麻布中は、自主自立をモットーとし、自由闊達な校風で知られる学校である。
つまり、すべてが自由なのだ。ただし、そこには責任が伴う。
自分のやりたいことをやる、しかし、他者に迷惑をかけたり、不快感を与えているのに、
責任はとらないというのは「自由」ではない。それは、単なる身勝手である。
2010年度の麻布中の国語の題材は非常に興味深かった。
なぜなら、まさにこの「自由」がテーマの文章だったからだ。
本当の自由というのは、この世に存在しない。
人が社会の中で生きていく限り、何かしらの規制が働く。
それは、集団生活で秩序を保ちながら、皆が心地よく生活していくには必要なことである。
だからこそ、法律があり、国家があり、政治がある。
麻布中は「自由」でありながら、実は「自分」という監視役を背負わされる、
精神的な「不自由さ」を求める学校ではないだろうか。
これが、たぶん「自立」=「自律」という意味なのだろう。
このような厳しさを求める学校だからこそ、麻布中に合格したら、
自由に遊べるなんて考えないことである。実際、入学者の説明会で、
「麻布に進学する以上、勉強しないという選択肢はございません。」と
教師が言っていたようである。みんなが遊んでいるから、といって油断すると、
たちまち学校のテストで悲惨な結果が待っている。このような、
ある意味厳しい学校であることを肝に銘じて受験者は頑張ってほしいと思う。
国語に関して言えば、語彙力を磨き、さまざまな文章(ジャンルを問わず)から、
さまざまな人の心情や考え方を学び、設問者の視点から問題を解く姿勢を身に着ける。
そして、「文章」という情報から読みとったものを他者にわかりやすく説明するために、
論理的に考え、組み立てる思考力を養う。
このような、国語の王道ともいえる学習をしていくことこそが、麻布中合格の近道になる。
ぜひ、ここで説明したさまざまな学習法を参考にして、小手先のテクニックに頼らず、
しっかり国語力を磨いていただきたい。
この「麻布中ドクター」が、少しでも麻布中志望者の役に立てれば、幸いである。