「青山学院中等部の傾向分析」で述べた出題傾向を踏まえて、これまで青学の合格者と共に私自身が実践してきたそれぞれの攻略法をお伝えします。
独立した大問数が多いとはいえ、50分間で総設問数16~18であることから、時間的な圧迫感はないはず。解くのが遅いと自覚している受験生ならともかく、処理速度を上げる訓練は特別には必要ないでしょう。
ただし、出題分野が多岐にわたることから、1問1問の思考の切り替えは必要です。その練習として、青学の過去問演習は10~15年分が必須です。それだけでは不十分なようであれば、同様に大問数の多い学校の過去問を利用します。立教池袋中、大妻中、5年前~15年前くらいの市川中第1回入試問題、等が有効です。
幅広い出題分野において、極端に苦手な分野を作らないように、典型的な標準問題全般をカバーしておく必要があります。どこの塾であっても、6年生夏休み前までの学習内容の定着度がカギ。目安としては、サピックス生は志望校判定サピックスオープンのA問題、日能研生は6年カリテの共通問題、四谷大塚生は『予習シリーズ5年上下・6年上』の例題、が適正レベルです。このレベルの問題を確実に得点できるように、各塾の使用テキストで解法を定着させます。典型的な標準問題への対応力をより強固にするために、東京出版『ステップアップ演習』を仕上げても良いでしょう。
まず、問題文を一読しただけでは着眼点がつかみにくく、解答方針が立たないために「手が止まる問題」。平成21年度[7]平均の問題、平成19年度[13]速さの問題、等がこれにあたります。
このようなタイプの問題に対峙するには、考え込んでいてもダメ。線分図、面積図、状況図、表、使うツールはどれでも構わないので、問題文の内容を整理してみること。そこから突破口が開けます。わからないから何も書かないのではなく、わからないからこそ何かしら書いてみるという姿勢が肝要。複数の解法ツールを身につけている受験生が有利なのは言うまでもありません。
次に、解答方針は立つけれども、計算量や処理量が多くて「手がかかる問題」。平成22年度[6]面積の問題、平成18年度[8]速さの問題・[11]平均の問題、等です。
単位換算と四捨五入がセットになった問題は大抵計算が煩雑になります。このような問題に加えて、毎年冒頭に2~3題の計算問題を出すのは、怠らずにコツコツと計算練習を積んだ生徒に来てほしいという学校側のメッセージ。それに応えるしかないでしょう。
また、平均の問題は計算量が多くなりがちです。仮平均を利用して計算量を減らす解法を身につけてもらいます。
「手が止まる問題」と「手がかかる問題」、どちらも結果として「時間がかかる問題」になるので、時間の浪費を避けるために、場合によっては一旦とばして後回しにするという心構えも必要です。
(1)折り返しの角度問題は、塾のテキストに多くは収録されていません。30年前から青学では出題されているので、古い年度の過去問からも抜粋して取り組むのが効果的です。また、他校の過去問から類題を引っ張ってきても良いでしょう。折り返しは、一般的に、二等辺三角形や正三角形の発見がポイントになる問題と折り返した線の左右にできる合同な図形がポイントになる問題に分かれますが、青学で多いのは後者のタイプです。
(2)速さは様々なタイプが出題されています。まずは塾のテキストで一通り学習したうえで、速さと比の問題は演習量を多めにこなす必要があります。進行の様子を図示するのは鉄則ですが、直線上の進行図とダイヤグラム、両方とも書けるように準備しておきましょう。直線上の進行図を書くとわかりやすい問題、ダイヤグラムを書くとわかりやすい問題、双方はっきり分かれるので、問題ごとに使い分けることができれば得点力は一気にアップします。
(3)割合についても様々なタイプが出題されています。ここは経験値で勝負。本番まで十分な演習量を確保します。比例については、出題パターンがほぼ決まっているので、過去問を解くことでそのパターンに慣れておけば十分です。それだけでは不安な場合は、淑徳与野中で同パターンがよく出題されるので、演習素材として利用しましょう。
(4)単位換算は換算方法を覚えていれば、あとは単なる計算問題。いつも桁ズレする受験生は、そもそも換算方法を正しく理解していない・覚えていないか、計算に丁寧さを欠くか、のどちらかです。身に覚えがあるなら、改めましょう。
(5)平成16年度以降、作図の出題が見られるように。ただ、コンパスは使いませんし、もともと展開図絡みの立体図形はよく出題されるので、その演習を積んでおけば十分でしょう。立方体・直方体・正四面体・正八面体の展開図に頂点記号を書き込む練習は必須です。
(6)平均は、面積図を利用して解く典型問題以外は、鬱陶しい計算を要求される問題がほとんどです。前述のように、仮平均を利用して計算量を減らす解法を身につけておきましょう。
同じテーマの記事はいまのところありません。
※ ただ今、当塾の講師陣が一生懸命執筆しております。
執筆がすみ次第、随時公開いたします。
今しばらくお待ちください。