A…浅野中合格を目指すなら、確実に得点したい問題
B…知識や文脈力、論理的思考力で、得点に大きく差がつく問題
C…国語力がないと歯が立たない問題
1 | ① A ② B ③ B ④ B ⑤ A ⑥ C ⑦ A ⑧ A⑨ B ⑩ A |
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2 | 問1 A 問2 B 問3 A 問4 A 問5 A 問6 B 問7 B 問8 A 問9 C 問10 B |
3 | 問1 C 問2 B 問3 A 問4 B 問5 A 問6 B問7 A 問8 C 問9 A 問10 B 問11 C |
出題傾向や問題数は例年通りです。大問1が漢字の読み書き、大問2が物語文の読解、大問3が論説的随筆文の読解、という構成でした。素材文の文章が長めであり、さらに選択肢問題が多いので、いかに素早く選択肢問題を処理できるかが合否の鍵を握っています。選択肢の文章に微妙なものが多いのも特徴で、消去法も使いながら答えを絞り込んでいくことが有効になることが多いです。過去問演習をしながら、間違った選択肢のどこがどうダメかをはっきりさせていく練習をした方が良いでしょう。ぼんやり読んでいるとどの選択肢もあっているような気がしてくるので注意が必要です。また、記述形式の問題が4題出題されていますが、どれも書きにくいものばかりです。本文の表現をそのまま使えない解答がほとんどなので、自分で言葉を考え出さないといけません。記述で満点をとろうと考えずに、半分くらい点数がもらえればOKと割り切った方が良いでしょう。その分、簡単な選択肢問題を確実に得点するように頑張った方が、全体の得点率は高くなるはずです。例年に比べると、素材文自体は読みやすい内容ですが、設問が難しいので高得点を狙うことは難しいです。学校発表では、合格者平均得点率は57.2%とのことです。6割確保できれば十分合格圏内です。
漢字の書きが8題、読みが2題です。例年に比べると、若干難しめのものが多い印象です。「査察」「領有」あたりは中学受験の問題としては、ややレベルが高いでしょう。また、「一覧」「宗家」は、漢字そのものは難しくないですが、文脈の理解や言葉の知識が必要なので、実は書きにくいと思います。
「製紙」という言葉を知っていれば簡単です。もし知らなくても、「新聞とか本とかカタログとか、そういうものにつかう」とあるので、「紙」と思いつくのは難しくないです。
視点人物の心情を問う選択肢問題です。傍線部の直後にある「苦々しい」という言葉をどう捉えたかがポイントです。この言葉を「『田崎さん』を悪く思っている」と受け取ってしまうと間違える可能性があります。
視点人物外の心情の理由を問う選択肢問題です。ア以外の選択肢は明らかにおかしな部分があります。エはやや微妙な選択肢ですが「お互いが悪い印象を持つことが心配」という部分に根拠がありません。
視点人物の心情を問う選択肢問題です。この問題も、エ以外の選択肢は明らかにおかしな部分があります。ただし、エについても選択肢の文章が何を言っているのかわかりにくい部分があり、確信を持ってエを選択するのは難しいかもしれません。
視点人物の心情の理由を問う空欄補充問題です。抜き出しではないですが、傍線部直後の「前向き」という言葉を入れた文章にしておくことが自然だと思います。ほとんどの受験生が「前向き」という言葉を使った文章を答えたと思います。
素材文の空欄を補充させる選択肢問題です。「レギュラーじゃない生徒にかける言葉っぽい」というのが、一体どの選択肢文なのかということですが、「みんなのため」のような言葉じゃないかと想像できれば、イの選択肢が選べます。
視点人物の心情を問う選択肢問題です。気をつけなくてはいけないのはウの選択肢です。この選択肢文は、素材文中にもほぼ同内容の文章があります。しかし、この設問に対する解答としては不適切です。本文に書いてあったからといって、何も考えずに選択してしまわないように気をつけましょう。
視点人物の心情を問う選択肢問題です。ウ以外の選択肢は明らかにおかしな部分があります。ウの選択肢も、これを正解とする決定的な根拠はないですが、一方で不正解とする明確な根拠もないです。こういった選択肢問題が多いので注意しましょう。
比喩的な表現を具体的に説明させる記述問題です。本文の表現を抜き出して記述することがほとんどできない内容なので、非常に書きにくいです。「筋を通すことにこだわっていたが、状況や相手に配慮することもできるようになった」くらいの内容が書ければOKです。
視点人物の心情の変化を問う選択肢問題です。アとエは問題外として、イとウで迷うかもしれません。しかし、ウの「自分らしさを見失っていた」「今のままの自分でよい」と言ったような記述は、素材文には見当たりません。ですので、イが正解です。
言い換えている言葉を問う抜き出し問題です。「ほんとうのことはわからない」という言葉に意識が向きすぎてしまうと、正解にたどり着けないかもしれません。文脈から「先のことはわからない」という意味だとわかれば「一寸先の闇」が見つかります。
素材文の空欄を補充させる選択肢問題です。素材文冒頭から空欄部までには「自分で考えていない」ということが書かれています。とすると、エの「考えなくてもすむようになっていること」を選ぶのが自然です。
素材文の空欄を補充させる選択肢問題です。この問題は「おぼれる者は藁をもつかむ」ということわざの正しい意味がわかっていれば、素材文とは無関係に正解を選べます。この問題は比較的簡単です。こういった問題を落とさないように気をつけたいです。
