A…浅野中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題なども含む。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。
一 | すべてA |
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二 | 問一 A 問二 B 問三 A 問四 A 問五 B 問六 A 問七 B 問八 A 問九 A |
三 | 問一 A 問二 A 問三 A 問四 A 問五 A 問六 A 問七 B 問八 B 問九 A |
漢字の読み書き
書きが8問、読みが2問という例年通りの出題形式です。やや難しいものも含まれてはいますが、普段の学習の中で目にする機会はありそうな語がほとんどですので、満点を狙いたいところです。
物語文 温又柔「来福の家」より
台湾籍日本在住の作家による小説が出題されました。中国語が出てくる部分はありますが、ストーリーの構成としては特に複雑な展開はなく、読みやすい素材であると言えます。例年通り「話の展開から空所に入ると思われる語を答える設問」もありますので、細部までしっかりと読み取っていきましょう。
また非常に小さな変更点ではありますが、これまで数字だった選択肢の記号がカタカナ(ア、イ、ウ…)に変更された模様です。
文中の語句の意味を問う、記号選択問題です。
いずれも通常の使い方から逸脱したものではなく、基本的な問題です。
姉の「 」の力になりたいという発言の内容を考えて書く記述問題です。
核になるのが「子ども」であることはすぐに判断できると思うので、残りの説明部分を考えていきます。次の段落で「薛莉莉ちゃんが、まさにそういう子どもだった」とありますので、彼女のおかれている状況を簡潔にまとめて書きましょう。
「姉」と「わたし」がどのように作業に取り組んでいるのかを答える、記号選択問題です。「姉」については、少し後の部分で「自信満々で臨んでいたわけではなかったのだ」「こんなんじゃ先生失格かなあ……」とあり、自分のしていることに不安があることが分かります。また「勉強させなきゃ」と、教師としての責任感を持っていることも読み取ることができます。
「わたし」の方は傍線部の前より「作業が…いやではなかった」「余計にはりきってしまう」から判断することができるでしょう。
登場人物の心情を答える、記号選択問題です。場面としては問三とリンクしています。先ほど確認した通り、「姉」は今、仕事に対して不安とプレッシャーを感じている状況です。ただ、「あいまい」ながらも「笑った」というところから、会話の内容自体へマイナスの感情があるわけではないことも読み取れます。
問二に引き続き、文脈から空所の内容を考える問題ですが、こちらは記号選択となっています。この形式の問題は浅野中では頻出です。「そこまでの状況」と「その後の人物の発言、反応、動作」をしっかりと読み込み、客観的に判断することが大切です。
莉莉ちゃんは、「ふだん、ことばがわからない中、必死にがんばっている」ので、「ことばがわかる」許先生の前でだけは、今までのように中国語で話させてやってくれ、という内容が最もふさわしいと判断できます。
問五に引き続き、文脈から判断する問題です。「わたし」のこれまでの状況が正しく読み取れていれば、特に問題なく正解できるでしょう。
合否を分けた一題で解説します。
姉が「わたし」にしてくれたことを答える、記述問題です。注意すべきは「日本語を教えるだけでなく」という条件です。教科書を作ってあげたり、ひらがなを教えてあげたりというのは、「日本語を教える」に含まれてしまいます。そのため、まったく別のエピソードを見つけなければなりません。
本文全体をふまえて、姉と「わたし」の関係を答える、記号選択問題です。
選択肢ひとつひとつを丁寧に確認していくことが大切です。記憶や雰囲気に頼らずきちんと解けば、正解できるはずです。
論説文 森博嗣「孤独の価値」
タイトルの通り「孤独であること」についての論説文です。ジャンルとしては「現代日本の社会における問題を述べている文章」となります。いわゆる一般論とは逆の内容を主張している文章ですので、筆者の述べている内容を正しく読み取ることを心がけましょう。
「その症状の方が…」という主張の理由を問う、記号選択問題です。傍線部に指示語が含まれている場合は、その内容を確認する習慣をつけておきましょう。
直後の「思考しなかったら、つまりは人間ではない。人間というのは、考えるから人間なのだ。」が根拠となることには、すぐに気がつくことができると思います。あとは選択肢の吟味ですが、本文中で明らかに述べていないものを取り除いていきましょう。アの選択肢内に「ロボットのように」という本文中にない表現があるため戸惑うかもしれませんが、文そのものの意味を捉えていくと、これが最も近い内容となります。
傍線部を含む一文が「このように」から始まっていることに着目しましょう。これはそこまでの内容をまとめるときに用いる言葉ですから、前の段落の内容を使って答えていけば、正解することはそこまで難しくはないと言えます。
一回目…「なにも考えなくても良い」状態を人は望んでいる
→人は を本能的に望んでいるのだろうか
二回目…「感動の安売り」環境に浸って育った人たちは…洗脳を受け… が
さらに進み、植えつけられたものが…価値観になる、常識にもなる。
