A…浅野中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題なども含む。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。
一 | A(漢字の読み書き) |
---|---|
二 |
問一 B 問二 A 問三 C 問四 B 問五 A 問六 C 問七 A 問八 C |
三 |
問一 B 問二 B 問三 B 問四 A 問五 B 問六 B 問七 B 問八 C 問九 B |
何と本年度は漢字の問題が一にきていました。ただし、難易度や内容は例年通りですので、影響はないでしょう。
②の「静観(セイカン)」、⑥の「潮流(チョウリュウ)」、⑨の「造作(ゾウサ)」など、すべて小学生で習う漢字からの出題ながら、点差がつくという絶妙(ぜつみょう)な作問です。奇をてらった出題は一問もありません。漢字の学習は日ごろからコツコツと積み重ねていきたいものです。
物語文で、出典は粕谷知世の「ひなのころ」でした。まだ幼い少女(四歳の設定)の「風美」と歯に衣着せぬ物言いをする「おばあちゃん」とのやりとりを、軽妙に描いたものです。中学入試の題材でありがちな「孫に甘いおばあちゃん」ではないため、少しとらえにくかったかもしれませんが、文章内容は分かりやすいものです。したがって、本年度の物語文も「解く技術」が問われる問題が多かったといえます。
おひなさまを箱から取り出す場面です。「このなかで眠っているのだろうか」「毒リンゴを食べた白雪姫のように」とあることから、雛飾りがどういうものなのかと期待しつつも、はたしてその中身は大丈夫だろうかと不安に思っているのです。
空欄に入る文章を選ぶ問題です。空欄の前に「さむいでしょ。かぜをひくといけませんからね。おふくをきましょうね」と「風美」がタンポポに話しかけていることに着目しましょう。この場合の「おふくをきせる」とはどういうことかを考えればよいのですね。
「おばあちゃん」が雛飾りの準備しているのは、孫の「風美」を喜ばすためであり、「おばあちゃん」自身も「風美」も楽しみにしているのは分かっているのですが、普段から厳しく接しているので、特別に優しい声はかけられなかったと考えられます。
▼▲の箇所をよく読めば、さほど難しくない問題です。「風美」が「河上のおばさん」に対して好感を抱いているのは「河上のおばちゃんがついていてくれれば…」の段落からも分かります。ところが、「河上のおばちゃん」の娘である「ゆうこちゃん」は、「風美」のことを良く思っていません。また、「河上のおばちゃん」は「ゆうこちゃん」がお団子などをひとりじめにしようとするのをたしなめていることから、娘に対する接し方が読み取れます。
空欄に入る表現を考える問題です。泣きわめく「ゆうこちゃん」に対して、「河上のおばちゃん」が優しくあやす場面です。自分の娘である「ゆうこちゃん」をきちんと叱るのは、母親としての愛情からだというわけです。
傍線部⑤の前の「おばあちゃん」のセリフに着目します。「おばあちゃん」が雛壇を誇らしげに自慢していますが、「風美」にはそれほど素敵なものには思えず(「ごてんは?」など)、また、自分の気持ちを分かってくれない寂しさから、「おばあちゃん」の発言に対して同意する気がしなかったのです。
再度、空欄の文章を考える問題です。空欄の前は「お姫さまたちが」とあります。白雪姫やシンデレラのお城が高架の向こう側にあり、どのように迎えてくれるだろうと、「風美」が空想したのかを考えましょう。
「おばあちゃん」が「風美」に対して厳しく接するのは、「風美」が嫌いなのではなく大切に思うからこそです。まだ四歳の風美はそのことが理解できず、もどかしく感じているのです。そのあたりの内容をまとめれば、十分合格点に達するでしょう。
論説文で、出典は加藤周一の「読書術」です。本文内容はタイトル通り、読書の仕方についてですが、ここではその中の「速読」に関する内容となっています。たんに「速読は良くない」と決めつけるのではなく、場合によって「速読・遅読」を使い分けるべきだと述べています。
