[1] | (1)A (2)B |
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[2] | (1)A (2)B |
[3] | (1)A (2)B |
[4] | (1)B (2)B |
[5] | (1)A (2)A (3)B |
A:暁星中合格を目指すなら必ず得点したい問題
B:着眼点や解法により正答率・かかる時間に差がつく問題
C:難易度や処理量から判断して、部分点狙いで答案を作成すべき、もしくはとばすべき問題
ここ数年、大問1では円が絡んだ平面図形の出題が定着していましたが、今年は直線図形の出題でした。とはいえ、三角定規の性質を利用すること自体は、暁星中頻出のテーマといえます。
求まる角度を順次書き込んでいくことによって、三角形ABDは二等辺三角形、三角形ACDは30度・60度・90度の三角定規の形になっていることが分かります。
よってまずAD=2cm、そしてAD:DC=1:2となっていますから、DC=4cmと求めることができます。
暁星中合格レベルの受験生にとっては容易な問題でしょう。
こちらは、ややひらめきが必要となる設問でした。(1)がヒントになっていそうな気配は感じても、いざ厳密に解く筋は一般的な受験生にはなかなか思い浮かびにくいであろうと思われます。
ここでは、図のように、角EBD=30度となるような点EをAD上に取って考えるのが良いでしょう。
三角形EABはAE=BEの二等辺三角形に、三角形DBEはDB=DEの二等辺三角形になっています。
すると、DE:DC=1:2で、角EDC=60度であることから、三角形EDCが30度60度90度の三角定規の形であることがわかります。
すなわち、図の三角形EBCは、(1)の三角形ABCと同様の図形であることになります。
これらのことから、三角形ACEが直角二等辺三角形になることを確認して答えを得ることができます。
水量変化のグラフを題材とした出題です。グラフから条件を読み取るのも暁星中頻出のテーマの1つですが、本問では、グラフの読み取りというよりも、むしろ問題文からすべての条件をきちんと読み取って適切に整理することの方が重要です。
排水管から出る水量が、給水管の水量の1.5倍であるという条件があるので、給水管の水量を②/分、排水管の水量を③/分と置くのが簡明です。
「水位が再び6m」になった時点での水量は6×6=36㎥。その後、水そうが空になるまでの10分間のうち、給水管が開いていたのは6分間、排水管が開いていたのは10分間ですから、③×10-②×6=⑱が36㎥にあたることが分かります。
この問題では「水位」ではなく、「水量」そのもので計算を進めるほうが簡明でしょう。
「排水管を開いた」のは「水位が再び6m」になった4分前ですから、36+(6-4)×4=44㎥の水量が水そうに入っていました。15㎥の水が入っている状態から給水を始めたので、44-15=29㎥の水を給水したところで排水管を開いたということが分かります。
流水算の出題です。設定が見慣れない形で、(1)はともかく(2)は考えづらいと感じた受験生が多かったと思われます。
「合否を分けた一題」として詳述します。
3種の食塩水を何度か取り出しては混ぜ合わせるという、中上位校ではよくある設定の出題です。
「Dから100g取り出し、B全部と混ぜて出来た食塩水」であるEと、「Dの残りから200gを取り出し、C全部と混ぜて出来た食塩水」であるFが、「重さ、濃度ともに全く同じもの」になったということから、まずはBとCの重さの差が100gであったということが得られます。
すると条件より、8%の食塩水であったAを100g蒸発させて、10%の食塩水Dになったことになりますから、あとは基本的な計算によりAの重さは500gと求められます。
試験場においては、このBとCの重さの差の条件にすんなり気づけずに時間を取られた受験生もそこそこいたことでしょう。
(1)が解けた受験生にとっては容易なはずです。
Aの重さが求まったので、和差算により、BとCの重さもそれぞれ300g、200gと求められます。
すると「(10%の濃度の)Dから100g取り出し、(6%の濃度で300gの食塩水である)B全部と混ぜて出来た食塩水」であるEの濃度は7%であることが容易に得られます。
ここから「(10%の濃度の)Dの残りから200gを取り出し、(200gの食塩水である)C全部と混ぜて出来た食塩水」と同じものになることよりCの濃度を求めるのは、暁星中合格者にとっては、基本問題といってよいでしょう。
組に分けて考える数列(群数列)の出題です。暁星中の最終大問としては易しめと言えます。
1組目 「2,0,1,7」 →4個
2組目 「2,2,0,0,1,1,7,7」 →8個
3組目 「2,2,2,0,0,0,1,1,1,7,7,7」 →12個
…
のように分けて考えます。問題文に示されている上記の部分だけで既に4+8+12=24番目までの数が示されていますから、残り6個の数がどうなっているのかを考えるだけで答えが得られてしまいます。
もちろん、4組目の初めの6個は「2,2,2,2,0,0」となっていますね。
各組ごとの和は、
1組目の和=2+0+1+7=10
2組目の和=(2+0+1+7)×2=20
3組目の和=(2+0+1+7)×3=30
…
のようになっています。これをどこまで加えれば550になるかを求めることになりますが、数値の設定も親切です。
10+20+30+…+100=550より、ちょうど10組目までの数を全部足せばよいことに思い至るのは、暁星中受験生であれば難しいことではないでしょう。
あとは、各組の数の個数を足し合わせれば答えが得られます。
まずは、2017番目の数が何組目に属するのかを求めましょう。
各組の数の個数を足し合わせる計算である、
4+8+12+16+…
の結果が、2017に近くなるのはどこまで足したときでしょうか?