「なにも考えないこと」にあたる語を入れましょう。ここはぜひ正解したいところです。
「そう『思い込まされている』」という表現の意味を問う、記号選択問題です。問二と同じく、指示語の内容はチェックしてから解きましょう。
選択肢の前半については、「演出が過剰に繰り返される」「ありきたりの『感動』がいかに多いことか」他にも繰り返し同じような内容が述べられており、迷うことはなさそうです。
気を付けるべきは後半でしょう。少し後の本文になりますが「自分で考えなくなると、それが『普通』で絶対的なものになり、そうでないものは『異常』だとさえ感じるようになる」「あってはならないものだから、孤独を感じるだけで、自分を否定することにつながる」を参照しましょう。
「…安易な『感動』で受けようとする」理由を問う、記号選択問題です。傍線部の後から、ありきたりの「感動」の類型を繰り返し見せられ、「感動の安売り」環境に浸って育った人たちが「号泣もの」の作品を優れていると判断してしまう、という傾向が述べられています。筆者はそれを強く批判してはいますが、現状はそういうことが多い=そういう風潮であることも読み取ることができます。
イとウに「道徳的」という語が登場しています。複数の選択肢に含まれていると、「この要素は正しいのかな?」と思ってしまうかもしれませんが、本文中で道徳に関する語は出てきていません。「それっぽい」選択肢に引っ掛からないよう、きちんと本文と照らし合わせて確認しましょう。
筆者の主張の理由を問う、記号選択問題です。まず指示語の「そういったもの」の内容を確認しましょう。同段落で述べられている「仲間や家族が人生で最高に大切なものでなくても見つけることができる、楽しさや美しさ」であると考えることができます。筆者は、そういうメリットがあるから、「ときには認めることが必要なのではないか、と」「強く感じている」といえます。
「そういう自由な人生を送っている人たち」について説明する、記述問題です。ひとつ前の段落に書かれている「天体観測に一生を捧げる」人や、「数学の問題を解くことが、なによりも大事だ」という人や、「仏像を彫るために、命を懸ける」人のことをまとめます。共通点として挙げられるのは、仲間や家族と関係なく、一人でその物事に取り組んでいるということです。
「寂しさがもしマイナスだとすれば、それはプラスあってのマイナスだと捉えることができる」という表現の内容を答える、記号選択問題です。
本文で、傍線部までに「『楽しさ』と『寂しさ』というのは、光と影であって…」「波のように揺れを繰り返す運動」「楽しさがあるから、寂しさを感じるのだし…感じるのである」「賑やかで楽しい時間も、静かな寂しい時間も、いずれも必要なのではないか」「悪とは善からの変化であり…」と、繰り返し同じ内容が説明されていますので、同じ内容を述べている選択肢を選びましょう。
「その余裕があり、それが『美』でもある」という表現の内容を問う、記号選択問題です。今回も指示語が含まれていますので、直前の内容から確認します。すると、「『孤独』を感じたときに、それだけこれから『楽しさ』がある、と解釈できることで余裕が生じ、『さび』の世界に浸れると述べられていますので、この内容をふまえて選択肢を吟味してきましょう。
解き方の手順
浅野中で頻出の「空所に入る表現を選ぶ問題」です。
人物の状況、心情を文脈から正しく読み取る力が要求され、おそらく正答率も高くないと思われます。こちらの解説を利用して、ぜひ解き方を身につけていただければと思います。
◆Cについて
瀬戸さんのお母さんが、「歓歓ちゃんの日本語がとっても上手で、驚いちゃった。うちの息子たちよりもずっと、きちんとしていて……」と姉との初対面を振り返り、皆が笑っているという場面です。それに対し、姉が答えた言葉が問われていますが、この時点ではまだ答えを絞り込むことはできません。
意識する必要があるのは、その後の瀬戸さんのお母さんの発言です。
「おかげで、伸一さんは歓歓ちゃんに出会えたんですものね!」と言っていますので、Cには瀬戸さんと姉が知り合うきっかけが含まれる必要があるのです。
「姉の日本語がとても上手できちんとしている理由」
+
「瀬戸さんと姉が知り合うきっかけとなったもの」
ということで、イの「わたし、日本語教師ですもの」が最もふさわしいものとなります。
◆Dについて
姉が日本にやってきたときのことを思いだしている場面です。
瀬戸さんのお母さんに「それまで、日本語は?」と尋ねられた姉は「ぜんぜん」と即答し、それに対して父母は「苦笑いを浮かべ」ています。このときの父母の心情としては、「突然日本に引っ越して苦労させてしまったことへの申し訳なさ」といったところでしょう。
その後、姉が「両親のほうをちらっとみや」ってから、「笑い顔でいった」のがDのせりふです。
両親を安心させてあげられるような内容が入ることが予想されますが、こちらもこの段階では絞り込みきれませんので、先ほどと同様に後ろも見てみます。
瀬戸さんのお母さんは、「莉莉という子もそうなんだけど、…優秀な子が多いですね。」と発言しています。子“も”という表現から、Dの発言から姉のことも優秀だと感じたことが読み取れます。
「姉が両親を安心させられるような内容」
+
「それを聞いた人が、姉を優秀だと感じるもの」
ということで、ウ「まあ、すぐ馴れましたけど」があてはまります。