A…青山学院中合格を目指すなら、確実に得点したい問題。標準的な知識問題など。
B…やや難度が高く、論理的思考力で文脈をとらえることが求められる問題。
C…かなり難度が高く、失点しても致命的ではないが、正解すると得点差がつく問題。
一 | A |
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二 | (1) B (2) A (3)① A ② A ③ A |
三 | (1) B (2) B (3) A (5) B (6) B (7) C (8) C |
四 | (1) B (2) B (3) B (4) A (5) A (6)① A ② B |
五 |
(1) A (2) A (3) A (4) A (5) B (6) B (7) A (8) B (9) B (10) A (11) B |
「劇薬」「革新」「故障」など、いずれも受験生にとってはおなじみの漢字の書き取りです。全問正解を目指したいところです。
韻文(詩)で、出典は金井直の「木琴」でした。この詩は多くの塾のテキストに収められている有名なものですから、解きやすかったのではないかと思います。失点は避けたいところです。
金井直(作者)に「妹」が存在しないということは初耳の人も多かったことでしょう(実際に詩からは読み取ることができません)。この場合の「妹」とは空襲で亡くなった弱い立場の人を指していると考えられます。10字以内で簡潔にまとめましょう。
傍線部Bの後に「~がつくといいな」とあります。戦争を嫌っていた「妹」が望むものとは何かを考えましょう。
①
「過去の『妹』の生活」について触れられている連を答える問題です。空襲の前の場面と考えれば難しくないでしょう。
②
空欄補充問題は前後確認が大切です。「Dによる不安定な日常」「Dによる理不尽で不自由に満ちた生活」とあることから、しぼりこめます。
③
戦争中はきらびやかな電燈がともることはなく暗かったのですが、戦争が終わると街に明るさが戻ったと考えられます。
④
「Fの輝き」とあることから、「輝くものは何か」を考えましょう。また、「『妹』と何を重ね合わせているのか」を考えましょう。
少し変わった形式の物語文で、出典は安部公房の「安部公房全集9」です。もともと自由だったニワトリがいかにして不自由な家畜となってしまったのかを、面白く描いています。筆者独特のユーモアを読み取りましょう。
人間の金網つきの家をたててやろうという申し出に、ニワトリは怪しいと思ったわけです。ニワトリは「どのように」警戒したのかを考えましょう。
傍線Bの後には「私(=人間)にはネコのようなツメもなければ、イタチのようなキバもない」と言い、傍線Fの後は「ドアに鍵がかかっていること」に対して、笑顔を見せることで警戒心を解こうとしています。この2か所から、人間の本来の目的を考えましょう。
空欄の前に「こんなに」という指示語があります。「私にはネコのようなツメもなければ、イタチのようなキバもない」から、選ぶ語句をしぼれるでしょう。
人間はニワトリをうまくだまして小屋に押し込めようとしていますが、その後の段落でもニワトリと対話しています。この2点を踏まえて選択肢を選びましょう。
指示語の問題です。「そう」が指し示すものは前の段落の内容です。そこから、スパイの疑いをうけたニワトリが何を立証できないのかを2点考えましょう。
かぎかっこの表現問題です。通常、かぎかっこがつく場合は、本来の意味では用いられていないものであるということです。すなわち、ここでは「良識派」ではないということです。
「暗示」とはそれとなく読者に示すという表現技法です。最終的にはニワトリは人間の家畜となるわけです。そのことをはっきりと表している語句を探しましょう。
筆者はこの寓話を通じて「世の中でもっともらしい意見は間違っていることもあるので、自分の頭できちんと考えるべきだ」と述べています。「間違っているもの」を選びましょう。
論説文で、出典は向井由紀子・橋本慶子の「ものと人間の文化史一〇二 箸」です。タイトル通り、日本人の食文化と箸の関係について述べています。
空欄を含む文をていねいに読みましょう。「これに対し、ナイフやフォークやスプーンなどはその形状から予想できるように」とあり、「これ」が指す内容は、箸は手の延長のように自由に操ることができるということです。ナイフやフォークやスプーンなどは限定的な使い方をするということです。
「箸が持つ合理性」について問うています。傍線部直前の「箸は少し馴れれば充分使うことができる」という内容を、25字ちょうどで言い換えた箇所を探しましょう。
