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社会の合否を分けた一題

浅野中入試対策・社会の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

[1] 問1 B 問2 A 問3 B 問4 A 問5 A 問6 A 問7 B 問8 A 問9 B 問10 A 問11 A 問12 B 問13 A 問14 C
[2] 問1 A 問2(1)A(2)A 問3 A 問4 A 問5 B 問6 A 問7 B 問8 A 問9 A 問10 A
[3] 問1 1 2  問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10
[4] B

A…浅野中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識、解法次第で、得点に大きく差がつく問題
C…難易度、処理量から判断して、部分点を拾えればよしとする問題

出題総評

2017年度の浅野中は例年通り、総合的な社会科の知識を問う問題が多く出題されました。
地理分野の問題は、大問が1問で時事問題を含む世界の人口や各都道府県の特徴に関するものが出題されました。歴史分野は大問が1問で、全ての時代からの出題でした。公民分野は、大きな変更はなく三権や憲法を中心とした出題でした。大問4も例年と同じく120字記述が出題されています。
平均点の上昇を考えると、基本問題は確実に得点することが必要です。さらに他の受験生と差をつけるために発展的な知識まで範囲を広げて学習する必要があります。

問題構成は、3分野から大問4題、小問37問。
解答形式は、適語句補充形式が3問、記号選択が32問うち写真やグラフを読み取る問題が8問、記述が2問。記述は、例年通り120字程度で、資料やグラフを読み取り的確にまとめる問題となっています。
記号選択の問題は標準レベルの知識に基づいた問題が中心ですが、中には難易度が高い問題もあるため、問題を「取捨選択」しながらスピードを意識して解くことが重要です。限られた時間で得点に結びつけるためには、単元を越えた知識の「つながり」が鍵を握ります。

全般的分析

2016年度の浅野中の社会は大問4題で、最後の一題が資料を読み取り、記述をするという例年通りの出題でした。大問1の歴史は全て知識問題で平易な問題がほとんどでした。しかし、文章中の穴埋め問題があるため問題を読まなければならず、時間がかかったかもしれません。地理に関しては地図の読み取り、資料の読み取りが非常に難しく、差がつかないと思われます。公民に関しては、あまり文章を読む必要はありませんが、塾で習う内容ではない、考える問題が出題されていました。

問題別寸評

[1]

(歴史分野)宗教をテーマとした出題です。
各年度ともにテーマに沿った出題が見られますが、特に外交史や古代の歴史は頻出していますので、対策によって大きく差がついた結果だといえるでしょう。各年度ともにリード文の補充をする問題は例年出題が見られましたが、本年度は1問となっていました。その代わりに例年よりも図やグラフが多く出題されています。

問1

日本での山岳信仰の対象として古くから親しみを持たれていたのは「富士山」です。また、図中右上の「富嶽三十六景」という部分からも富士山(=富嶽)であることが分かります。

問2

設問中の「大和政権が成立する前に、30余りの小国をまとめていた女王が日本にいた」という部分から邪馬台国の卑弥呼の説明であることが分かります。
アの「漢委奴国王」は1世紀頃に奴国の王ですので、誤りです。
イは4~5世紀にかけて朝鮮に兵を送ったのは大和政権です。
ウは、仏教が日本に伝わってきたのは538年(552年)です。卑弥呼が魏に遣いを送ったのは293年の出来事です。

問3

リード文中の和同四年(711年)・「…郡としなさい」とあることから、奈良時代の律令制度下での様子であると分かります。従ってアが正しいです。

問4

 飛鳥時代~平安時代では「遣隋使」(~618年)や「遣唐使」(~894年)が派遣されていました。
したがって、ここでは「い」の唐が選べます。

問5

 設問中の「11世紀中頃」とはおよそ1050年くらいです。
「あ」の写真は、平安時代の中頃に建てられた平等院鳳凰堂です。「い」の写真は奈良時代に建てられた唐招提寺。「う」の写真は飛鳥時代初期に建てられた法隆寺。「え」の写真は室町時代に建てられた金閣寺。したがって、あが正しいです。

問6

選択肢の「え」行基は、東大寺の大仏造立のさいに協力した僧です。東大寺の大仏が造立されたのは、奈良時代ですので誤りです。

問7

1543年の鉄砲伝来、1549年のキリスト教伝来後、日本にはスペイン人やポルトガル人が多く訪れて貿易が行われるようになりました。したがって「あ」が選べます。

問8

Aは狩野永徳が描いた「都の南蛮寺図」で、Bは「踏絵」です。したがって、Aは×となります。

問9

孔子を祖とする儒教と最も関連が深いのは「え」です。
「あ」はキリスト教の「旧約聖書」。「う」はイスラム教の「コーラン」。「え」は「平家物語」です。

問10

設問中の「東海道筋から京都・大阪にかけて」という部分から伊勢神宮であると分かります。また、2016年にサミットが開催されたとあることからも三重県であると分かります。
したがって、う が正しいです

問11

皇室典範の第三条には「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は、重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従って、皇位継承の順序を変えることができる」とあるので、「い」が誤りです。

問12

ポーツマス条約(1905年)の内容に関する条約です。ポーツマス条約では、賠償金がもらえませんでした。したがって、「あ」は誤りです。また、「う」に関しては1894年にすでに撤廃されていたため誤りです。

問13

「う」の「日本の米や味噌」などを供給したというのは誤りです。

問14

A~Dのうち、Bの「川崎大師」は真言宗の寺院です。

[2]

