも指摘できます。したがって、一般的にみれば“難問”であっても、麻布を志望する受験生であれば「これくらいは普通に解けるでしょう」という指摘もしやすいわけです。
さて、そんなハイレベルの“闘い”のなかで「合否を分ける設問」は何か? 受験生にとって、設問が指定する傍線部の近くで解答根拠が見出せると「これで解答できるゾ!」という“油断”が生じやすく、そこにワナがあります。今回採りあげる設問はまさにそれです。
主題に関わる心情変化の内容を具体的に説明する記述問題です。
傍線部直前の209~210行目「就職に手間取っているぐらいで焦っていらついているどこぞのだれかさんとは大ちがいだ。こいつの方がよっぽど器がでかい。」が解答の根拠となるのですが、これをそのまま使ってしまうと、評価される答案にはなりません。
麻布の国語の入試問題はたいへんレベルが高い。たしかにその通りですが、「出典となる文章の主題」や「設問構成」など、出題の傾向が明確であり、対策しやすい学校の代表格とも言えます。その「明確な傾向」を知り尽くした者から適切な指導を受ければ、国語が苦手な受験生であっても、充分なアドバンテージが得られることでしょう。