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社会の合否を分けた一題

慶應中等部入試対策・社会の合否を分けた一題(2017年度)

難易度表

A…易しい(慶應中等部合格を目指すなら確実に正解すべきレベル)
B…標準的(ややまぎわらしいが落とせないレベル、ここで差がつく問題)
C…難しい(受験者の大半ができないため差はつかない問題)

【1】史跡に関する問題
知識 A
知識 A
知識 A
知識 A
知識 A
【2】歴史の年代についての問題
問1 知識 A
問2 知識 A
問3 知識 B
問4 知識 A
問5 知識 A
【3】日本家屋に関する問題
問1 知識 A
問2 知識 A
問3 常識 B
問4 常識 B
【4】日本の国土と農業に関する問題
問1 知識 A
問2 知識 A
問3 知識 A
問4 知識 A
問5 知識 A
問6 知識 A
問7 知識 A
問8 知識 A
【5】オリンピックについての時事問題
問1 知識 A
問2 知識 A
問3 知識 A
問4 知識 A
問5 知識 A
問6 知識 A
問7 知識 A
問8 知識 A
問9 知識 A

全般的分析

2017年度の慶應中等部の社会は大問が5題、小問が54題となっており、ほぼ例年通りと言っていいと思います。昨年よりも若干問題数は増えていますが、難易度は大幅に易化したと言っていいと思います。慶應中等部らしい出題は【3】の日本家屋に関する問題でしたが、これも非常に易しい出題となっており合格者平均は9割程度だと思われます。

問題別寸評

【1】史跡に関する問題
ア知識A(三内丸山遺跡、1)

易しい問題です。
日本最大級の縄文時代の遺跡といえば、青森県の三内丸山遺跡です。栗の栽培などでも有名です。
1992年に野球場を建設しようとした際に発見されました。

イ知識A(厳島、7)

易しい問題です。
平清盛が修造し、世界文化遺産にも登録されているということなので広島の厳島です。

ウ知識A(熊本、9)

加藤清正は受験生には馴染みが薄いかもしれませんが、築城に関しては有名です。しかも、2016年の熊本地震の記述があるので、熊本の熊本城です。

エ知識(佐渡、2)

江戸時代の金山といえば新潟県の佐渡島です。銀山は世界文化遺産に登録された島根県の石見銀山が有名です。

オ知識A(富岡、4)

官営の製糸場といえば、もちろん群馬県の富岡製糸場です。2014年に世界文化遺産に登録されたとまで記述されているので、非常に易しい問題だといえます。

【1】史跡に関する問題
【2】歴史の年代についての問題
問1知識A(2、3)

易しい問題です。
1:ペリーの浦賀来航は1853年です
2:モリソン号事件は1837年です。
3:アヘン戦争は1840年に始まっています。
4:蛮社の獄は1838年です。
5:外国船打払令は1825年です。
よって、5→2→4→3→1となります。

問2知識A(2、4)

易しい問題です。
1:伊藤博文が初代内閣総理大臣になったのは1885年です。
2:秩父事件が起こったのは1884年です。
3:板垣退助の自由党、大隈重信の立憲改進党は1882年につくられています。
4:大日本帝国憲法の発布は1889年です。
5:第一回帝国議会は1890年です。
よって、3→2→1→4→5となります。

問3知識B(1、5)

少し細かいかもしれませんが、中等部受験者なら知っておいてほしいところでした。
1:領事裁判権の廃止は1894年です。
2:日清戦争が始まったのは1894年ですが、領事裁判権の廃止の前です。
3:ノルマントン号事件は1886年です。
4:関税自主権の回復は1910年です。
5:日露戦争が始まるのは1904年です。
よって、2→1→3→5→4となります。

問4知識A(4、3)

易しい問題です。
1:日中戦争が始まるのは1937年です。
2:満州事変が起こるのは1931年です。
3:第二次世界大戦がはじまるのは1939年です。
4:日本が国際連盟を脱退したのは1933年です。
5:太平洋戦争が始まるのは1941年です。
よって、2→4→1→3→5となります。

問5知識A(5、1)

易しい問題です。
1:日本が国際連合に加盟するのは1956年ですが、それは日ソ共同宣言でソ連と和解したからです。
2:日本国憲法の公布は1946年11月3日です月日まで覚えておく必要があります。今は文化の日となっています。
3:日ソ共同宣言は1956年です。
4:日中共同声明は1972年です。
5:サンフランシスコ平和条約は1951年で、これによって日本は主権を回復します。同日に日米安全保障条約が結ばれています。
よって、2→5→3→1→4となります。

【3】日本家屋に関する問題
問1知識(アふすま、イたたみ)

常識的な問題かつ慶應中等部らしい問題です。
現在の家屋は障子やふすま、たたみがないこともあります。生徒たちに聞いてみても畳の部屋がある家の方が圧倒的にすくなくなっています。
そんな中で常識てきな「ふすま」や「たたみ」を聞いてきており、日本文化を大切にしてほしいという中等部からのメッセージがうかがえます。

問2(1)知識(①3、④2)

