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国語の合否を分けた一題

渋谷中入試対策・国語の合否を分けた一題(2017年度)

難易度分類

A…渋谷教育渋谷中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。

問一 A  問二 C  問三 B  問四 B  問五 B
問六 A  問七 B  問八 C  
問一 A  問二 A  問三 B  問四 B  問五 B
問六 A  問七 B 

問題別寸評

物語文で、出典は沼田まほかるの「猫鳴り」でした。主人公の「藤治」が飼っている猫の「モン」が死を目前としている場面です。「藤治」は「モン」に対して、どのように処置をすべきか葛藤しています。大まかな内容はつかみやすいのですが、「藤治」の心情が場面によって揺れ動いているので、それを細部まで読み取れるかどうかで得点差がつく問題と言えましょう。

問一 

「毛並」「案外」「ぎょうそう(形相)」など小学校で習う範囲の書き取りです。ここは確実に点数をとりたいところです。

問二

例年、渋谷教育渋谷は記号選択問題と記述問題がバランスよく出題されますが、記号選択問題は5択でそれぞれの選択肢が長めで、しかも、ひっかけが多いため、ていねいに選ばないと失点してしまいます。記号選択問題は必ず一文全体で見るのではなく、パーツに分けて部分的チェックを行いましょう。
この問題は「青年医師」の人物像を問うています。「青年医師」の言動を根拠に選択肢を選びましょう。「青年医師」は「モン」に苦しむ治療を施すのはかわいそうだと思い、自然死させるのがよいと考えていますが、そのことを「藤治」にはっきりとは告げていません。ここが解答のポイントになります。

問三

傍線部②に至る流れを確認しましょう。「モンが喜ぶかいやがるかでものごとを決めよう」と決意したにも関わらず、「還してしまえばモンは消滅する=(死んでしまったらモンはいなくなってしまう)」と、再び迷いが生じています。

問四

傍線部③に「この程度のもの」と指示語が含まれていますので、その内容を確認しましょう。「藤治は何も手に付かなかった。…」の段落から「…どうしても一時の安堵が欲しかった」までを指しています。

問五

この問題は渋渋の真骨頂ともいえるでしょう。とにかく紛らわしい選択肢が並びますので、迷ったら逐一、本文で確認する作業が不可欠です。傍線部前の内容は以下の通りです。

・モンが死ぬのを悲しむのは仕方がない
・モンが死ぬことに不安を抱いたり恐れたりすることはない
・死は自然なことである
・青年医師の言葉で安らかな気持ちになった

これらの内容を踏まえて選択肢を選びましょう。

問六

これは平易な問題です。モンのオシッコが出づらくなっていて、出ても「雀の涙」ほど少量だったということです。

問七

「藤治の迷い」とは、モンを今後どのように処置するかということです。対比の形でまとめましょう。また、物語文の記述でも本文中の語句をできるだけ使うと良いでしょう。
本文に「モンのいやがる治療をいっさいしない」ということと「無理やりにでも栄養を与えてやる」とあり、これらは相反する行為です。

問八

問五と同様、選択肢の部分的な正誤確認をしていきましょう。本文にモンのそばにいるときに「信枝(亡くなった藤治の妻)のことばかりが、しきりと思い出された」とありますが、「モン」を子どもの代わりとして「信枝」と育てたとは書かれていません。問七の連動型問題として解くと良いでしょう。

50字の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。

論説文で、出典は品田知美・野田潤・畠山洋輔の「平成の家族と食」です。渋谷教育渋谷の論説文は大人向けの難解なものが出題されることが多く、また、抽象的な内容が好まれるため、読みづらいと思う受験生もいるでしょう。本年度の1次は例年よりは読みやすい内容かと思います(それでも、「小学生が興味がある内容」とは言い難いのですが…)。「和食が今後どのような形となって残っていくのか」について論じています。

問一

一と同様、「任(せて)」「混同」「禁(じ得なかった)」など、中学受験の頻出漢字なので、失点は避けたいところです。

問二

「~とはどういうことですか」と問うていますので、傍線部説明問題です。傍線部①を含む段落内容を確認しましょう。「もともと品数に…脆弱な様式である」という箇所が選択肢を選ぶポイントになります。

問三

問二と同様、傍線部説明問題です。「問題」について説明されているのは、その後の箇所です。続く段落では具体例(「東北地域」と「西南地域」の比較)が述べられていますが、最後に具体例を一般化しています(「ある程度の人数が…」)。ここを根拠に、選択肢をしぼりこみましょう。

問四

傍線部③の「見通しを立てて準備する食の様式」とは、その前に書かれている具体例でも分かるように、「それなりに手間暇のかかる食事」ということです。「手軽な食事とは言えないもの」を選びましょう。

問五

七十字の記述問題です。後ほど「合否を分けた一題」で解説します。

問六

一見して指示語の問題だと分かります。内容的には傍線部の直前の「手間暇かかる家庭での…シフトしてきた」を指していますが、分かりやすく自分の言葉で言い換えても良いでしょう。その際には本文のニュアンスと変わらないように気をつけましょう。

問七

本文内容一致問題です。もっともらしい選択肢が並んでいますが、迷ったら本文で確認する作業を行いましょう。問七の選択肢なら3パーツに分けると良いでしょう。誤答の多くは「本文に書いていない内容」です。本文の結論は、最終段落にまとめられています(=尾括型の論説文)。

合否を分けた一題

「合否を分けた一題」として、の問五を解説しましょう。七十字以内の記述問題です。
「男性が日常料理である和食に参入しにくい」理由を問うています。

傍線部の直後で「なぜなら」という書き出しの段落がありますので、この段落内容をまとめます。

そして、段落の半ばに「さらにもうひとつの理由は」とあることから、その前後で解答要素が一つずつあるのを確認しましょう。具体例を一般化した箇所を解答要素に使うのが原則です。

[1つ目]
「現状としては、和食を作るにはそれなりの準備と手間が必要だ」
「男性でなくても多忙な現代人にはハードルが高い」

[2つ目]
「主婦イメージと和食の結びつきが強すぎることだ」
「技量の問題のみならず心理的なバリアが働くに違いない」

解答要素をまとめると、以下のようになります。

(記述解答例)和食を作るには準備と手間が必要で、忙しい男性には不向きである。また、和食は主婦イメージとの結びつきが強いため、心理的な抵抗が大きいから。

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