傍線部の理由を問う問題です。傍線部の後に「食事様式が複雑になればなるほど、数多くの食品の中から必要なものを取り出す機能においては箸が最もふさわしい食事用具であることを日本人は自覚している」とあります。
反対の意味を一字で答える問題で平易です。
接続語の空所補充問題で、ここでの失点は許されません。空欄の前後確認をていねいに行いましょう。
① 設問文に「調理する際に大切にされてきたこと」とあります。ここをヒントに似たような表現を探しましょう。
② 七段落をていねいに読みましょう。日本料理が「食品本来の持ち味を活かす」ことを重視していた点や「繊細な味を他の味と混じることなく味わえる」ようにするためには箸は欠かせないものであったことに着目しましょう。選択肢を一文で判断せずに、部分的に正誤確認を行うのが大切です。
最後の長文は物語文で、出典は村山早紀の「コンビニたそがれ堂」です。主人公の「雄太」が商店街にはずれに不思議なコンビニを見つけ、過去に「美音」にしてしまった過ちをめぐる出来事が軸となり、話が展開していきます。文章は長めですが、内容把握は難しくはありません。
この時点では「雄太」の気持ちはやや分かりづらいですが、傍線部の直前に「自分を殴りつけてやりたいような」というところから、選択肢が選べます。
傍線部の後に「『男らしい』と言われる子」とあります。
傍線部の直前に「雄太はかっこいいと思って」とあります。雄太の額に傷がある理由は、傍線部の後の段落で説明されていますので、その内容を踏まえて選びましょう。
「顔をとろけさせて」とは、雄太が猫を見て顔をほころばせるということです。これとは対照的なものを選ぶ問題ですが、普段の雄太はこういった表情を見せませんでした。少し離れている箇所でしたが、解答をイメージしてから探すと見つけやすいでしょう。
傍線部の前後の「急に美音が走ってきました」、「みんなの目の前で、雄太を、雄太だけを、まっすぐに見上げて」というところから、美音の「ある決意」が読み取れます。
傍線部の理由を説明する問題です。みんなの前で美音のメモ帳を受けとると、雄太は「どうなる」と思ったのでしょうか。傍線部の前に「友だちみんなが、ふたりを冷やかして」とあることもヒントにしましょう。
空欄を含む一文に着目します。「何か言いたそうにしては」「うつむくばかり」とあります。
「ぎくしゃくした足どり」とは不自然な動きを表しています。なぜ雄太は不自然な歩き方になったのかを考えましょう。あるはずのない美音のメモ帳がコンビニに置いてあったので信じられなかったからです。
傍線部の「ひとりのおじいさん」は、その後に書かれているように「去年助けた猫」でした。助けられた猫と美音は雄太が猫好きで優しい子だと知っていたのです。
慣用句の問題です。意外なことが起こりあっけにとられる様子を「狐につままれた」と言います。
唯一の記述問題です。この後「合否を分けた一題」で解説します。
〈合否を分けた一題〉
青山学院中の国語というと「記号選択問題や抜き出し問題が中心で、問題数が多い」という印象があります。もちろんそれは間違っていませんし、今後もその傾向が大きく変化することはないと考えられます。したがって、青山学院中の国語攻略のカギは、まず記号選択問題や抜き出し問題の処理スピードを上げていくことだと言えます。最後の文章読解問題は本文の文字数が多いため、ある程度、時間を確保する必要があるでしょう。
一方、記述問題はどうでしょうか? 2017年も四十~五十字の記述問題が1題のみでした。ただし、今後は記述問題が増えていく可能性もあります。
「合否を分けた一題」では記号選択問題ではなく、あえて記述問題を取り上げたいと思います。
では、「合否を分けた一題」として、五の(11)を解説しましょう。
傍線部にある「行ってみたくても、行けなかった」場所とは、もちろん「コンビニ」ですね。
では、ここでの「コンビニ」とは、いったいどういう場所なのでしょうか。
本文中に「このコンビニは、大事な探しものがある人がくる店だ。それが必要なものは必ず売っている、不思議なコンビニなのさ」とあります。
ということは、「雄太」はすでに「大事な探しもの」を手に入れたため、コンビニには行けなくなったと考えられます。
この場合、「大事な探しもの」とは「美音のメモ帳」のことです。美音のメモ帳には「クリスマスのころに一度日本に帰る」と書いてありました。そのことを知った「雄太」は、いつしかわだかまりが消えていったのです。
文中の言葉以外で解答しても、内容的に正しければ正解となるでしょう。
(記述解答例)
美音のメモ帳を手にして、美音が雄太に伝えたかったメッセージを知ったので、わだかまりが消えたから。