一見して指示語の問題だと分かりますが、浅野の指示語問題は少しひねった出題がされますので要注意です。つまり、「指示語=直前の語句」とは限らないということです。ひっかからないように指示語と選択肢を置き換えてみて、指示語に続く文章と意味がつながるかを確認しましょう。
傍線部②の段落は、筆者の主張(第1段落にある「何事によらず、絶えずこれほど急ぐ必要があるのかどうか」)を裏付けるための具体例を含む段落と言えます。設問文の条件として「本文中の別の言い方を参考にして」とわざわざ明記されているので、「抜き出しの延長で解く」という戦略でよいでしょう。
空欄の前後を精読して内容を把握しましょう。「A:繰り返し読むことのできない小説は読む必要がない」→「B:本を読むのにノートをとる必要はない」→「C:ノートをとらなければ忘れることなら忘れてよい」という流れです。空欄に入れるべき文章はCの裏返しの内容ということになります。
空欄に入れる語句の組み合わせを選ぶ問題です。遠い昔は、今とは「何」が違っているのかを考えればよいでしょう。④と⑤と「読者」は並立の関係であることも着目もしましょう。
後で「合否を分けた一題」で解説します。
傍線部が二重否定になっているので、意味を取り違えないように気をつけましょう。筆者は論語、聖書、プラトンと仏典を例に挙げ、その中のどれか一つを読むべきだと述べています。また、傍線部の内容は「深い思想(=論語、聖書、プラトン、仏典)は一面的な部分を持つ」ということをふまえて、選択肢を選びましょう。
再度、空欄補充問題です。空欄は二か所ありますが、それらを含む一文を精読しましょう。
「 ⑧ 的で ⑨ 的な経済的な現象」は、続く文の冒頭にある「絶えず変わっていく社会の表面の現象」と同義です。このことに気づけば難しくありません。
「明らかな誤りを含む一文を抜き出しなさい」という誤文訂正問題です。誤文訂正問題でのポイントは「微妙なニュアンスの差は問われることはない」ということです。基本的には真逆の間違いと言ってもよいでしょう。本文中には「一般によくできているという評判の教科書五、六冊のなかから、任意の一冊を抜いて、その一冊を繰り返し読んで…それで十分でしょう」とあります。
「本を繰り返し丁寧に読むこと」の意義を問うています。選択肢が長いので、一文まるごとで考えずに、部分的に正誤判断をしていきましょう。本文の中略以降、「基本的なところを十分に理解し、また基本的な考え方に十分慣れていれば、そのあとの仕事がすべて簡単になる…」「よい教科書はそういう知識を提供し、…」あたりに着目すれば選べる問題です。
浅野中の国語というと「記号選択問題や空所補充問題が中心」という印象があります。今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。本年度は特に、語句や文章の空所補充問題が目立ちました。
したがって、浅野中の国語攻略のカギは、まず記号選択問題と空所補充問題のパターンを熟知し正答率を高めることであると言えるでしょう。
では、「合否を分けた一題」として、三の問五を解説しましょう。
空欄に入る適語を答える抜き出し問題です。ただし、空欄は3箇所あり、すべてに共通する語句が入ります。空欄の前後の精読が何よりも大切です。
[一つ目の空欄⑥]
「 ⑥ を理解するためには、それが西洋史のなかで、歴史的に見て大事な書物である…」
→ここから、⑥は「西洋史に影響を与える書物」であるということが分かります。
[三つ目の空欄⑥]
「しかし家族を失ったあとで、ただひとり、どうして生きてゆこうか、どんな心のよりどころがあるだろうかということを捜し求めているときに、 ⑥ に近づいてゆくとすれば…理解の大きな助けになるでしょう」
→ここから、⑥は「家族を失うような失意の底にあるとき、心を支えてくれるもの」であることが分かります。
上記のことから、 ⑥ に入る語句は「聖書」であると判断できます。