(地理分野)外国人観光者をテーマとした出題。
今回は、訪日外国人をテーマとした出題でした。時事的な要素や近年の世界情勢を加味した出題といえるでしょう。例年通り、グラフや資料の読み取りが出題されました。単なる読み取りではなく、その背景にある単元に関連する知識の出題となっています。問題を解くために必要な知識のレベルは高くありませんが、正確に理解できるかどうかが問われています。この大問で得点できたかどうかが合否を左右したでしょう。

問1

ブラジルに関する問題です。ブラジルの人口は2億1千万人のため、「い」は誤りです。

問2

(1)
2012年から2014年にかけて日本では円安傾向が強まり、外国人観光客が増加した。
したがって、「え」が誤りです。
(2)
日本を訪れる訪日外国人数が最も多いのは、中国です。したがって、Aは中国が当てはまります。
中国についで、訪日外国人数が多い国は韓国です。したがって、Bの韓国が当てはまります。そして、Cは「アメリカ」です。そのため、「か」が当てはまります。

問3

選択肢のアは「ホテル」イは「教会」ウは「銀行」エは「交番」を表しています。
地図記号を外国人に分かりやすくするため、新たに図案化したものは「エ」の交番です。

問4

①の写真は広島県に位置する「厳島神社」、②の写真は京都府に位置する「天橋立」、③の写真は宮城県に位置する「松島」です。したがって、①の写真はA、②はB、③はCとなるため「あ」が正しいです。
問5
プランクトンが多く集まる海流は寒流です。日本近海を流れる寒流の正しい組み合わせは「お」です。

問6

選択肢「う」は焼津港の説明をしているが、焼津港は遠洋漁業の基地であるため「…沖合漁業の基地」というのは誤り。

問7

第21回気候変動枠組条約締結国際会議(COP21)は通称「パリ協定」と呼ばれ、人間の活動による二酸化炭素や温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることや、すべての国が温室効果ガスの排出削減目標を定めて、削減の努力をすることが決められました。

問8

日本の中で、外国から輸入している最も多い魚介類は「エビ」です。サケ・マスに次いで輸入量が多いのは「マグロ」です。そして、Cに当てはまるのは「ウナギ」です。

問9

「あ」は、JAS法によって、産地や天然と養殖の区別などを明示しなければならないと定められています。「う」は、天然の魚に比べて、養殖の魚は計画的に生産されているため価格が安定しているといえます。「え」は、「人工的に育てた稚魚を海に放流し…」とありますが、これは栽培漁業の説明のため誤りです。

問10

まず、表2中の「生産額最下位の都道府県」に注目します。
Bに着目すると「長野県他7県」とあるので、内陸県の数と合致すると考えられます。したがって、漁業であると分かります。
次に「従事者数」に着目します。Aは209,7万人と他の項目に比べると最も多いです。また、高齢化率もAが63,5%と最も高いので、農業であると分かります。
Cは林業となります。

[3]

(公民分野)「ルールや規則」をテーマとした出題。
浅野中では例年、身近な社会的事象への興味・関心に関して問われます。解くために必要な知識自体のレベルは高くないですが、仕組みなどの根本をしっかりと理解できているかが試される問題多く出題されています。今回は「ルールや規則」がテーマとなっているため裁判所を中心に、憲法や人権、国会などからの出題が見られます。

問1

(1)リード文中3つ目の(1)の直後「(1)権の独立…」とあるので日本国憲法第76条3項の「司法権の独立」と合致していることが分かります。
(2)リード文中の2、3つ目の(2)から権力が入ることが分かります。

問2

裁判員裁判は地方裁判所で行われる刑事事件の第1審で行われます。

問3

ウは2008年に始まった「被害者参加制度」です。そのほかは2000年よりも前から始まっています。

問4

「あ」は、通常国会のみ会期は150日と決められており、その他の国会の会期はその都度決められます。「い」に関しては、衆議院議院の優越が認められています。「う」に関して、国会は弾劾裁判によって裁判官を罷免させることが可能です。「え」は、予算案を作成するのは内閣の仕事です。

問5

 日本国憲法第38条には「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」とあるため、「あ」が誤りです。

問6

臓器移植法は、2009年に改訂されました。改正後は、本人の意思が確認できない場合でも、遺族の同意があれば臓器移植が行えるようになりました。

問7

違憲立法審査権について説明している選択肢を選ぶ問題です。
違憲立法審査権とは、国会で作られた法律や内閣の政令などが日本国憲法に違反していないかどうかを審査する権利です。したがって「え」が正しいです。

問8

エビやマグロは値段が高いため、輸入量に対して輸入額が高くなっています。
Aはエビ、Bはサケ・マスについで多いマグロ、Cはウナギです。

問9

国民投票法によれば、国民投票の際には反対か賛成かのどちらかに〇をつける投票の方式です。

問10

「新たな責任」を考慮しているのは「あ」~「う」。「え」に関しては「現在の個人」を考慮しているといえるため誤りです。

[4]

(記述)選挙に関する出題です。
合否を分けたこの一題で取り上げます。

合否を分けた一題

プライベートブランド商品は要するに新商品です。既存のメーカーの商品を置いておくように商品をおいていても、消費者は知らないものに手を伸ばしません。

新商品であるかぎり、商品に対する広告や宣伝を行わなければ、売れません。

浅野受験生であるならば、気付いてほしい問題でした。

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