4の倍数を足し合わせる計算ですから、一旦2017÷4=504あまり1として、
1+2+3+4+…
この結果が504に近くなるときを考えるのが良さそうです。
(1+31)×31÷2=496<504
(1+32)×32÷2=528>504
より、31組では足りず、32組目に2017番目の数が入っていることが分かります。
31組目までの数は全部で496×4=1984個。よって2017-1984=33より、2017番目の数は、32組目の33番目の数であることが得られました。
32組目は、初めに32個の「2」が並んでいて、その次からの32個は「0」が並んでいますから、答えは「0」ですね。
大問5題、小問11題を50分でこなすという例年の形式が、今年も踏襲されています。
ほぼ全ての問題に計算や考え方を書く欄が設けられてはいますが、中学受験の算数としては1問にあてられる時間は長めと言えます。
年度によりややバラつきはあったものの、2014年までは合格者平均点が6割を切ることも珍しくなく、出来る問題を見極めてじっくり解くことが大切な試験でした。算数の得意な受験生にとっては、差がつけやすく力の発揮のしがいのある出題であったと言えるでしょう。
ところが、2015年以降、やや潮目が変わったようです。2015、2016年の合格者平均点はそれぞれ75点、77点。受験生間で差がつきやすい設問であったことに依然変わりはありませんが、合格水準にある受験生にとっては2014年までと比べると、ずいぶん穏やかな出題となりました。
2017年の出題も、2015年以降の難易度設定を踏襲していると言って良いでしょう。セット全体としては昨年よりやや難化と言えそうではあるものの、正答できなくてもやむを得ないと言える設問は1題もありません。
力のある受験生にとってはストレスなく解き進められるが、算数を苦手にしている受験生には引っかかりそうなところが数多く見受けられるという印象で、入学者選抜という視点で言えば、大変良く練られた問題であると思います。
さて、今年度の「合否を分けた一題」としては、[3]を取り上げます。
問題文中に、様々な条件が記されているので整理に苦労した受験生もいそうですが、冷静に対処すればこの小問は容易です。
ともあれ、時間の条件にだけ注目してみましょう。
40秒間漕ぐと10秒間休憩するQさんが5回目の休憩に入ると同時にゴールしたということですから、スタートからの時間は、
40×5+10×4=240秒後と求められます。
問題の条件より、Qさんが40秒間に上る距離を⑧、10秒間で川の流れに押し戻される距離を①と置くことができます。
240秒の間にQさんは⑧×5=㊵だけ上り、①×4=④だけ押し戻されていますから、結局
㊵-④=㊱だけA地点から進んでいて、そこがゴールのB地点ということになります。
Pさんの方は休憩をせずに、Qさんと同時にゴールしたのですから、Pさんは240秒で㊱上る速さであることが分かります。
以上の状況から、速さの関係を整理してみましょう。問題では2人の静水時の速さの関係を求められていることに注意します。
流速は10秒間で①、Qさんの上りの速さは40秒間で⑧ですから10秒では②。よって、Qさんは静水では10秒で③進みます。