A…慶應普通部合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。
一 |
問一 B 問二 B 問三 A 問四 A 問五 A 問六 B 問七 B 問八 B 問九 B |
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二 |
問一 B 問二 A 問三 A 問四 B 問五 C 問六 B |
三 | 問一 A 問二 B 問三 B 問四 B |
四 | A |
物語文で、出典は藤原正彦の「ヒコベエ」でした。「ヒコベエ」たちが「源次さん」と、珍味として食べられているコロスズメバチ(スガリ)の幼虫を取りに行く場面です。
文章内容そのものは分かりやすいですが、細かい状況把握が問題を解くカギとなります。
傍線部①の前後に着目しましょう。「如才のない(=ぬかりのない)ヒロスミが…」「順次さんにも聞こえるような声で…」とあることから、子どもなりに源次さんに気を遣っていることが分かります。
聞かれている内容は難しくないのですが、「二十字以内で具体的に」という指示に即して答えるのがポイントになります。「源次さん」は蛙の肉を団子にしたエサに真綿をつけることで、スガリの飛んでいく目印にしようと考えたのです。そういった内容であれば正解になります。
慶應普通部では、定番の抜き出し問題です。慶應普通部の抜き出し問題は、傍線部から少し離れていることが多いようです。まずは、空欄に入りそうな語句をイメージしてから探すようにしましょう。ここでは、真綿のちょうどいい大きさは「風の抵抗」が少なく、「見失わない」程度の大きさだということです。
キヨシがどれくらいの距離を走ったかを答える問題です。傍線部前後には具体的な数字は書かれていませんが、この場面の前に、「源次さん」がスガリがどのくらいの距離を飛んでいるのかを説明しています。
傍線部⑤の後に、「源次さん」が「巣に着くころにはちょうど暗くなるでいいぞ。暗くなりゃあスガリは巣に戻るでな」とあります。傍線部⑤の前にも、見つけたスガリの巣は通い蜂が多いと言っています。
傍線部のときの「源次さん」の気持ちを問う問題です。傍線部の後の「源次さん」のセリフを参考にしましょう。「まあこの時期にゃこんなもんだ。これ(スガリの巣)を裏庭で一か月も飼やあ、でかくなるわ」「スガリの子を何層にもなった巣から…ほりゃうめえぞ」という箇所から、この時期の巣にしては上出来だと思い、スガリの幼虫を食べることを想像して喜んでいることが分かります。
この問題も後の「源次さん」のセリフから考えましょう。「明朝になりゃ蜂も目を覚ましまた活動するだ。…スガリの子を何層にもなった巣から抜き出し…」という箇所が解答の根拠となります。
「キヨシ」の行動について正しいものを選ぶ問題です。迷ったら本文の内容と合致するか確認しましょう。ア~オのいずれの選択肢も、実際にスガリをとる場面からですので、ていねいに内容確認をして消去法で解きましょう。本文に「キヨシはスガリ追いに慣れているのか…」という表記があります。
「ヒコベエ」の人物像について問う問題です。「源次さん」とのやり取りの中で「なかなか東京っ子は賢いわ」と書かれています。ここから、「ヒコベエ」は物事をきちんと筋道立てて理解しようとする性格だということが分かります。さらに、源次さんにいろいろと質問していることから好奇心の強い子であると分かります。
随筆文で、出典は岸本佐和子の「なんらかの事情」です。筆者自身の運のなさをユーモアを交えながら述べています。本文内容は平易なので読みやすかったでしょう。
本文中の空欄に当てはまる語句を選択する問題です。一見するとなんてことないように思える問題ですが、消去法で解かないと答えにくい問題です(②の「しまってしまう」は迷うところでしょう)。確実に入れられるもの(③や④あたり)を先に処理していくのがポイントです。
慣用表現の問題です。筆者の傘がどのようになっていたのかを考えます。お気に入りの傘が「くの字に曲がっていた」のです。
筆者が大事にしていた傘をことごとく失っていくことが、一文にまとめて書かれている箇所を探します。一文ですから、具体的なものではなく一般化されたものです。前述した通り、少し離れた箇所の抜き出しも想定しましょう。
筆者がビニール傘に対して「なくなればいい」とまで思った時の気持ちは、傍線部の前の「愛情のかけらだになく」と傍線部の後の「いつまで経ってもなくならない。むしろ増えていく」から読み取れます。ビニール傘しか持たないことに決めたことが正しい判断だったと思いたいのです。
筆者が強風のなかでビニール傘を破損させてしまったため、通りがかりの花屋さんに「ゴミ」として処分してもらおうと思います。ところが、「親切な」花屋さんは、わざわざ何の愛着もないビニール傘を直して、筆者に手渡してくれます。当然、花屋さんを責めるわけにもいかない筆者の心情を選びましょう。
「傘ではない別の何か」とは、筆者が気に入っている傘は、もはや外でさす気にはなれず、家の中でさして楽しんでいます。傘が壊れたなど、通常の理由ではない点に注意しましょう。
随筆文で、出典は江國香織「とるにたらないもの」です。「ケーキ」にまつわる筆者の思いをつづったものです。
「実物のケーキ以上の何か」とは、単に食べ物としてではなく別の意味合いがあるということです。離れたところに答えがありますが、本文自体が短いため、探すのに時間はかからないでしょう。
傍線部②の「みる」という意味に近いものを選ばせる問題です。傍線部の「みる」は「イメージする・連想する」といった意味で用いられています。
後の「合否を分けた一題」で解説します。
指示語の問題です。「私個人についていえば…文句はない」の内容をまとめたものを選びましょう。ケーキに対して人々が様々なものを想像しても(たとえ筆者が想像していないものであっても)良いのだということです。
本年度も漢字が10問出題されています。小学校で習う基本的なものですから、失点は避けたいところです。
〈合否を分けた一題〉
慶應普通部の国語というと「記号選択問題や抜き出し問題が中心」という印象があります。今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、慶應普通部の国語攻略のカギは、まず記号選択問題や抜き出し問題のパターンを熟知し、いかにスピーディに問題を処理していくかが、合否の鍵を握っていると言っても過言ではありません。
また、記号選択問題や抜き出し問題以外に、短文で答えさせる問題(20~30字程度の短めの記述問題)が数問出題されます。こちらも、素早く処理していく必要があります。
それでは「合否を分けた一題」として、三の問三を解説しましょう。
一見して指示語問題だと分かります。「そんなことは訊いちゃいないし、別に知りたくもないのだ」の「そんなこと」とは何かを考えましょう。
指示語が直接的に指す内容は、「ケーキが好きな場合でも…当然いろいろあるはずなのだ」までですが、この問題では二十字以内で答えなければなりません。ですから、具体例を一般化しましょう。
あのケーキは好きだとかあの店のケーキは好き(具体)
→どのようなタイプのケーキが好きか / 具体的なケーキの好み(一般)
(記述解答例)どのようなケーキが好きなのかということ。