筆者の主張の具体例を問う選択肢問題です。「消費者をおぼれさせ」とあるように、売り手の意図を感じさせる文章は、すべて具体例として適切です。エだけは「季節の移り変わり」とあるので、売り手の意図は関係ありません。「適切でないもの」を選ぶので、エが正解となります。
素材文の内容の理解を問う選択肢問題です。傍線部の直後に「『待望』と『予言』がひとつになったとき」とありますし、「戦争があと4年で終わる」というのは、人々が期待していることだと考えて不自然ではありません。よって、正解はウです。
素材文の内容の理解を問う選択肢問題です。先ほどの問5よりは難しいです。正解はエになりますが、おそらく選択肢文の「失敗が明らかになった」という表現がやや引っかかるはずです。しかし、他の選択肢はこれ以上におかしな部分が明らかにあるので、エを正解とするしかないです。消去法で考える練習もしておきましょう。
素材文の内容の理解を問う選択肢問題です。この問題は簡単です。正しく素材文を読み取れているなら、一読してイが正解だとわかります。他の選択肢はまったく的外れなので、迷うことはほとんどないと思います。
比喩的な表現を具体的に説明させる記述問題です。大問2の物語文でも同様の出題がありましたが、これも非常に書きにくい記述問題です。「お見合い」という言葉をどう表現し直すかという点がポイントですが、前後の文脈から「変化していく風景との出会いは一度きりのもの」というような内容が書けていれば十分だと思います。
筆者の主張を問う選択肢問題です。エの選択肢で少し考えるかもしれませんが、最後の「考える楽しさを人々に与える」という部分がまったく見当外れです。素直に考えればイが選べるはずです。
素材文の要旨を問う選択肢問題です。選択肢の文章が長く、違いがわかりにくいので難しかったかもしれません。詳しくは「合否を分けた一題」で解説します。
比喩的な表現を具体的に説明させる記述問題です。今年度の浅野中学の記述問題は、すべてこのパターンです。この問題の場合は「調理した」という部分を、どう具体的に表現するかですが、これも小学生には難しいでしょう。「場面や時間の経過を制作者が作っている」というようなことが書けていれば点数をもらえるでしょう。
素材文全体の要旨を問う選択肢問題です。浅野中学の問題は大部分が選択肢問題です。選択肢文の違いを見抜くことが難しい問題が多いので、しっかりと練習しておきたいです。選択肢文を一読して正解がわかることが理想ですが、正解の選択肢文も決定的な根拠に欠けることがあるので、状況によって消去法も使いたいです。以下に解説します。
考え方
すべての選択肢文を読んで、「どれも微妙だな」と感じることがあります。そういった場合は、どの選択肢文もほとんど素材文通りのことが書かれている、つまり、部分的にはあっている選択肢文、ということがほとんどです。逆に言えば、「一部分にウソが紛れている」ということです。
ですから、ではどの部分におかしな箇所があるのか、というのをはっきりさせることで、間違っている選択肢文を探していくことになります。ひとつの練習として、それぞれの選択肢文を「正解(〇)、やや微妙(△)、問題外(✕)」と仕分けて、さらに△と✕については、選択肢文のどの部分がおかしいのか、線を引いていくということをやってみましょう。
この問題では、エが正解で、それ以外はすべて間違っています。それぞれの選択肢文のどこがおかしいか、それを以下に整理してみます。素材文にはそのような記述がないことを確認してみてください。
ア.「心情に寄り添い」と「他人よりも」という部分が不適切です。特に後者の「他人よりも満ち足りた人生を送ることができる」は明らかにおかしいです。筆者は、他人との比較については、一切触れていません。
イ.「周囲と協力して」「文明の変化に対応しながら」という部分が不適切です。もしこの2か所を単純に削除した文章にするなら、これはほぼ正解と言っていい選択肢文になります。このような選択肢にダマされないように注意しましょう。
ウ.「正しく理解することによって」「未来の行く末を推測しながら」という部分が不適切です。このように理解できる文章は素材文中にはありません。また「他人の考えをあてにせず」という部分もやや言い過ぎです。
以上のように整理してみると、どの選択肢文も2か所は不適切な部分が存在します。一方で、エの選択肢文には、ここまで決定的におかしな記述は見当たりません。間違った選択肢文の文章に「たしかにそうとも言えるよな」と説得されないように気をつけてください。「そう言える」というように感じる場合は、拡大解釈された表現になっていることが多いので、素材文ではどういう表現になっていたか、よく確認しましょう。
ただし、エの選択肢文の最後「心の底から自信を持って自分の将来の目標や生き方を選ぶことができる」という部分を、ややおかしいと感じる人は一定数いると思います。素材文中にはそういった文章ははっきりとは出てこないからです。しかし、他の選択肢文の最後もア「人生を送ることができる」、イ「堂々と将来を決められる」、ウ「自分で将来の進路を決められる」となっていて、ほとんど差がない表現になっています。とすると、それを持ってエを不正解とすることは難しいです。迷ったときは、それぞれの選択肢文のどの部分が同じでどの部分が違うのか、と検討してみることも1つの方法です。
過去問演習をしながら、選択肢文の見分け方を色々と練習してみてください。