[1] | (1)A (2)A (3)A (4)A |
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[2] | (1)A (2)A (3)A (4)A |
[3] | (1)A (2)B (3)B (4)B |
[4] | (1)B (2)B |
[5] | (1)A (2)B |
[6] | (1)B (2)C |
[7] | (1)B (2)C |
A:慶應中等部合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法ツールにより正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき、もしくはとばすべき
今年も、例年通り大問7題構成となり、後半の問題になるにつれて難易度が上昇していく形式でした。また、解答欄に1ケタずつ数字を書く形式も踏襲されています。
大問1は計算を含む4問の小問集合、大問2は小問集合、大問3は図形分野の小問集合、大問4はダイヤグラムをテーマにした速さの問題、大問5はおもりを水中に沈める立体図形の問題、大問6は九九をテーマにした数の性質の問題、大問7は筆算をテーマにした数の性質と推理の問題、という構成でした。
[1]
分数同士の四則演算。確実に通分して、計算ミスをしないようにしましょう。
分数と小数の入り混じった穴あき算。こちらも、小数を分数にして一つ一つ丁寧に計算していくように。
じゃんけんをテーマにした場合の数の問題。4人のうち、1回で2人が勝つのは、勝った2人と負けた2人がそれぞれ同じ手を出した場合のみです。(グー2人・チョキ2人のように)
この問題も、本校の受験者としてはおさえなくてはなりません。
~を割ると~余る、という数の性質における約数が絡んだ典型題です。最も大きい数を聞かれているので、最大公約数をとった後に約数を調べる必要はありません。
[2]
往復の平均の速さを求める問題。行きと帰りの時間が問題文で与えられているので、得点しなくてはならない問題です。
濃度の違う食塩水同志を混ぜ合わせる問題。面積図か天秤を使って、確実に正解しましょう。
お金の増減が絡む、割合の問題。太郎君と次郎君の情況を、問題文を読んでしっかりと式処理出来たかがカギです。次郎君のもとのお金を③円とおき、二人の残金を②円と考えるとスムーズに解けるでしょう。
ニュートン算の典型題。水そうの図を描けば、難なく処理できる問題です。
[3]
立体を切断して、表面積の増減を考えていく問題。1回切るごとに、もとの立方体の2面分の面積が増えることが分かっていれば、問題なかったでしょう。
相似をテーマとした、長方形と三角形の求積問題。問題文から、長方形の縦の長さは27cmと分かりますが、図の右側にある底辺を20cmとした三角形の高さを求めるのに苦労した受験生はいると思われます。ピラミッド相似を使う点がカギです。
等しい長さに着目する、角度の問題。三角形DBCだけでなく、三角形DEFも直角二等辺三角形であることに気付けた受験生はすぐに答えが求まったでしょう。
回転体をテーマにした、複雑な立体図形の表面積を求める問題。上から(円の面積)、まわりから(空洞になっている円柱の側面積+全体の図形の側面積)、下から(円すいの側面積)と方向別にわけ、円周率3.14の計算工夫を効率よくおこなうことで、時間の短縮となり後半以降の問題に手が回せます。
[4]
横軸を時間、縦軸を距離ではなく人の速さとしたダイヤグラムの問題。詳細は後述します。
[5]
おもりを水中に沈め、水面の上昇する高さや、容器を傾けた時の長さを考える立体図形の問題。
三角柱のおもりの体積を求め、容器の底面積で割ることによって答えが求まります。後半といえど、本校の受験生としては欠かせない問題です。
問題文で与えられている図2が少々分かりづらいが、どのように傾けたのかを問題文からイメージすることは容易かったと言えるでしょう。底面を台形PAEFと捉えることが出来れば、高さはFG=20cmなので逆算によってPFも求まります。
[6]
九九の掛け算表をテーマにした、珍しい形式の数の性質の問題。最初に、表のマスをすべて埋めるところから始まります。
横に隣り合っている数を3つ並べているので、真ん中の数が平均になっていることに気付ければ、組の真ん中が24÷3=8以下になっている箇所を調べつくしていくだけです。
整理の方法と、そこからの調べ上げにかなりの時間を要する問題です。和が15で割れる枠と27で割れる枠を考えます。
まず、和が15になる枠=枠の真ん中が5になる組は、4・5・6の1組だけです。
和が30になる枠=枠の真ん中が10になる組は、8・10・12と5・10・15の2組です。・・・・・・・・・といった形で、15で割れるものについては和が135になるものまで調べていきます(最高が36・45・54の組)。
27で割れるものについては、和が27・54・81・108・162・189・216まで調べていきます(135は、15と27の公倍数なので、既に15の方でカウントしています。ちなみに、最高は63・72・81の組)。
和が15になるものは15組、和が27になるものは10組となりますので、全体からそれらを引くことによって答えが求まります。
[7]
各桁がわからない4ケタの数同志を足し合わせたり、かけ合わせることでどのような数になるかを考える、推理がからんだ数の性質の問題。
千の位から順に見ていきます。Aを1とするとBは2…と考えていきますが、Dについては繰り上がりを考慮しなくてはならないことに注意しましょう(8ではない)。
最後の問題ということもあり、取っ掛かりが掴みづらいかなりの難問でした。ポイントは2点。ABCD×D(あるいはC、B、A)が5ケタの数にならなくてはいけないこと。また、D×Dの一の位がDであること。ここから、Dは1,5,6のどれかになりますが、ABCDは最小の数なので、一の位であるDは6とおいて考えていくことになります。それをふまえたうえで、一の位に着目するとC×6はC、B×6はB、A×6はAとなるのでA,B,Cは2,4,8のどれかに該当する、と考えていくことが出来ます。後は、先述した5ケタになるという観点からそれぞれの数で調整をしていくと答えが求まります。
今年の慶應中等部の算数は、各単元がバランスよく出題されており、昨年と比較しても例年通りの難易度と言えますが、中では大問の6や7のように、あまり見慣れない形式の問題も目立ちました。そこで時間を浪費せずに、いかに45分という短い時間の中で大問の5までに取り組めたかが合否の分かれ目だったと言えます。
今回は、前半の問題群の中で大問4のダイヤグラムの問題を、合否をわけた一題としてご紹介いたしましょう。
[4]速さとダイヤグラム
グラフの読み取りだけでなく、「電車が加速して一定の速さになる」という問題文の意味を正確に理解できたかが正誤の分かれ目です。
グラフの解読をしていきましょう。
0~6分は、太郎君が自転車(分速280m)に乗ってA駅まで行く様子を表します。
6~10分は、A駅で電車を待つ様子です。
10~13分は、電車に乗った後、だんだん加速して電車の速さが一定になるまでの様子を表しています。
13~18分は、一定の速さになった電車に乗っている様子です。
18~22分は、電車が目的地であるB駅につこうとしているので、だんだん減速していく様子を表しています。
22~33分は、B駅に着いた太郎君が分速80mで歩いて学校に行く様子です。
この中で、10~13分に着目すると、最初は0mだった速さが、最終的には780mになりました。平均をとると(0+780)÷2=390mの分速でずっと進んだことと同じであることが言えます。よって、答えは390×(13-10)分=1170mとなります。
答え:1170m
(1)の意味が正確に捉えられれば、後はグラフのそれぞれの期間で距離を求めていくだけです。
0~6分⇒280×6=1680m
10~13分⇒(1)の答えから1170m
13~18分⇒780×5=3900m
18~22分⇒390×(22-18)分=1560m
22~33分⇒80×11=880m
よって、1680+1170+3900+1560+880=9190mとなります。
答え:9190m