こちらも常識的な問題となっております。四谷大塚の教材だと四年生、五年生のテキストに載っていました。

問2(2)(3)知識(②2、⑤1)(③2、⑥1)

こちらも常識的な問題となっており、四谷大塚の四年生、5年生の教材に載っていました。四年生、五年生の社会科は常識を学ぶ場でもあるかもしれません。

問3知識B

合否を分けた一題で扱います。

問4常識B(打ち水をする)

最近ではマンション住まいの方が非常に多くなっているのであまり見られなくなった光景ですが、打ち水は以前はよく見られました。
打ち水は昼間にやってしまうと反射によって気温があがるので、日が下がってから行うのが一般的です。

【4】日本の国土と農業に関する問題
問1知識A(アカルスト、イシラス)

易しい問題です。
誰もが知っている用語だと思われます。秋吉台の石灰岩の白い岩肌が露出している地形は「カルスト」と呼ばれています。
また、火山灰が降り積もってできた台地をシラス台地といいます。水はけがよく、畑作に向いており、鹿児島のシラス台地が有名です。

問2知識A(①1、②2)

あまりにも基本的な問題です。
信濃川が通る平野は越後平野で、最上川が流れる平野は庄内平野です。コメの種類まで覚えておきましょう。

問3知識A(③1、④4)

あまりにも基本的な問題です。
世界最大級のカルデラということばは阿蘇山の枕詞のようなものです。また、九州地方で火山灰を積もらせるといえば、鹿児島県の桜島を一番に思い浮かべるはずです。

問4知識A(⑤1、⑥3)

あまりにも基本的な問題です。
パイロットファーム計画といえば根釧台地が思い浮かぶはずです。酪農がさかんに行われています。また、北海道での畑作といえば十勝平野以外は考えにくいと思います。

問5知識A(3)

二期作と二毛作の違いは、中等部受験生なら必ず押さえているはずです。また、連作と輪作の違いも押さえているはずなので、自ずと答えは3ということになります。

問6知識A(2)

あまりにも基本的な問題です。
川に別名がつくことはよくあります。坂東太郎といえばもちろん利根川です。吉野川、筑後川などにも別名がついているので必ず押さえてください。

問7知識A(近郊)

大都市の近くで行う農業のことを近郊農業といいます。これも誰もが知っているとおもいます。輸送費がかからない、鮮度が保たれるなどのメリットがあります。

問8知識A(A5、B7、C6、D1)

あまりにも基本的な問題です。
農作物の産出額のグラフは定番ですが、この問題ではさらにその中での定番の作物について聞いています。
Aはぶどうです。Bはお茶です。Cはレタスです。Dは米です
必ず正解しなければならない問題でした。

【5】オリンピックについての時事問題
問1知識A(2)

赤道付近の国はインドネシアです。上位校では最近の傾向として世界地理が聞かれるので、世界地理についてもある程度は学習しておきましょう。

問2知識A(2)

オリンピックに興味を持ち、ブラジルについて調べれば必ず耳したはずです。ジカ熱が正解です。
ちなみにデング熱は数年前、代々木で流行りました。

問3知識A(4)

ブラジルがポルトガル語であることはあまりにも有名です。南米はブラジルがポルトガルに支配されていたのでブラジルはポルトガル、それ以外の国のほとんどはスペインに支配されていたので、スペイン語です。

問4知識A(3)

ブラジルのリオデジャネイロは日本の真裏にあることは有名です。ですから、12時間の時差が生まれますが、日本のほうが時間は早くなります。

問5知識A(1)

ブラジルからの輸入品で思い浮かぶのはコーヒー豆かもしれませんが、鉄鉱石に比べるとその額はかなりの差があります。鉄鉱石の一番の輸入先はオーストラリアですが、2位はブラジルです。

問6知識B(2)

純粋な知識問題です。日本からブラジルへの集団的な移民が始まったのが1908年です。移住した日本人は未開の地を開拓することとなり大変な苦労をしました。

問7知識A(機械工業の関連工場が多い)

大泉市はあまり有名ではありませんが、自動車の関連工場があります。浜松市はオートバイの生産で有名です。豊田市はもちろん自動車の関連工場が多くあります。

問8知識A(4)

純粋な知識問題です。フロンガスの全廃は1987年のモントリオール議定書で定められました。先進国は1996年までに開発途上国は2015年までときめられました。選択肢1、2、3は1992年の国連環境開発会議(地球サミット)で採択・調印された宣言・条約の内容となっているので覚えておきましょう。

問9知識A(バイオエタノール)

さとうきびから作られる燃料といえば、すぐにバイオエタノールを思い起こしてほしいところでした。

合否を分けた一題

【3】
問3常識A

合否を分けた一題は慶應中等部らしい問題でした。
日本のことをよく知っていること、かつ日本文化に明るいことが慶應中等部の求める生徒像です。
日本は温帯に属し、湿気が多いことが特徴です。
歴史では高床式倉庫などでも学習したはずです。
とすれば、日本家屋に縁の下が必要な理由は風通しを良くして、地面からの湿気を防ぐことにあることが思い当たります。

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